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情熱弁当ができるまで⑥無職で自由にはなったけど

超不定期連載「情熱弁当ができるまで」。

もう、読まなくていいんじゃない?
つまんないし。

前回までのお話し。
>>>【情熱弁当ができるまで】①上京と出戻り
>>>【情熱弁当ができるまで】②店長への道のり
>>>【情熱弁当ができるまで】③新人店長の苦悩
>>>【情熱弁当ができるまで】④そして奇跡は起きた!
>>>【情熱弁当ができるまで】⑤仕事の意味を見失う時


全身全霊をかけて尽くした、飲食店のマネージャー業。
ボクは燃え尽きて、静かにひっそりと会社を去ります。

とはいえ、「立つ鳥後を濁さず」の通り、挨拶と引き継ぎはしっかりとしました。

退職である日突然、カラダが自由になりました。
がその後、何をしていいのかわからない。笑

休みの日の過ごし方を、すっかり忘れていました。
とりあえず、死んだようによく寝たなぁ。

退職後に知った、お客さまのありがたさ

11月に退職したのボクの携帯電話には、忘年会の予約が常連さんからたくさん来ました。

常連さんには、直接ボクの携帯番号を伝えてあるのです。

エリアマネージャーは担当の各店舗を営業中に巡回するため、ボクの居場所をつかまえて、その店まで来てくださるから。

「すいません、実はもう退職済みで会社に居ないんですよ。ご迷惑をおかけしてすいません。」

「なんだ、原田さんがいないならつまんない。他の店に行くよ」
常連さんが会社の忘年会の幹事を引き受け、予約をふってくださる。

ご迷惑をおかけしたのに、実は少しだけホッとしたのです。
旗籠家に行きたいのではなく、ボクのいる場所を目指してやってきてくださる。

お客さまからたくさんの電話をいただき、結局100名以上の方が別のお店に行かれました。

「同じ会社の人は知らんぷりだけど、ボクを見ていてくれるお客さまは居る。」

お店ではなく、人そのものをファンが応援してくださるありがたさ。これが、後に大きな力の源となりました。

◆そして、あてもなく旅に出た。

無性に遠くへ行きたくなった。
生まれ故郷の名古屋から、とにかく離れたかった。
クルマに身の回り品を積み込み、行くあてもなく走り出しました。

ただひたすら夜の高速道路を走る時もあれば、山の中で寝転がり、星空を見ながら眠りに落ちる。テントを海岸に張り、波の音を聞きながら眠った事もあった。

「無職になっちゃったけど、これから先はどうしよう。」

料理人に戻るか、マネージャー業で食っていくか。
それとも、自分で何かを始めるか。お金はないけど。

答えが出ないまま、放浪して2週間以上が経ちました。

ある時、神戸のローカル駅の近くを通ります。
なぜか引き寄せられるようにクルマから降りると、年配の女性がガード下で占いをやっていたのですね。

そもそも、占いなんて信じておらず、新聞の星占いをたまに見るくらい。自分から対面で占ってもらう事なんて人生初の出来事。でも、すーっとカラダがそっちへ向かう。

「今、仕事を辞めたばかりで無職なのですが、新しい会社に勤めようか、自分で何かを始めようか悩んでいます。どっちがいいのか見てもらえますか?」

「あなた、自分でやりなさい。間違いなくその方が向いてるから。3月12日開業がいいわ。」

今思うと、単に誰かに背中を押してもらいたかっただけなんですよね。

さらにクルマで走り出します。
星空をただひたすら眺め、海岸線で海を見続け、山の中で風の音を聞いた。
大自然の中でビールを呑み、そのまま寝転んで朝を迎えました。

いいかげん、自由にも飽きたなぁ。
時間って、たっぷりあっても持て余すなぁ。
仕事あっての休日だよなぁ。

できるかどうかわからないけど、次のステージへ動き出してみよう。
そうして、クルマは名古屋へ向かいます。

「で、何屋をやるのさ?」

一番最初の起業のヒントは、携帯電話のある機能でした。

(⑦へつづく)


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