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映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」感想

 一言で、大人も子供も楽しめるゲームムービーです。シンプルなストーリーに、懐かしさと可愛さと笑いが詰め込まれた、あっという間の90分でした。流石、任天堂とイルミネーション様々です。

評価「A」

※以降はネタバレを含みますので、未視聴の方は閲覧注意です。

 世界的人気の任天堂アクションゲーム『スーパーマリオ』。ゲーム化・実写化・アトラクション化などのメディアミックスを経て、今回満を持してアニメ映画化されました。
 任天堂とユニバーサル・ピクチャーズが共同出資し、マリオの生みの親である任天堂の宮本茂氏と『怪盗グルー』・『ミニオンズ』・『SING/シング』などの大ヒットアニメ映画を手掛けるイルミネーションで、創業者であるクリス・メレダンドリ氏が6年の歳月をかけて共同製作し、ユニバーサル・ピクチャーズによって配給されました。
 尚、日本語吹替翻訳は、劇団および企画集団であるヨーロッパ企画の上田誠氏が務めています。


・主なあらすじ

 ニューヨークのブルックリンで配管工を営むイタリア系アメリカ人の双子の兄弟のマリオとルイージ。
 ある日、街で大洪水が起き、マリオはルイージを連れて修理しに行きます。マンホールを通じて地下道を進むと、そこにはワープパイプがあり、突如二人は吸い込まれてしまいます。
 マリオはマッシュルームキングダムに、ルイージは暗黒の国に飛ばされてしまいます。
 そこで、マリオは、キノピオに導かれ、この国のお姫様であるピーチ姫に助けを求めます。しかし、同時に暗黒の国の大魔王クッパがキノコの国を襲おうとしていたのです。

・主な登場人物

・マリオ(声:クリス・プラット/宮野真守) 赤の帽子とトレーナーに青の繋ぎがトレードマークの少しぽっちゃりな男性。ルイージとは双子の兄弟で兄。

・ルイージ(声:チャーリー・デイ/畠中祐) 
 緑の帽子とトレーナーに青の繋ぎがトレードマークの少し痩せ型の配管工の男性。マリオとは双子の兄弟で弟。

・ピーチ姫(声:アニャ・テイラー=ジョイ/志田有彩) 
 マッシュルームキングダムのお姫様、優しくて賢くて芯の強い女性で、マリオのルイージ救出に協力します。

・キノピオ(声: キーガン=マイケル・キー/関智一) 
 マッシュルームキングダムの城に仕える、キノコみたいな見た目の小さなキャラ。ピーチ姫とはよき家臣でありアドバイザー。

・キングクランキーコング
 ジャングルキングダムのゴリラの王様。マリオに協力する為の条件として、息子ドンキーコングとの勝負を伝えます。

・ドンキーコング(声: セス・ローゲン/武田幸史)
 キングクランキーコングの息子。好戦的だが、精神面ではまだ未熟。父の命令により、マリオとバトルします。

・クッパ大魔王(声: ジャック・ブラック/三宅健太)
 本作のヴィランでダークランドの王様。巨大な体に大きな鰐口にトゲトゲの甲羅が特徴的です。ルイージを捕らえ、ピーチ姫に片思いをしていますが…。

1. とにかく面白い!ゲームの映画化として成功例!

 まず、私はほぼゲームに疎く、マリオをはじめ、ゲームの細かい知識には詳しくありません。そのため、本映画一本の感想として述べさせていただきます。

 本作、結論から言うと、「ザ・エンタメ映画としてシンプルに面白かった」です。
 皆が既に知っているゲームの世界を表現するだけではなく、それに背景とストーリーを付加したことで、一つの映画としても楽しめる内容になっていました。
 だから、ゲームの映画化としては大成功例だと思います。日本でミリオンヒットを記録したのも納得でした。

 実は、これまでのゲームの映像化は失敗例がかなり多いのです。その理由は、物語の構造と発信の違いだと思います。
 ゲームはキャラやルートをプレーヤー自身が選択することで、一人一人が違うストーリを紡ぎます。(これはRPGも対戦型格闘ゲーム、どちらも当てはまります。)
 一方で、映画はキャラや物語の方向性は選べません。それらは、飽くまでも「制作者の手に」委ねられています。だから、ある意味「皆が同じストーリーを体感する」ことになります。
 そのため、ゲームを映画にするには、できるだけ多くの観客が「共感」したり、「感動」したり、とにかく彼らの心を動かすような仕掛けが必要なのです。

 それを踏まえると、本作ではそこがクリアできていたと思いました。
 映像としては、ほぼほぼゲーム映像を見てる感覚なのですが、その中に懐かしさがあったり、可愛さがあったり、笑いがあったり、視聴者の喜怒哀楽を刺激する仕掛けが満載になっていました。3Dや4DX上映が盛り上がったのも納得でした。

2. あらゆる「オマージュ」や「元ネタ」を探すことができる!

