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立ち止まる小説

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#短編小説

1年越しの渋谷で再会しよう。

東横線と埼京線から向かってきて、とりあえず集まりたくて、駅は渋谷駅に決めた。13:00に集ま…

ひの
3年前
7

またの機会に

「今回はご縁がなかったので、またの機会に」 遠回しに、必要とされない度量だと秤に乗せられ…

ひの
3年前
7

しがみつく

反対側のホームに並ぶスーツ姿の群れを見て、下り電車がやってくるホームにいる私が、開くドア…

ひの
3年前
15

平生とミルクフランス 2

ディスプレイにはパンと、その類だと言われても許せる食品が並ぶ。 塩パン、つぶあんぱん、こ…

ひの
3年前
8

平生とミルクフランス 1

太陽が高くに位置している時間に、執拗に照らしてくる窓ガラスと視点をずらすように、昼下がり…

ひの
3年前
7

不可逆式歩道橋

二車線の広々として車通りが多い車道を跨るように、長くてゴツゴツした歩道橋がかかっている。…

ひの
3年前
10

ゴミ出しの日

9時前には収集車がやってくるから、起きたら何をするよりも、玄関にまとめたゴミ袋の封をして、サンダルに足を通して玄関を開けて運んでいく。寝巻き姿で外に出ることに抵抗はないとはいえ、できれば人に会いたくはない。7時半にはそういう人しかいないと勝手に思い込んでいる。 外に出ようと身構えるときは、当然のようにスマートフォンとイヤホンを持ち歩いていて、玄関を抜けた途端に、音は自分の手元で制御できるようになる。 そんなに重たくないのに大きく見えるゴミ袋を運んでいるときは、なりふりも構

走らされてる、自分に

何も起こりえない1日に無理をして、イベントごとを起こそうと悪あがき、限られた時間と労力で…

ひの
3年前
8

十進数と赤シート

試験当日の朝、最後の詰め込みと称して赤シートで隠しながら単語帳を繰り広げる。 電車の時間…

ひの
4年前
8

故郷と境界線。

無責任に「頑張れ」と言われるのは、酷なことだと決めつけていた。 だって、こっちの事情は見…

ひの
4年前
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