見出し画像

#06 【ガンとお金の話】支えられて僕達は生きている

2019年2月22日

全国健康保険協会東京支部から封筒が届く。
癌の告知を受けた直後に申請しておいた健康保険限度額適用認定証だ。3月から治療が始まるので今月中に届けばラッキーくらいに考えていたのだけど、思ったよりも早く到着してよかった。

癌治療となれば当然お金がかかる。総額で一体いくらかかるのか、今の段階では皆目見当もつかない。しかし少なくともこれまでの検査の比ではないことは容易に想像がつく。

中咽頭がん経験者の話によると放射線治療が一回数万円、抗がん剤に至っては一回20万円とも30万とも聞く。自己負担3割だとしてもかなりの金額だ。

放射線治療に関しては通院する予定なのだけど、抗がん剤の投与時には4日間の入院が必要となる。
全部で4回の抗がん剤投与でトータル16日間の入院だ。当然その費用も別途で必要となるし、治療が長引けばその分費用もかさんで青天井だ。

今回申請した健康保険限度額適用認定証を使用することで健保組合からの補填が出て、毎月の医療費の支払いを一定の限度額に抑えることができる。
年齢や年収その他の基準によっていくつかの幅があるようだが、計算上はおそらく毎月10万円以下に抑えることができるらしい。有り難い話だ。

普段は高い高いとブーブー言いながら払っている健康保険料だけど、あらためて健康保険システムの整備されている日本の医療制度に感謝しなくてはいけない。


そしてお金が必要なのは医療費だけではない。病気の療養中の生活費も深刻だ。

法人の代表とはいえ実態はしがないセミナー講師、実務がなければ実入りもなく、当然仕事をしていない間は収入は途絶える。

通常の会社員なら傷病手当金の手続きをすれば休職中でも一定範囲内の給与は保証されるが、僕のようないわゆる零細企業の社長は給与ではなく役員報酬なのでその制度は該当しない。

もちろんしかるべき手順を踏めば役員報酬を受け取っている取締役でも支給を受けることも可能なのだけど、いくつかの煩雑で不慣れな手続きに時間を費やさなければならなそうだ。なんだか色々面倒なのね。こういう時だけは普通の会社員が羨ましく感じてしまう。

しかしその辺も会計士から本日連絡が入って、提携している社労士の先生に相談したところ、つつがなく手続きを進めることができそうだとのこと。

先日の打ち合わせではショックで半ば放心状態だった彼だけど、肝心要のところはしっかり抑えて動いてくれていたようでこれまた有り難い。
やはり餅は餅屋だ。自分一人で抱えてしまわないで話せる人に相談してみることも大切なんだなと思う。


無事に完治して社会復帰できるようになるまで最終的にどれだけの時間と金額が掛かるのかは誰にもわからない。受けることのできる行政サービスはしっかり活用し、第一線に復帰した暁には払うべき金額を納めて返す。それが社会の正しい循環だ。そう思ってありがたく使わせてもらうことにする。

人も然り、行政も然り。
いろんなシステムやサイクルに支えてもらって僕達は生きている。
あらためてそのことを胸に刻んでおかなければいけない。

美味しい食べ物とか、子供達へのおみやげとか、少しでもハッピーな気持ちで治療を受ける足しにできれば嬉しいです。