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半年ぶりの出社

季節の変わり目のなんやかんやで、このまま毎日同じことを繰り返していてはメンタルが死んでしまうと思ったので、半年ぶりに一日だけ出社することに決めた。それから出社する理由を考えた。「寒くなる前に一度顔を合わせて、ここ最近滞っている案件について打ち合わせ致し度く」理由としてはいまいちだが、おそらく同じようなことを考えていたのだろう、チーム内の同僚と上司、そして私の3人が日にちを合わせて出社することに決まった。

きっとこんな大イベントの日とくれば、どうせ土砂降りになったり、異様に冷え込んだりするのだろうと身構えていたが、青空とはいかないまでもすっきりとした朝晴れの中(イギリス人が言うところのMild)、久々に通勤電車に乗り込むこととなった。半年前までスーツ姿のサラリーマンたちと一緒にギュウギュウ詰めで乗っていた電車は、二人掛けの席に一人で座れるくらいの乗車率だった。

オフィス内では、自席ではマスクを外してもいいが、それ以外では着用するというルールになっていた。消毒用のジェルもいたるところに設置されていて、めっぽう酒に弱い私は使うたびにアルコールの匂いでカッと喉の奥が熱くなった。小売店に置いてあるやたらと香料の強いジェルで同じような症状が出たことはないから、おそらくこれはアルコール濃度の高いちゃんとした商品なんだろう。期せずして目利きしてしまう。

オフィスはとても静かだった。出社前にあれこれ最新のオフィスルールを叩き込まれたのでドキドキしたけど、思いのほかゆったりとした雰囲気が流れていた。しかし視力の問題で、ソーシャルディスタンシングを保ちながら同僚のスクリーンをのぞき込んでも読めやしないし、会議室を使わずに打ち合わせをしようとするとスペースの問題でそれほど距離を開けられない。やっぱり2メートルは遠いなと思う。

それにも増して距離を感じてしまうのがマスク。目の前に相手がいるのに目しか見えないというのは、脳が慣れないのかだんだん混乱してくる。身振り手振りも、ヘッドセットを通さない相手のクリアな声も、オンラインでのコミュニケーションより格段に情報量が多いはずなのに、相手の表情を読み取れないというそれだけで少し不安な気持ちになってしまう。見知った相手だと脳内で補完しているところもあるはずなので、新しく入社した人とかはやりづらいだろうなぁ。

それから、ワンフロアに10人程度という小規模出社だからこそ仕事に集中できたのであって、これが倍の人数に増えたらと想像するとストレスの方が上回りそうだ。会社全体としては、今は希望者は出社可という状況で、特段出社を推奨してはいない。(ボリスも Work from home if you can と言ったことだし)だから同僚の何人かはもう年内はオフィスに戻らない宣言をしている。この先足並みを揃えてハイ今日から全員出社、というのは難しそうだ。

ランチは半年ぶりにPretへ。まさかPretのサラダを懐かしむ日が来るとは思わなかった。さて、次出社するのはいつになるだろうか。




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