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#04 人は自分が体験してないことは上手く想像できない

2019年2月19日

昼から会計士とミーティング。

対座して早々、突然ですが実はガンになっちゃいまして・・・なんて話を切り出したもんだから、会計士の表情が一瞬で固まる。当たり前だ。
唐突に切り出して相手の反応を見るなんてドッキリを仕掛けているようで悪趣味の限りだが、ならばどう切り出すのがベストなのかなんて俺にだって分からないからしょうがない。
驚かしてごめんね。ドッキリで笑って済ませられたらどれだけいいだろう。

そんなこんなで仕事のお話。
そろそろ来年度の予算を立てなくてはならないのだけど、しかしまさかのガン宣告を受けた現在、業務の見通しが全く立たずに頭を悩ませている。

ガンの治療は3ヶ月の予定。
3月からスタートして順調にいけば6月には終了して日常生活に戻れる予定だが、果たして本当に予定通りの期間で完治して業務復帰できるのか、それは誰にも分からない。
治療が延期する可能性だってもちろんあるし、仮に全てが上手くいって予定通りに業務復帰としても、ストップしていた業績がすぐに回復するわけではないだろう。

タイミングの悪いことに今回ちょうど新しいビジネスモデルに取り掛かろうとしていた矢先のガン発見だったわけで、新規事業も全て再開時期未定の先送りとなってしまった。

治療が始まってみないと再開の見通しも立たないし、仮にガンが完治して新規事業をスタートしたとしても、それが軌道に乗って収益に結びつくまでにどれくらい時間が掛かるのか。
僕の身体はいつまでにどれだけ回復して、どれくらいのスケジュールに耐えることができるのか?少なくとも現状ではその辺りが全く見えていないので、なんとも具体的な数字を導き出すことができない。

僕は全く先行きを見通せずに頭が空っぽだし、会計士は僕の告白にショックを受けて頭が真っ白になっている。そんな二人が膝を突き合わせていても事態が前に進むはずもなく、結局これといった結論を出すこともなくミーティングは終了。

最後まで表情が引き攣ったままの会計士に手を振って改札前で別れる。
彼とはもう10年近くの付き合いだが、長年付き合ってきたクライアントにそんな告白を受けても咄嗟に上手い切り返しなんてできるわけないよな。
むしろ付き合いが長いからこそ、余計になんて言っていいのか分からないのだと思う。せっかく来てもらったのにどんよりした気持ちにさせてしまって申し訳ない。


ミーティング前に入った餃子屋のテレビで観た、堀ちえみが口腔がんを公表のニュース。

僕は中咽頭がんだけど、口腔がんとは同じ「頭頸部がん」の分類だ。
そして同じ左リンパ節への転移。
だいぶ状況は違うが他人事ではない。頑張って乗り越えてほしい。

今までは芸能人の病気のニュースに対してさしたる興味も湧かなかったが、今回はやはり気になってしまう。親近感という言葉が適切かどうかはわからないが、やはり同じ部類のガンだと聞けば応援したくなるし、苦しんでいる話を聞くとこちらも気持ちが重くなってしまう。

人は自分が体験してないことは上手く想像できないものだ。だから自分が癌になってはじめて、今まで汲み取れなかった気持ちの奥までイメージできるようになったのかもしれない。

みんながんばれ、俺もがんばる。


美味しい食べ物とか、子供達へのおみやげとか、少しでもハッピーな気持ちで治療を受ける足しにできれば嬉しいです。