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2019年はファンタジー、10年前は◯◯。BL作品のトレンド

BL作品問わず、作品の切り口やイラストのタッチを長期スパンでみると、時代に即したトレンドがあります。流行のきっかけは諸説ありますが、同人市場でのヒット作による影響もある説も。

今回は、2019年に発売されたBLコミックス・小説の中から、複数の作品に切り口としてピックアップされた"ネタ"を、約10年前と比較してみました!トレンドに注目すると、「売れるBLにはこの萌えがあった!」が見えてくるかも…?

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2009年その1「ヤクザ」

アウトローな世界に生きる男性たちの物語が人気。日々普通に過ごしている私たちには関わることのない世界ですが、その分男たちのロマンスに夢や希望(!?)など、読者に想像させる隙間があるのが、萌えポイント。ヤクザ攻めで警察官受けなども多く、相思相愛になるまで壮絶な経緯を辿る展開が多い傾向。この頃は、漫画よりも小説に多く採用されている傾向にありました。代表作は「交渉人は振り返る」で、2009年に発表された「BLアワード2009」の小説部門TOP10でも、ヤクザ系小説が複数ランクインしています。▶︎BLアワード2009小説部門

現在でもヤクザBLは人気。2020年2月には、2013年から連載が続く人気シリーズのBLコミック「囀る鳥は羽ばたかない/ヨネダコウ」がアニメ映画化され、既に第二弾やOAD化も発表されています。 


2009年その2「ノンケ」

2019年は「ノンケ」属性を持つキャラクターが出る話が人気でした。性的な指向が違う二人がその壁を乗り越えやっとの思いで両思いになる過程が萌えられていたのかもしれません。代表作は「窮鼠はチーズの夢をみる/水城せとな」です。本作も2020年に実写映画化、さらにジャニーズ含む人気タレントを起用し話題を呼びました。

反対に、2019年のBLは、受けも攻めも同性を好きになってもそこまで悩まない印象です。(※もちろん、とても悩みに悩みぬいてゴールインする作品もありますし、人気です。)時代の流れでしょうか。

2009年その3「現代日本モノ」

実は、2009年に人気だったBL作品はほぼ「現代日本モノ」。時代物だったり、中世ローマが舞台といった現実離れしたファンタジーな世界観。2019年だとファンタジーな世界観が採用された作品は多くありますが、2009年当時は少ない印象です。中村明日美子先生の「同級生」をはじめとした、現代のリアルな世界観を舞台に会社員、大学生、高校生が切ない恋に身を焦がすストーリーが目立ちます。現代モノで純愛を好んでいた光の腐女子が、多かったのかもしれませんね。▶︎腐女子の分類については、こちらの記事を参照


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2019年その1「獣人」

数年前からひそかに増え続けている獣人が登場するBL作品。「生贄のお勤めは、」等、2019年のちるちるのBLランキングでも多くみられました。"ケモナー"と名前がつくほど一般化しているので、BLに限らず創作全体のトレンドとも言えるかもしれませんね。

獣人といっても人間の見た目に耳や尻尾が生えているキャラクターから、より獣に近い見た目のキャラクターまで、十人十色。攻めor受けは問わず、多種多様な獣人CPが誕生。そんな獣人BLの魅力は「本能に抗えない攻め&受け」「異種どうしのイチャらぶ」という声も。 人間にはない「抗えない本能」、獣人×人間の体格差などに萌えポイントです。特に、動物好きな方は獣人愛が溢れるもふもふBLに癒される方も多いとか…?獣人は、メインの萌えだけではなく癒しもオマケでつく、クリームソーダのような存在なのかもしれませんね。

2019年その2「子育て」

家族愛溢れる日常BLを求めている腐女子は思ったより多いかもしれない…!? BLに子育て要素が入ってくる、そのストーリー的要因は様々。受けが自分で産んだ子供だったり、攻めの親戚の子だった等、設定は多岐に渡ります。 オメガバースが流行したことで、2019年にシリーズ3巻が発売した「ただいま、おかえり」などの「子育てBL」カテゴリもどんどん広まっていきました。

さらに2010年代中頃から登場した「オメガバース」も、子育てBL作品を増やす一手となりました。商業BL読者は、子育て世代も非常に高い割合を占めています。そのため、リアルな設定を求めつつも、理想的な子育てライフを送るCPたちを見守りたい心理があるという説も。キュートな子供を挟んで時に切なく、たまにえっちに繰り広げられる日々はとてもほっこりしますよね。

2019年その3「悪役転生」

ネットを中心にBL小説でカテゴリー問わず登場した「悪役転生」。「物語の中の悪役に転生」してしまった主人公(悪役)がその世界で生きていく様子は常に生死と隣り合わせ……!コミカルな展開のものから切ない展開のものまで多くありましたが、「悪役の主人公が新たな人生を切り開く」場面には多くの読者さんが心揺さぶられます。商業BLでは「悪逆貴族の身辺整理」などが挙げられます。

実は、日本のBL市場よりも、韓国の漫画・小説市場で大盛り上がりを見せているのが、この「悪役転生」ネタ。2000年代初期の日本でもあった「記憶喪失」ネタのような勢いで作品が生まれており、日本にも波及してきました。BL漫画でも、今後もしかして広がる可能性はありますね。

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サンディアスでは、豊富なBL業界の知見を元に腐女子向けサービス・コンテンツのアドバイスを行っています。

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