過干渉

過干渉 1

知らず知らずのうちにやっていしまっている過干渉な関りがあります。
「〇〇してみたら?」「〇〇してみようか。」こういった声掛けはよく聞くのですが、強制はしていないものの誘導しているだけで“過干渉”になり、これをしすぎると選択的思考が育たず、自己選択が出来なくなります。
このアドバイスや誘導が、自己選択できなくなるのか。それは、言葉の前に見えない否定が含まれているからです。
今のあなたじゃ駄目だから”「〇〇してみたら?」
それは間違っているから”「〇〇してみようか。」
このように見えない否定を作り上げて感じてしまいます。
これは”敏感な感性を持っている子”ほど否定を感じやすいですし、そこにバーストラウマが残っていると、かなりの存在否定を感じてしまいます。

子供にとって主たる養育者からの“過干渉”は、最初に必要な“他者承認”を受けられないだけでなく、自己否定感も引き起こさせてしまいます。
“過干渉”は干渉し過ぎなければいい。という考えでは“過干渉”になりやすく、かと言って非干渉もいけませんが、基本的に子供の行動や発想を受け入れて見守りながら関わっていくのが理想になります。

義務的思考を助長するような「〇〇してはだめ。」「〇〇しなさい。」「〇〇しなければいけません。」「〇〇するのが当たり前。」こういったものは、分かりやすい“過干渉”として最近「毒親」とも言われたりします。
しかし、毒親のような明らかな主体を奪う過干渉だけでなく、上記したアドバイスや誘導の声掛けは「隠れ毒親」として子供の心を潰していきます。
不安障害を引き起こしやすくなり、思考の両極端を起こして思考の柔軟性を欠くといった2次的な支障を来たしてしまいます。

“過干渉”による不具合を起こさないためには、後題で書く「自己感情認識」を高めてあげて自己感情に気付き、自分で何をするか、何をしたいのか。どうするか、どうしたいか。を考えさせる関わり方が必要ですし、特に強制したり誘導したりしなければ、子供は自分に必要なことを自ら行動するものです。

子育てで必要なのは、「何をどうすれば良いのか」の手法を教えるのではなく、その手法を自分で見つけて出来るようになる思考力と実行力を育てることです。後題で書く「考える力の育て方」を見てください。
義務的思考にするような行動だけの指示は良くありませんし、危険や失敗をさせないための先回り子育ても、選択的思考を妨げるアドバイスや誘導も避け、子供自身の自己感情に基づいた適切な行動を自分で出来るようにしていくことが大切です。

例えば…、子供が退屈していて落ち着かなくなっていたら。
疲れからきているようだったら「気分が落ち着かないね。疲れているようだから、どうするのが良いと思う?」と問いかけたり、単に退屈していただけなら「退屈しているみたいだね、何かやりたいことないかな?」と問いかけたりして、子供自身の感情や状態を気付かせ、それに基づいて適切な行動を見つけ出せるようにしていきましょう。
また、最初のうちは適切な行動を自分で見つけることは難しいため、それを否定してこうだと教えるのではなく、理解できるように感情ベースで説明して納得してもらうなり、やらせてみて違ったという経験をさせ、間違いに気付いてもらいながら、良い方向に向かっていきましょう。

子供にとっての“過干渉”は、発達にも心理的にも何にも良いことはありません。また、これらの不具合によって何らかの症状が出てきた場合は、子供はとても苦しむことになりますし、症状を改善していくにも思考の持ち方を修正していかなければないため、容易ではありません。
“過干渉”は、子供のことを思う気持ちの強さの現れですが、その思いの強さが裏目に出てしまわないようにしていきましょう。

つづく

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