東京下町おうちご飯#21 セロリの葉の醤油胡麻炒め
大きくて 安い食材を見ると つい悩んでしまう。つかい切れないかもしれないし、同じ物を何日も食べ続けるのが苦手だし 違う味で調理しても現実、気持ちに限界があるもので 同じ食材をそんなにずっと毎日使いたい食したい気にもならないのだ。
白菜、キャベツ、大入りの小松菜、少しで十分だけれども 一個買った方が絶対お得。トマトは箱入りの方がお得? 帰り道荷物が重いな..お肉のボリュームパック、冷凍保存すれば..あ、冷凍庫いっぱいだ..
ビンボー症なので スーパーでそんな事ばかり考えて時間がかかってしまう。
そんな事なので一通りカゴに入り用なものを入れ終わっていても また野菜コーナーに戻ってきていたりする。特設コーナーを練り歩いていて セロリが1本98円という立て札を見つけた。手に取ると1本どころか大株のセロリ。とてもみずみずしくて美味しそう。葉もフサフサシャキシャキと薄緑色で揺れている。株は見当たれど 他のサイズのセロリは見当たらない。大きくて、安過ぎる..まさかね..と その緑の微かな芳香の中に この間料理本で見た粒マスタードソース和えのセロリのおつまみの写真を思い返している。
セロリ..食べたいな。
一緒に連れてきていた 一番下の子がにわかに愚図り始めた。途端に気が焦り、子供をなだめながら何も考えず。大株セロリを抱えてレジに向かっていた。
やはり98円の訳はない。298円。至って釣り合った普通の値段。とても美味しいセロリを勢いに任せて大量に買ってしまった訳である。
さて帰宅して あまりに大株のセロリなので冷蔵庫に入らない。なんとか小さくしたいので大量の葉を毟ることにした。
ぶちぶちと 美しい緑の葉を 容赦なく摘んでいく。細い茎なら それごと 手でむしってしまう。ぶち、ぶちと 自分への戒めか 298円の怒りか。
大ざるいっぱいに 全てをむしり取ったら 大株のセロリもだいぶスリム化して 野菜室になんとか押し込めた。
軽く洗って 包丁でざく切りにする。フライパンにごま油。水を切ったセロリの茎葉を ジャッと投入した。菜箸でかき回しながら 火を入れると あんなにあった大量の葉たちは みるみるとしぼんでいく。代わりに豊かな香りが更に濃くなっていく。フライパンをゆすりながら 大きく息を吸って芳香を浴びた。白胡麻をザラザラと入れて 醤油をふた回し 最後に再度ごま油を少し足し入れて ジャジャッと 炒めた。
セロリの細い茎の部分の歯触りが美味しい。
しゅんと縮んでしまった緑濃い葉も噛みしめるほど味が滲み出て。
たまに買っちゃう大株も悪くないよねと 自分を擁護した。298円の恨みはこれでチャラ。
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