 前述の「仕掛け」ですが、ここにはあらゆる作品からの「オマージュ」や、また本ゲームが「元ネタ」になったであろう要素を探すことができました。
 「オマージュ」としては、ディズニー・ピクサー・洋画・これまでのイルミネーションアニメなどのオマージュや、ファンサービスがふんだんにありました。
 ディズニーやピクサーなら、『シュガー・ラッシュ』・『アナと雪の女王』・『美女と野獣』・『トイ・ストーリー』など、特にピーチ姫のパンツスタイルは、『トイ・ストーリー4』のボー・ピープっぽさありました。
 BGMにも愛が溢れていて、至る所でゲームのあのシーンか…!と思い出しました。A-haの『Take on Me』は、『怪盗グルー』または『ミニオンズ』でも流れていたような…?後は、犬みたいなキャラは何の作品にいたっけ?『ミニオンズ』?『ペット』?
 個人的には、クッパがピアノ弾くシーンが好きです。芸達者だし、何より三宅健太さんの歌なのが最高でした。

 「元ネタ」としては、色んな漫画や映画の要素を感じました。『ドラゴンボール』・『進撃の巨人』・『ゴジラ』・『キングコング』・『パシフィック・リム』・『マッドマックス』・『RRR』など…。
 ※尚、『キングコング』と『ドンキーコング』については、ユニバーサルと任天堂で「色々」あったようですが、ここでは割愛します。

 そういえば、最近男性が2人並んでたり、手を伸ばして手を掴むシーンがあると、何故か『RRR』に見えてしまう現象が起きています(笑)

3. 本映画のストーリーは、どのゲームがベースなのか?

 マリオゲームは、発売から何と40年以上の歴史を持つロングセラーとなっています。最初はアーケードゲームから始まり、ゲームボーイ、スーパーファミコン、NINTENDO64、ゲームキューブ、Wii、Switchなど、様々な形態を経て新しいゲームが作られ続けています。

 パンフレットにある任天堂の歴代マリオゲームの年表を参照すると、最初のマリオのゲームがリリースされたのは1981年。そのタイトルは何と『ドンキーコング』でした。確かに、宣伝ポスターを見ると、ドンキーコングの方がマリオよりも主役みたいです。このゲームでは、ドンキーコングはマリオのペットですが、マリオという名前はまだ正式ではなく、走ってジャンプする動きから「ジャンプマン」と呼ばれていたそうです。しかも、恋人はポリーンという女性でピーチ姫ではないのです。

 1983年、二番目に発売されたのは、『マリオブラザーズ』。このゲームで初めてルイージが登場し、また「配管工」という設定が固まりました。ちなみに、映画では仲の良い兄弟ですが、このゲームでは戦い合うライバルだったそうです。

 1985年、三番目に発売されたのは、『スーパーマリオブラザーズ』。これは、シリーズ初の横スクロールアクションゲームで、「一般的なマリオゲーム」というと、これを思い浮かべる人が多いでしょう。これにて、キノコ王国や大魔王クッパ、ピーチ姫が登場します。クッパがキノコ王国を滅ぼし、ピーチ姫を攫いますが、マリオブラザーズがキノコ王国を救う冒険に出ます。

 これらを踏まえると、本映画のストーリーは、この『スーパーマリオブラザーズ』がベースとなっていそうです。これに、様々な「改良」を加えて、この映画のストーリーがブラッシュアップされていったようです。
 ちなみに、現在のマリオとルイージの配色については、1988年『スーパーマリオブラザーズ3』にて決まったらしく、それまでは服の配色が逆だったとか。

4. 評論家の評価が厳しいのはストーリー性のせい?

 本作の評価について、アメリカの映画評論サイトのロッテン・トマトでは、一般人気は96%と高いけれど、批評家人気は59%で、「両極端」の評価を受けています。

 確かに、ストーリー性は低く、「色々な出来事が起こっているようで結局はただマリオブラザーズがクッパを倒すだけの話」、といったらそれまでなのです。所謂、「ゲームの映像化」というのが、良い方向にも悪い方向にも取られているのかなと思います。

5. 確かに気になる点はあるけど、そこまで酷いわけでもないと思う。

 このように、厳しい意見は散見されるようですが、個人的には、「観て良かった」と思っています。

 確かに、細かい点を突き詰めていくと、色々気になる点はあります。

・マリオの家族について、「イタリア系アメリカ人」と人種を特定していました。名前からしてイタリア系だとは思ってましたが、ゲームでは、そこまで人種を意識してはいなかったかもしれません。

・ピーチ姫の性格が「ポリコレ」などと言う人はいるかもしれません。「強くて賢くて自立した女性像への変化」だとも。
 一方で、マリオがヒロインであるピーチ姫を助けるのではなく、弟であるルイージを助けに行く、というように物語に一捻りあったのは良かったです。

 まぁ、確かに「言いたいことを探そうと」思えば、色々とあるのかもしれません。しかし、だからと言って、それらが映画の質を下げるほど酷いという訳でもないと思います。少なくとも、観客を楽しませよう、という工夫や姿勢は十分に感じました。

 正直な話、イルミネーション制作のアニメは、元々そんなに脚本のレベルは高くないのです。そういう意味では、深く考えなくても楽しめる作品は多いです。だからこそ、幅広い世代に好かれるのでしょう。※私はイルミネーションアニメは好きです。決して下げたい訳ではないです。

 これ観たら、USJに行ってみたくなりました!実写版にもいつかトライしてみます。賛否あるようですが、B級映画らしくて面白そうではあります。

 あのラストだと、2もありそうですね。魔術師・兵士・星(ルマリー/よろずやチコ)など、キャラは色々と充実してましたが、ほとんど掘り下げられてなかったので。…ちなみに、星の役の中の人は、どこかで聞いたことがあると思ったら、映画『すずめの戸締まり』のダイジン役の山根あんさんでした。ちなみに、あのキャラの造形は、ディズニー映画『ウイッシュ』のスターちゃんに似ているなぁ(笑)。

 後は、今作ではヨッシーもワリオも出てきていないので、今後は色んなキャラに会いたいですね。

出典:

・公式サイト

・公式パンフレット

・Wikipediaページ

・ロッテン・トマト評価

・Huluページ

https://www.hulu.jp/store/the-super-mario-bros-movie

※ヘッダーはこちらから引用。





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