リレー小説 試衛館の日々（3）
また、リレー小説を始めました。
名称は「試衛館の日々」と言います。
どなたでも、どこからでも、参加フリーです。
皆さんの、思うように書いて頂けると、ありがたいです。
文久元年（1861年）近藤勇が試衛館の四代目を襲名しているので、文久元年から文久三年頃までの間の話。
土方さん、
— china01 (@xxxchina01) December 6, 2021
僕でも勝てませんかね？
剣を持っての立ち合いなら、たぶん、
惣次郎の勝ちだな。
よかった。
僕の方が強いですね。
まぁ、喧嘩なら俺の勝ちだろうけど、
それは言わないでおこうと思う土方であった。
もし、大事ないか？と藤田
— つのだこうじ (@cody4tori) December 6, 2021
ああ、助かりました
あんな大男を叩きのめしちまうなんて本当にお強いですね、と斎藤
拙僧は藤田甚五郎頼光と申す
我が一族は代々東照宮などの聖域を護る家系
されど神域で殺生は禁じられており刀などの武器は使えぬため己を磨くしかない
甚五郎とは伝説の名工の左甚五郎殿ですか？と、土方
— つのだこうじ (@cody4tori) December 6, 2021
いかにも
後の時代に大工から派生して東照宮の外を護るようになったのが我が一族の始まりです
どうりで強い訳だ
錫杖の突きの鋭さ、瞬断の横薙ぎは多いに学びたいところです、と土方
藤田殿は命の恩人
お名前を俺の魂に刻んでおきますと、斎藤
#チャイナ零弌さん#リレー小説#試衛館の日々#道場
— つのだこうじ (@cody4tori) December 13, 2021
のちに斎藤は明治の世で「藤田五郎」と改名する。
かかれ！
榎本の号令で同心衆が庭に駆け込み、露人３人を捕縛した。
奉行所から到着した籠に１人ずつ載せられ、試衛館を後にする。
藤田殿、腕前を拝見した
— つのだこうじ (@cody4tori) December 13, 2021
天晴でござると、榎本
榎本様、恐れ入ります
私のような者までお呼びが掛かるとは、事態は深刻のようですねと、藤田
いかにも
一昔前とは情勢が変わってきておる
さて、道場主はおられるかな？と、榎本
来客があり、中におります、と土方
そうか
— つのだこうじ (@cody4tori) December 13, 2021
巻き込んでしまい申し訳ない
破損してしまった門は、後日、修理の者をよこそう
怪我をした者は小石川療養所で手当してもらえるようにしておくと、榎本
はは
委細、承知致しました
ご配慮ありがとうございます、と土方
ところで藤田さん、東照宮の周りにはどんな蝶々がいますか？と、沖田
蝶々と言うより、蛾じゃないかな。
— china01 (@xxxchina01) December 18, 2021
うっとうしくも、鱗粉をまき散らしているよ。
そうですか、
何時かは、虫退治に参加したいものですね。
ははは、そうだな、沖田君なら大歓迎だよ。
総司、無駄話してないで、近藤さんもところに案内しろよ。
はい、土方さん。
続くかな。
野菜より、やっぱ、腹にたまるモノが良いなぁ
— china01 (@xxxchina01) December 6, 2021
懐具合からすると、豆腐屋で揚げでも買うか？
おからでもいいぜ
今年はまだ、竹の子も食っていねいし、
旬なモノが食いたいな、山南さん
モチにおからかよ
餅には揚げの方が良くないか、新八さん
そうだな、大根でも買っておろし餅にして食うか
前から足速に陣笠を被る同心衆の列が来る。
— つのだこうじ (@cody4tori) December 6, 2021
中ほどに山伏のような者もいる。
脱獄者の捜索か？と、新八
いや、あの出で立ちは捜索じゃないなと、山南
ザッザッザッ
列が過ぎるのを黙礼で見送る二人。
同じく路地に出ていた金物屋の亭主に聞く。
もし、何か起きたのでしょうか？と、山南
ああ、対馬で捕らえた異国人を奉行所に移送するそうですと、亭主
— つのだこうじ (@cody4tori) December 6, 2021
異国人ですか？と、新八
へえ、詳しくは存じませんが、うちの丁稚小僧が赤髪の大男を見たそうですと、亭主
なるほど、攘夷は確実に行われているということですね
かたじけないと、一礼する山南
俺らも異国の大男も倒せるように剣を磨きを掛けないとですね、と新八
— つのだこうじ (@cody4tori) December 6, 2021
さらに歩きながら店をのぞく山南と永倉。
出汁にも、具にもなるからちょうどいいな
昆布とアサリを買う山南。
おーい山南さん
— つのだこうじ (@cody4tori) December 6, 2021
今日は豆腐が安いみたいだぜ
向かいの豆腐屋から声を掛ける永倉。
それも買おうと、山南
お茶屋の辻の影に座り込んでいる若者がいた。
荷駄車からこぼれんばかりの野菜を積んでいるが、売れている気配がない。
#チャイナ零弌さん#リレー小説#試衛館の日々#買い出し
— つのだこうじ (@cody4tori) December 13, 2021
もし、どうかしたのかい？と、山南
顔を上げる青年。
ほっかむりに日焼けした手足。
百姓と少し雰囲気が違う。
へい、あっしは野菜の仲売りです
今日は暑くて野菜が売れませぬ
この日差しでは野菜が傷んでしまうので少し休んでおりました
なるほど
— つのだこうじ (@cody4tori) December 13, 2021
事情はわかった
