詩『連れ去って』


連れ去られてもいいよ
連れ去られても構わないよ、私

みんな駅へ向かうから
みんな駅へと急ぐから
私もついつい同じ方向を目指してしまうけれど
あなたが連れ去ってくれるところが
私の本当の行き先で
あなたと歩くたびに夜は暗くなっていくから
だから私を

連れ去ってもいいよ
連れ去ってもいいよ
連れ去ってもいいよ
家の鍵は捨てるから

みんなおうちへ帰るから
みんな家路を急ぐから
「待って、まだもうちょっと遊んでいようよ」
なんて言えなかった
無邪気な笑顔が羨ましくて
私も帰りたくなったよ
私の知らない遠い場所へ

連れ去ってほしい
連れ去ってほしい
連れ去ってほしいの
もう夢は見飽きたから

夕方になるのが怖かった
暗くなって部屋の電気をつけるのが嫌だった
だから私は外へ出た

外の方が明るい
外の方が暖かい
外にいるとあなたに見つけてもらえる…

連れ去ってもいいよ
連れ去ってもいいよ
連れ去って好きにしていいよ


連れ去って…

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