夫からの「好きだよ」に答える、私なりの正解|SUPER BEAVER『言えって』

夫から「好きだよ」と言われるたび、居心地の悪い思いをしていた。

どう答えれば良いか分からないから。

分からないとは少し違う。「私も好きだよ」と答えればきっとすべてが上手くいく。夫の言葉にたぶん嘘はない。それと同時に、きっと彼は私からの「好き」を求めてもいる。分かってはいる。

それでも私はその言葉を上手に発することができなかった。その言葉に対して感じる違和感を無視することができなかった。だから、いつもなんとなく誤魔化していた。自分勝手も甚だしいけれど、誤魔化しながら、応えられない自分に悲しくなりもした。


失くして失くして失くして
無くなって気付いて
大事だったんだと泣いて 後悔を
何回何十回何百回
繰り返したのにまだ
繰り返すなんてバカみたいだ
当たり前だって思ったら言って
好きって


SUPER BEAVERを久しぶりに聞いていて、目に止まったのは『言えって』だった。

私と付き合うことになる前日、この曲を聞いていたと後に夫は言っていた。「この曲を聞きながら好きって伝えなきゃと思っていた。」と。

そして「この歌詞は本当にその通りだと思う。ちゃんと言わなきゃと思う。だから自分はそうしたし、これからもそうする。」と彼は続けた。

こんなに真っ直ぐに愛を伝える人だったのか、と思った。それまで見ていた姿からはまったく想像できなくて、驚いて、擽ったくて、そして嬉しかった。はにかみながらそう言う彼のことを、私も好きだと思った。

そのことを思い出した。


再生ボタンを押して、「とはいえ、当たり前だと思ったら好きって言う…好きか…うーん…」と思っていた。

でもその直後の歌詞を聞いて、初めて聞いたときのような衝撃をもう一度受けた。久しぶりで忘れていた。

失くして失くして失くして
無くなって気付いて
大事だったんだと泣いて 後悔を
何回何十回何百回
繰り返したのにまだ
繰り返すなんてバカみたいだ
当たり前だって思ったら言って
好きって
大事なんだって 今すぐ
言えって

そうだった。こう続くんだった。


夫からの「好き」に対して、私は何も渡さないままで良い?そんなわけがない。彼のことが大事だと思った。それを伝えなきゃいけないと思った。

でも「好き」という言葉はちょっと違う。「あなたが大事だよ」と急に言うのはなんだかおかしい、というかあまりにも脈絡がない。


私は夫のことが大事で、できれば悲しい思いや辛い思いをしてほしくなくて、それでももしどうしてもそのような思いを抱えなければならないのならそれについて私も考えたくて、それが彼にとって難しいことだとは分かっているけれど自信を持っていてほしくて、そのために私はできることをしたくて、絶対に一緒に幸せになりたい、というか、なる。

それは愛だ、と思いついた。なんとなく大げさな気がして、これまで俎上に載せてすらいなかった。"嫌い"の反義語という役割も担っている"好き"ではなく(つまり好き嫌いで測れるものではなく)、もっと絶対的なもの、愛だと思った。実際に言葉にしてみたら、これ以上ないほどしっくりきた。


夫からの「好きだよ」に答える私なりの正解は、「愛してる」だ。

やっと見つけた。これが私の答えだ。そう思ったら澄んだ青がサッと心に広がった気がした。


■ 摂取エンタメ記録

Watching:『殺人を無罪にする方法』シーズン1 6-7話

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?