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コロナ禍のコミュニケーション

五感で満たすコミュニケーション 

夏も残りわずかとなり、空を見上げると、夏の雲と秋の雲が混ざり合い季節が流れていくことを感じます。本来は子どものいるご家庭では、残り少なくなった夏休みを惜しむように楽しいひと時を過ごされているはずですが、昨年に引き続きコロナの影響で自粛せざるを得ない状況になりました。
手指のアルコール消毒やマスク着用にすっかり慣れた子どもたちを見ると、不自然が自然になっていく怖さを感じます。毎日流れるコロナ感染情報のニュースは、子どもの耳に無意識に入り、戸惑いと緊張と恐怖を肌で感じているのだと思います。

断片的に入ってくる情報で「話さない」「触らない」「離れる」など、コミュニケーションに必要なことがすべてマイナス要因になるように誤解されています。そばにいる大人が正しい知識をもって、必要な行動ができていれば良いのですが、あいまいな情報にふりまわされていると認識も行動も不安定になります。

コロナ感染予防とはいえ、家庭の中で「○○してはダメ」「○○しなくてはいけない」「一人で○○しなさい」など、指示命令のような言葉が増えてしまっていないでしょうか。子どもたちの生活は、縛りが多くなり、ストレスが増えていくばかりです。

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コロナ禍の生活は、見えないコロナウイルスを怖がることと同時に、見えている他者を怖がるようになっています。そのためコミュニケーションの図り方がわかりにくくなってしまいました。もちろん言葉を交わすことは、オンラインでも気軽にできるようになりました。遠くにいる人とも気軽にスマホやタブレット、パソコンで顔を見てお話ができます。だからコミュニケーションが取れていると思われています。しかし、これは五感的には満足はしていません。視覚や聴覚でしか図れないコミュニケーションは、やはり満たされません。

コミュニケーションは、五感を使い満たされるものであることです。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚です。オンラインによるコミュニケーションは、視覚と聴覚のみです。あとの感覚は、スキンシップが必要になります。他者の匂い(嗅覚)、他者とのスキンシップ(触覚)、他者が作った食事や他者と一緒に囲む食卓(味覚)などで、コミュニケーションは満たされていきます。そして、これらのコミュニケーションこそ心を育み、前向きな気持ちと行動を起こすことができるようになります。不安や恐怖をとりのぞき、建設的な思考と行動でコロナ生活を乗り切りましょう。

スキンシップのために家庭で気をつけること

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何かに触れる、人と距離が近くなることが危険だと誤解されがちですが、不特定多数の人がいる場所や、密室の中に大勢がいる場所とは違うので、一般家庭内では手洗いうがいをきちんと行っていれば神経質になる必要はありません。逆に、外で緊張している状況なので、家庭内では解放されてリラックスできる状況を作ってあげて欲しいと思います。

家庭内感染を防ぐためには、できるだけ人の多い場所は避けることです。子どもが家の中にばかりいてかわいそうだからと外出をされることもあるでしょう。でもその場所を選んでください。人の多い電車に乗るとか、換気の悪い屋内などに積極的にはいかず、家庭の中とは違う、自然のある場所、思いっきり深呼吸ができる場所などを選ばれるといいと思います。外で深い呼吸ができることが今この状況下ではとてもぜいたくなことでもあるんですね。
普段の私が家庭の中で気を付けていることは、

①石けんで手洗いをする 
②手を拭くタオルは、こまめに取り換えきれいなものを使う
③歯磨きやうがいで、口腔内をきれいにする 
④生ごみはためずにすぐに処分し、部屋の中を清潔にする 
⑤換気に気を付ける
⑥宅急便や郵便物など触れた時は、すぐに包みや封筒を処分して、手を洗うこと 
⑦買い物から帰ってきたときは、買い物してきた荷物をそれぞれ拭いてからしまう 
⑧人込みの多いところへ外出した後は、衣服を着替える

これらのことを行っています。⑧以外は特にコロナだからということではなく、以前から行っています。ここ十数年風邪もインフルエンザにもかかりませんから、有効かもしれません。

