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#03 インターネットの海で情報に溺れないために

2019年2月18日

今日は朝からデスクワークと、合間に時々施術も。
来月から放射線と抗がん剤の治療をスタートするにあたって、開催予定のはずだったセミナーの日程を調整しなくてはいけないし、そのことを受講生の皆さんに伝えていかなくてはいけない。

調整といっても、そもそもまだ治療の具体的な日程が決まっていないのだから調整のしようもないというのが本音なのだけど、それでもおそらくこんなスケジュールでこうなります、というくらいは事前に通知しておかなくてはと思う。

以前から僕のセミナーに参加してくれていて面識のあるメンバーに対してはまだ話も伝えやすいのだけど、問題は新規に申込みをいただいた方々だ。

まだメールのやり取りだけの僕と面識のない参加者の方に対して、唐突にいきなり「ガン治療のためにセミナーを延期する可能性があります」なんて伝えるのは少し不躾すぎないだろうか。ドン引きじゃないか?
言葉を濁して曖昧にしすぎるのも不審に思われるかも知れないし、ストレートに伝えすぎても相手だって何と答えていいか分からないだろうし、どんな言葉を選べばいいのか。ううむ、なかなか悩ましい。


そんなこんなで言葉を選びながら絞り出している合間に、中咽頭がんに対する情報をWEBで色々と検索してみる。

彼を知り己を知れば百戦殆うからず、だ。ただでさえも咽頭がんというのは肺がんや胃がん等に比べて罹患率が少なく(人口10万人に対して3.4人、ガン全体の0.6%)それだけ情報が少なく掴みにくい。

ましてや僕が今回患っているHPV陽性タイプの中咽頭がんに関しては、本当にここ1〜2年くらいで存在が認知されてきたらしく、ちょっと調べただけでは全くと言っていいほど言及している情報ソースが見当たらない。
先日僕が大学病院で告知を受けた際にも、先生が「最近わかってきたガンなんですけどね・・・」という言葉を連呼しながら説明していたくらいだ。

そんなこんなで検索結果を掘り下げていく。インターネットというのは相変わらず玉石混淆で、専門の研究センターや公益財団法人などがそれぞれのガンに対してしっかりした情報を発信している反面、記者の名前も出さず情報ソースも提示していないにも関わらず、放射線治療や抗がん剤などの現代の標準医療を断固否定しながら扇動的なタイトルで怪しげな情報を声高に主張しているようなサイトも枚挙に暇がない。

そういったサイトは大概の記事の最後にアフィリエイトのリンクが貼ってあって、早い話が商品を売るためにエキセントリックな情報を発信し続けているのは明らかだ。

以前はさほど気にならずに、そんなのもあるよねーという程度で認識していたのだけど、やはり自分がガンを患う当事者として見てみると目線が変わる。単純に不愉快だし、正直見ていてうんざりする。精神衛生上よろしくないので早々にページを閉じ、極力信頼できそうな情報を発信しているサイトに移動する。

いわゆるWELQ問題というのがちょっと前に話題になって、インターネットによる情報発信のモラルが問われ出してきたように感じていたのだが、本質は何も変わってないように思う。
検索窓の向こう側に見えるのは声高な主張ばかりで、それがどれだけ真実に近いかどうかというのはもはや二の次だ。

もはや自分にとって本当に大切な情報を得るための手段、物事の本質や真実に辿り着くためのツールとしてのインターネット検索は用をなさなくなっているのかもしれない。

そもそも無料で手に入る情報というのはそれ相応のクオリティでしかない
正しく適切で有益な情報を手に入れるためにはそれ相応のコストをかける必要があるというのは当たり前のことで、そもそも整体業界でセミナーやスクールを開催している自分自身が一番よく分かっていることだ。

不安定な情報の海で溺れている場合じゃない。心が弱くなりがちなこんな時だからこそ、ひとつひとつの事柄を丁寧に選択していく冷静さと強さを持たなければいけない。


美味しい食べ物とか、子供達へのおみやげとか、少しでもハッピーな気持ちで治療を受ける足しにできれば嬉しいです。