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自転車で街を駆け巡る

仕事で週に2回ほど自転車で外に出ることがある。お客さんの家を自転車で回るのだ。
夏は暑いし、冬は寒い。雨が降っていても約束があれば行かなければならない。みんな現場に出るのは嫌だというけれど、僕はこの自転車で外に出る時間が結構好きだったりする。

なぜなら、ひとりになれるからだ。
ずっと会社にいると息が詰まる。
会社が嫌いなわけではないけれど、集団行動が苦手な僕にとって、外に出ることはちょっとした息抜きになっている。

外に出るのが好きな理由として会社の自転車が電動自転車ということもある。僕は会社に入るまで電動自転車に乗ったことがなく、これがどんなに楽チンであるかを知らなかった。
だから、初めて乗った時は感動した。

初速が違うのだ。

自転車を漕ぎ始める際に普通の自転車であれば、
「よっこらしょ」と力を入れないといけないが、
電動自転車であれば乗った瞬間からスィーと走り出すことが出来るのである。
そのため信号で青になって、おばさんがケンケンしながら自転車を漕ぎ始める中、僕は助走なくその横を得意げに通過することが出来るのである。

一度電チャリに乗ったらもう普通のチャリには戻れない。それくらい僕は電チャリが好きである。(家は普通のチャリだけれど)

今の時期は暑くもなく、寒くもなく外に出るのが気持ちいい。
僕は春から担当地区が変わり、以前よりも遠い場所が担当となってしまった。最初の現場に着くまで大体30分以上かかる。そこから2時間ほど家々を回り、また30分かけて会社まで戻ってくるのである。

バイクで行くことも上司から打診されたけれど、
僕は「バイクは怖いのでチャリで行きます!」と宣言し、片道30分以上かけて自転車で回っている。

最初は遠いなと思ったけれど、人間というものは慣れるもので今では全然苦ではない。
僕はこの自転車旅の楽しみ方を知っているからだ。

自転車で走っていると、考えごとが捗る。家に帰ったら何しようかなと関係ないことばかり考えているが、自転車との相性はいい。ブログに書くことも考えたりしてる。
現に今回のブログも自転車を漕ぎながらこれをテーマにしようと思ったのだ。

川や商店街、空など僕は気に入った風景を写真で撮ることも好きである。
僕が働いている場所は詳しくは言えないが、
下町情緒のある街並みが広がっている。
働くまでは来たことすらなかったけれど、3年も働いていると無駄に愛着が湧いてきて、テレビで仕事の近くが映るとつい見てしまう。

猫ちゃんが道路で寝ていることも多く、僕は見かけたら写真を撮るようにしている。気持ちよく寝ているだけなのに、ニコニコした男が近づいてくるから猫ちゃんには度々不機嫌な顔をされている。

自転車で走っていると保育園ベイビーズにも遭遇する。
保育園ベイビーズは近くの公園を目指して、行進しているのだがこれまた可愛い。みんなで手を繋いで先生を先頭によちよち歩いているのである。僕は保育園ベイビーズの横を通る時はぶつからないよう慎重に自転車を漕ぐようにしている。

いつまで工事してんねん!!という道路もある。
年がら年中、その道を通る度にどこかしら舗装工事をしている。
でも、交通整理のおじさんが「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と丁寧に頭を下げてくるので、文句は言えない。

むしろ、この道をより通りやすくするために工事してくれているのだから感謝しなければいけないのはこっちの方である。
迷惑なんてことはない。

自転車で街を走るようになって、世の中には色んな人が働いていることを知った。工事現場の人、配達している人、汗だくになっているサラリーマン、開店の準備をしているパン屋さん。みなそれぞれ生きるために仕事をしているんだなとしみじみ思う。

街中で働いている人を見かけると、「お互い頑張りましょうね。」という気持ちになってくる。

自分が今の仕事を一生したいかどうかは分からないが、僕は自転車を漕ぐ時間が好きなので案外向いているような気もする。

これからも自転車を漕いで、漕いで、この街を探索しようと思う。
街中で鼻歌まじりに自転車を漕いでる男がいたらそれは僕かもしれない。


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