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透明に目を奪われる

透明に目を奪われる。「無」であり、同時に「有」である世界。twitterで 透明愛好家さん や tsunekawa/旅する喫茶/クリームソーダ職人さんをフォローしているのだが、彼/彼女ら(性別がわからない)が見出す世界を心から尊敬している。透き通った中にある輝きは、危うげな儚さを孕んでいて甘美である。

透き通った音楽も好きである。例えば、ラヴェルのピアノの小品や、シベリウスの交響曲。ラヴェルの作品は煌びやか宝石箱。シベリウスは、冷たい、白銀の雪景色が見える。シンプルな音数から紡ぎだされる、色彩豊かな輝きを感じる。

COURRiER Japonで、台湾のIT大臣オードリー・タン氏のインタビューを読んだ。台湾には「g0v」というシビックハッカーの集団があり、その信条の一つに「ラディカルな透明性(radical transparency)」がある。簡単に言うと、国の仕事(政治や行政など)の透明性だ。かつての台湾は、国の仕事に透明性がなく、またSNSによって民意は分断されていた。しかし、「vTaiwan」「Polis」という新しいプラットフォームを設けることにより、国の仕事を可視化し、分断された民意を役立てられる形にまとめていったという(これについては 近藤弥生子さんのnote や Atsuya Suzukiさんのnote、また The Guardian にも詳しく書かれている)。

眩暈がした。今の日本の問題は、当時の台湾が感じていたような「分断」と、「必要な情報からの隔絶」ではないか。何周の遅れをとっているのだろう。コロナ禍が始まって以来、定額給付金のシステムや、COCOA の不具合などさんざん非難されているが、なんか基本的な所に決定的な誤りがある(あるいは、なにか大切なものが存在しない)気がする。そして台湾はマスク政策で脚光を浴びていたが、そもそもの土台(基盤となる思想)が洗練されており、強固であると感じた。少々の差ではない。全然違う。

どうして今、このような状況なのだろう。今からでも立ち直れるのだろうか。ちょっぴりブルーになるが、前を向いていきたい。

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