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マラウイの図工の粘土はどこから来るの?教材屋さんがない国の粘土事情。

油粘土、紙粘土、土粘土。

図工で使う粘土には色々あって、それぞれに特徴がある。でも、それが何からできているのかは気にしていなかったし、興味もなかった。油粘土はずっと使える。紙粘土は白くて、固まると終わり。土粘土はその中間、くらいの認識。目的に応じて使えれば、楽しめれば、それでいい。

調べると、純粋に自然の粘土からできているのは、土粘土のみだという。ということは、土粘土に限って言えば、大量の粘土がどこかで採取されているということになる。それが日本なのか、世界のどこかなのか、よく分からない。

小さい頃、畑や空き地の地面を深く掘ると、少し粘土っぽいものが出てくることはあったけれど、図工の時間の土粘土ほどきれいなものじゃない。ビニール袋に包装されて、図工の時間に先生から配られる四角いそれは、もはや自然の物というより、「製品」だった。

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マラウイの教員養成大学で、学生が土粘土で作った器や鍋を手に、教室へ向かっていたのを見つけて、思わず呼び止めた。学期末の課題として作った、土器だという。色は茶色というより、黒。そのきれいに整えられた形を見れば、器用さが分かる。焼成はされていないし、作って間もなかったようだから、触らせてもらうとまだしっとりと柔らかい。

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ふと、疑問が浮かんだ。
「教材屋さんが存在しないマラウイで、この学生たちはどこで良質の粘土を手に入れたのだろう」
それほどきれいな粘土だったからだ。

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土器を手にしていた学生に、その疑問をぶつけてみた。
「学校の裏から出て、トウモロコシ畑を下った所に川がありますよね。そこでたくさんとれますよ。」

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確かにそこに川はあった。川と言っても、用水路ほどの小さな川だ。その川に流れ込む水の流れが削り出した溝に、粘土が表出していた。

先生が「粘土で作品作り」という課題を出したら、自分たちで材料を探し、作り上げる。すごい行動力だな、と感心していたら、マラウイでは、当たり前のことなのだそうだ。多少場所のアドバイスはあるのかもしれないが、小学生の子どもでさえ、自分たちで勝手に集めてくるという。

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その後、マラウイ各地を訪れた時に、ここと似たような場所で、子どもたちが熱心に粘土を集める姿を、何度か目にした。

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小学校に足を踏み入れると、教室の隅に、粘土の作品が置かれていることも多々あった。

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マラウイの人々にとって、粘土の採取場所は、きっと常識なのだ。

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体験的に、どこに粘土があるのかを知っているマラウイ人。
ビニール袋に入った四角い粘土が、どこから来たのかなんて気にも留めていなかった自分。

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魚はお刺身、切り身。
肉はパック詰めの赤い肉。
それに加えて、
粘土は、ビニール袋に個包装。

生き物と同列にすることはできないが、自然の恵みという意味では、これも、どこから来たのかを知っておいてもいいのかも知れない。

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