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【メディア掲載】どこからどこまでも「フィールドワーカー」な大野俊先生について

こんにちは。

地球市民学科の山本達也です。

寂しいことに、同僚の大野俊先生が、今年度で定年退職を迎えられます。
先日、そんな大野先生の「最終講義」が行われました。

大野俊教授の最終講義を終えて記念の一枚

最終講義のタイトルは、「フィールドワークの50年:そこから見た日本と世界」でした。

笑いあり、涙ありの、本当に素晴らしい最終講義でした。
あまりにも良かったので、私が長年、地元紙で連載しているコラム『地球紀行』の中で、大野先生の最終講義を受けて思ったこと、感じたこと、考えたことを書いちゃいました。

先日無事に掲載されたので、noteにも転載させていただきます!

ちょっと寂しいですが、素晴らしい同僚と仕事をすることができてとても嬉しく思っています。

フィールドワーカー」として地球をキャンパスに学びを深めたい皆さん!

是非、2025年4月に新生誕生予定の【地球市民学部】で一緒に世界と日本の旅(フィールドワーク)を楽しみましょう!!!


「フィールドワーカー」としての矜持

毎年この時期になると、大学では、その年度で定年退職を迎える教員による「最終講義」なるイベントが催される。現役の学生はもちろんのこと、歴代の卒業生や退職教員、研究者仲間などが聴衆として詰めかけ、会場となる教室は、普段の講義とは異なった独特の熱気に包まれる。

筆者の所属大学でも、つい先日、同僚の大野俊教授による最終講義が行われた。大野教授は、フィリピンを中心に国境を越えて移動する「ケアワーカー」にまつわる研究や、海を渡った日系人に関する研究において日本を代表する研究者の一人である。

ハワイ大学やフィリピン大学などでも客員教授として教鞭を執っており、海外の研究者コミュニティでも高く評価されている。

筆者の所属する地球市民学科は、誕生以来20年以上が経っているものの、未だに日本で唯一の学科である。2025年には、地球市民学部へと進化させる予定であるが、これまた日本唯一の学部になりそうだ。

日本で地球市民と聞くと「よくわからない」という反応が返ってくることが多いが、英語の文脈で「グローバル・シティズン」という言葉が使用される場面は増えており、海外で名刺交換をすると「素晴らしい」とか「クールだね」との反応をもらうこともある。

大野教授の最終講義は、50年以上の年月をかけて打ち込んできた「フィールドワーカー」としてのこだわりと矜持に裏打ちされた「地球市民学」についての講義であり、大きな感銘を受けた。

フィールドワークを大切にする意義であり醍醐味は、既成概念や先入観を覆すことにあると繰り返された。そして、調査でも何でも「する側の論理」でなく「される側の論理」に思いを馳せられるかどうかの重要性を強調されていた。

今、この地球には80億人を超える人類が住んでいる。

それぞれに、人生がある。

時や場所によって、常識は簡単に非常識になる。

言われることをそのまま信じるのではなく、常に「もう一つの視点」「人が見ていない視点」があるのではないかと、フィールドワーカーとして現場にこだわり続ける。

彼ら彼女らに同じ目線で向き合い、寄り添い、時には共感もしながら、少しでも良い未来を共に構想して、具体的な行動に落とし続ける。

そんな形で、人生をかけてフィールドワークを徹底し、地球市民学を体現してきた同僚と共に仕事ができたことを喜ぶと共に、学部化を前にして残された我々も人生を通してその思いを引き継がねばと、身が引き締まる思いでいる。

(やまもと・たつや、清泉女子大学文学部地球市民学科教授=松本市)