一つ尋ねるが長州の生まれかい？と、山南
へい、両親は長州育ちです
手前は利助と申します
（マズイ、斥候だと見破られたか。。。）
この青年は伊藤俊輔（のちの伊藤博文）である。
長州藩の密命を受け江戸市中を探るべく潜入していたのである。
それで長州の訛が少しあるのだな
— つのだこうじ (@cody4tori) December 13, 2021
いや、深い意味はないのだよ
ところで、この量の野菜を売り切るアテはあるのかい？
泣きそうな顔になる利助
（よし、まだ大丈夫だ。とにかく貧相な表情しとこう）
貴方様の仰る通りです
大変困りました
もう昼前なのにこの有様
夕方までに売り切れるかどうか、、、
どうだろう、交渉したいのだが安くしてくれるなら全部買うよと、山南
— つのだこうじ (@cody4tori) December 16, 2021
えー本気かい山南さん？驚く永倉
大丈夫だよ
手分けして下ごしらえすれば何日分かの食材になる
それにまとめて買った方が安くなるはずだと、少し微笑む山南
なるほど
山南さん、時々大胆なことをなされるな〜と、永倉。
結局、荷駄賃あわせて６割引で買えた。
— つのだこうじ (@cody4tori) December 16, 2021
よし、試衛館に帰ろうと、山南
振り返ると内藤宿の坂道の遠く先に富士の山が見える。
冠雪して白く美しい。
試衛館に近づくと、夏祭でもないのに野次馬ができている。
先刻の同心衆の数十人が試衛館の表門を囲んでいた。
これはいったい何事だろう、と山南
— つのだこうじ (@cody4tori) December 16, 2021
門の戸板が半分破られてやがる
こりゃヤバい臭いがしますな、と永倉
引き返しますか？と、困った顔の利助
（よりによって同心達に近づくのはマズい。何とか遠ざかりたい！）
引き返すなんてとんでもない！
私達の道場だよ？
何とか中に入れないものか、と山南
試衛館から籠が３つ出てきた。
— つのだこうじ (@cody4tori) December 16, 2021
前後に護衛をつけて奉行所へと向かって行く。
山伏姿の男もいた。その隣は榎本。
表門の前に佐藤彦五郎と寺尾安次郎を見つけて声を掛ける山南
失礼致します
佐藤様、寺尾様、試衛館の門弟、山南でございます
何事でしょうか？と、山南
その声に振り向く佐藤と寺尾。
おぉ山南か
— つのだこうじ (@cody4tori) December 16, 2021
ちと捕物じゃと、佐藤
逃げたオロシア人がたまたま試衛館の中に入って暴れていたのだ、と寺尾
なるほど、先ほどの籠には捕らえたオロシア人が載っていたのですねと、山南
首尾よく片付いたので案ずるな
門の修理や怪我の手当は榎本様が手配してくださると、佐藤
はは
— つのだこうじ (@cody4tori) December 16, 2021
かたじけのうございます
もう中に入ってもよいでしょうかと、山南
うむ、実検は終わったのでよいぞ
我らも引き上げると、寺尾
そうだ、近藤殿に京の治安維持ついて相談があると伝えておいてくれと、佐藤
佐藤様、寺尾様、いつもお気遣い頂き感謝申し上げます
委細、承知致しましたと、山南
よし、荷駄車を中に頼むぞ利助と、永倉
— つのだこうじ (@cody4tori) December 16, 2021
へい！、と利助
（やっべーぞコイツら！同心衆やら幕臣らしき者とも親しいとは。早く帰りたすぎるーー！）
土方さん、昼食を調達してきましたよと、山南
ちょうど藤堂も帰ってきた。
ただ今戻りました〜って何で門が壊れてるんすか？
— つのだこうじ (@cody4tori) December 16, 2021
土方さんを見たい野次馬の打ち壊しですかい？
ちげーよ！攘夷してたんだ！
もう２回目だよと、土方
すんません
怒らないでくださいよ〜
それより耳寄りな情報ですよ、と藤堂
まったく
— つのだこうじ (@cody4tori) December 16, 2021
で？情報とはと、土方
清河某という方が幕府に京都の治安維持をする組織を作りたいと意見書を出したそうです
浪士や心得のある者なら誰でも参加できるそうですよ！と、藤堂
本当か！
そいつは景気がいい
近藤さんにすぐ伝えてやってくれと、土方
後日、長州藩に提出された利助（のちの伊藤博文）の報告書がある。
— つのだこうじ (@cody4tori) December 16, 2021
一、江戸市民は武士以外でも剣術を学ぶ者が多く各道場は盛大なり。旗本の予備兵力となりうる。
ニ、前項により従来の接近戦では数に劣るため銃火器による強化が求む。
三、江戸市中は細分化され、町内ごとの組織があり防備は堅い。市外または海上から打てる大砲を求む。
— つのだこうじ (@cody4tori) December 16, 2021
四、前項により江戸から幕府軍を引き出し、なるべく西国に引き付けての決戦が望ましい。
五、品川沖の水深は浅く・・・
以下、五十まで続くが、割愛する。
近藤先生？
— china01 (@xxxchina01) December 18, 2021
平助、先生は来客中だよ。
後にしな、それよりも、山南さんが山のように野菜を買ってきたので、漬物にするから、手伝ってくれ。
と井上源三郎。
そうか、じゃ、手伝うか。
裏に回ると、新八と総司が大根を洗って、白菜を切り分けていた。
続くかな。
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