様々なスキンシップでコミュニケーションを高めましょう

家庭内で手洗い、換気など気を付けながら、スキンシップは積極的に行ってください。足りない五感「嗅覚」と「触覚」を満たすためにスキンシップはとても有効です。家族の匂いや体温を感じる距離感は、幼い子どもたちだけではなく、年齢関係なく安心するものです。
また、家族が揃った家の匂いは、安全と安心を感じる匂いとなって無意識を癒しています。もちろん、家族が不和であったり、家が安全で安心する場所であることが前提です。つまり、家族が健康で家の中が清潔に保たれていれば、そこで育つ人の癒される「香り」が自然に作られているわけです。

「触覚」においては、いわゆるタッチケアです。手技手法関係なく、ただ手をさすったり、背中をさするだけでも良いと思います。不安が強いお子さんには、おなかに手をあてて、ゆっくり「のの字」を描くようにふれてあげると、精神的にも安定します。何となく直接手で触れることに躊躇される方は、日本手ぬぐいを利用してみましょう。この場合、タオルではなく、日本手ぬぐいがベストです。手ぬぐいをタッチしたい場所にかけて、その上からなでたり、さすったりしてください。手ぬぐいが体に密着し、そして手の滑りもよくなるので、ストロークがしやすくなります。たった一枚の薄い布ですが、この1枚を入れることで、直接触れていないので安心感が出てくるのです。思春期に入り、触れることは難しくなってきたお子さんにも、この方法だとスムーズにタッチができることがあります。

スキンシップですから、声掛けも大事にしましょう。タッチしてもらいながら、体の状態がわかるようになると、触って欲しいところや気持ちよいところもわかるようになるので、尋ねてみたり、強さや加減も聞いてみるといいでしょう。大切なのはどんな手技がどの場所にどのような方法でという専門的なことではなく、「気持ちよい」ことが前提です。触れあいながら「気持ちよい」ところを思い出すことがケアにもなるからです。握手したり、ハグしたり、手をつないだり・・・心を伝えるためのスキンシップも習慣にできると良いと思います。

まだまだあるスキンシップ

スキンシップというと肌と触れ合うことに直結しますが、方法はさまざまあります。五感を使ってコミュニケーションを高めることが必要だということは前述しました。では「味覚」においてはどうするのか?ということですが、一緒に食卓を囲むだけでも「味覚」の変化は出てきます。

個食といって一人で食事をすることよりも、家族で食卓を囲むことで脳の刺激も心も変わってきます。また、時間があるときですから、子どもといっしょに食事の支度をすることも良いと思います。美味しいものを作る気持ちで、一緒に作り、味わうこと「味覚」のコミュニケーションは満たされます。ぜひ、五感を意識したコミュニケーションとしてスキンシップを考えてみてください。

<朗報! 9月18日 中川れい子先生よるタッチケア イベント開催>

9月18日 タッチケアの研究と普及活動をされているNPO法人タッチケア支援センター代表理事の中川れい子先生の講座をチャイルドケア共育協会で主催します。中川先生は、一言で言ば「愛あるタッチケア」を目指されている方です。ボランティア活動からタッチケアの必要性を感じ、学びと研究を重ねる一方で、その指導と普及活動に熱心に取り組まれています。研究と現場を知る経験数があるからこそ、方法論だけではないリアルなお話が伺える機会になります。中川さんの目指す先は、チャイルドケアでも目指すものでもあると感じています。きっとチャイルドケアを学ばれている皆さんには共感することでしょう。イベントでは、チャイルドケアを代表して松本と中川さんのタッチ談義もする予定です。どうぞお楽しみに。

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【 講師プロフィール/松本美佳 】
チャイルドケア研究所代表/家庭教育学会常任理事/家庭教育支援協会理事/八洲学園大学公開講座講師

アロマセラピー、ハーブ療法、フラワーエッセンスなど各種自然療法を学び、’97より夫の治療院でセラピストとして活動。さらに、充実したケアを伝えるために講師活動を始める。同時に、家庭教育を専門的に学び、親子・家族・家庭を幅広い観点で考え、家庭の中で自然療法と家庭教育を取り入れた「チャイルドケア」を体系づけ、現在、さまざまな形で普及活動を行っている。

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