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6.11

村上春樹の騎士団長殺しをちびちび読み返している。初めて村上春樹を読んだのは確か高校生のころで、たぶん父の本棚にあった海辺のカフカだった。今思い返しても、あれは初めて読む村上作品としてとてもよかったと思う。村上春樹作品が持つ、「あちらの世界」の不思議さや、神秘的なところ、ミステリーっぽいところ、歴史の流れを感じさせるところなどがふんだんに、そしてバランスよく存在していたと思う。

大学生になったころは中編小説、国境の南、太陽の西が好きで、他者を致命的に損ねてしまうんだけど、それでも生きていかないといけないような、そんなどうしようもなさに惹かれたのかもしれない。大学時代はわりかししんどかったこともあるのかもしれない。

卒業してからはねじまき鳥クロニクルで、個人的には氏の最高傑作だと思っている。三冊にわかれている大長編だけど、何度読み返してもはらはらするし純粋におもしろい。年末年始とか時間のあるときにがーっと読むのがおすすめです。

騎士団長殺しが二年前くらいに出てからは、この本が気に入っていて、村上春樹の小説の中では静かというか地味というか、主人公の年齢も上がり、舞台もほぼ彼の家で動きがなく、目新しい要素もあまりなく、という感じだけれど、どっしりとした話の骨格があり安心して楽しめるというところと、主人公が画家なんだけれど、彼の絵を描くところの描写が、作者の文章を書く行為とつながっている気がして興味深いし、絵を書いたり文章を書いたり、何かをつくったり、仕事で何かを生み出したり、という人は非常に興味深く読めるんじゃないかなと思う。静かだけどどっしりとした安定感があって、夜ゆっくりお酒を飲みながらちびちび読むのにおすすめです。

それでは、また。

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