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映画「ベイビーわるきゅーれ」感想

 一言で、女子高生アサシンコンビによるバイオレンス&コメディB級映画です。前半と後半のギャップが大きく、また二人の身体能力が凄くて、ラストのアクションシーンは見所でした。

評価「C」

※以降はネタバレを含みますので、未視聴の方は閲覧注意です。ちなみに、これは、「1」の感想です!※ヘッダーは公式サイトより引用。

 本作は阪元裕吾監督による、2021年公開の青春バイオレンスアクション映画です。社会に適合できない女子高生殺し屋コンビを主人公にしており、彼女らの「殺し屋と暮らし」をテーマに、日常の緩々なコミカルさと、アサシン任務のバイオレンスさのギャップが特徴的です。
 この独特の作風がミニシアター系上映館を中心にヒットし、口コミ効果によって、上映館が拡大しました。
 ちなみに、池袋シネマ・ロサでは『君の名は。』、『カメラを止めるな!』に次ぐ9か月以上に及ぶロングラン上映を記録していました。

 本作の女子高生コンビである髙石あかりさんと伊澤彩織さんは、阪元監督の前作『ある用務員』にて、同じような設定のもとコンビで演じていましたが、今回満を持して、御二人ともに映画初主演となりました。

 尚、本作は「未成年の命の始末」が描かれるため、レーティングは「PG12」となっております。また、「サツ人」や「コロシ屋」という言語は、あらゆる媒体で引っかかる可能性があるため、本記事では「アサシン」と表現します。英題も"Baby Assassins"なので。

・主なあらすじ

 高校卒業を控える女子高生のちさととまひろ。しかし、彼女らには、「アサシン」という裏の顔がありました。
 その「腕」には確かな実力があるものの、一方で世の中の「常識」には疎く、生活能力も低いせいか、公共料金や年金・税金等の支払いは滞納しまくる、ポンコツな点も目立ちました。
 それでもちさとはかろうじてアルバイトをしていましたが、コミュニケーションそのものが苦手なまひろは徐々に嫉妬心を抱いてしまい…。

・主な登場人物

・杉本ちさと ‐ 髙石あかり
 本作の主人公1。黒髪ロングヘアー。強みは銃撃。普段は「社交的」に振る舞おうとし、色んなアルバイトを経験しますが、大抵何かやらかします。

・深川まひろ ‐ 伊澤彩織
 本作の主人公2。金髪ショートヘアー。強みは肉弾戦。しかし、人見知りでコミュ障故に、中々勤務先を決められずにいます。

・渡部 - 三元雅芸

・浜岡一平(ヤクザ) - 本宮泰風

・浜岡ひまり(浜岡一平の娘) - 秋谷百音

・浜岡かずき(浜岡一平の息子) - うえきやサトシ

・姫子(メイド喫茶の店員) - 福島雪菜

・田坂さん - 水石亜飛夢

・凪子(ちさとのアルバイト先の店員) - 辻凪子

・須佐野 - 飛永翼(ラバーガール)

・コンビニ「ハピネスマート」店長 - 大水洋介(ラバーガール)

・和菓子屋の店主 - 仁科貴

1. 新進気鋭のキャストと監督が、圧倒的アクションとフレッシュさで突っ走る!

 本作はとにかく「圧倒的アクションとフレッシュさ」が溢れていました。
 「女子高生のアサシンコンビ」という、「一般的にはトリッキーな設定」ではあるものの、それに見合った空気感がきちんと出せており、監督も若くてフレッシュさ溢れるキャストの強みを引き出せていました。
 「社交的とコミュ障がコンビになる」という設定もフィクションにはありがちですが、それでもお互いのギャップをしっかり出し、時には喧嘩しながらも、どちらも壁を乗り越えていく姿は「王道の少年漫画らしさ」も感じました。

 まず、女子高生コンビについて。ちさと役の髙石さんは、舞台『鬼滅の刃』にて初代竈門禰豆子を演じ、本作でブレイク後も、話題作への出演が増えています。確かに禰豆子に似てるかも(笑)。
 次に、まひろ役の伊澤さんは、アクション女優としてキャリアを積み、『キングダム』・『るろうに剣心』・『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』ではスタントダブルを、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』ではスタントパフォーマーとして、日本・海外で目覚ましい活躍を見せています。
 実は、主演の女子高生を演じる髙石さんと伊澤さんは、実年齢で「9歳」の隔たりがあります!(伊澤さんの方が年上。)これには驚きました!しかし、全然それを感じさせないくらい、ナチュラルで息ピッタリなコンビでした。
 ちさともまひろも小柄な女優さんですが、大回りな動きがとても素晴らしく、これから売れそうですね。カップリングは「ちさまひ」?いや、「まひちさ」かな?

 そして、阪元監督は現在27歳とのことで、髙石さんや伊澤さんとは同年代です。今時の監督さんらしく、流行りやオタクの視点を取り入れたマニアックさも兼ね備えています。

 さらに、アクション監督の園村健介氏は、『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』シリーズやジャパンアクションアワード2014で、ベストアクション作品賞他三部門を受賞した『BUSHIDO MAN』などの実績があります。

2. 少し「粗さ」はあるものの、B級映画の中ではまぁまぁ見れる。

 前述より、本作は「バイオレンス&コメディB級映画」です。所謂、インディペンデント系作品ですね。上映時間は90分程なので、サクッと見れます。   内容は、少し「粗さ」はあるものの、B級映画の中ではまぁまぁ見れる方でした。「大爆笑」とまではいきませんが、光る点はありましたね。 

 B級映画といっても、『カメラを止めるな!』は合わず、『MONDAYS』は寝落ちしてしまったので、この手の映画は合う合わないがあると思います。ただ、本作は一応最後までは見れました。
 例えば、アクションシーンのワンカット撮影は『カメラを止めるな!』も同じでした。ただ、前者と比較すると、画面が綺麗だし、ブレも少なかったです。まぁ、あちらは敢えてゾンビと手ブレを重視した作品なので、そうなるんでしょうけど。

 後は、漫画やアニメっぽいコマ割り、カメラワークが多めでした。俳優の顔のアップや、冷蔵庫の中からの視点とか。

3. 前半と後半の作劇のギャップが大きい!

 本作の最大の特徴としては、これでしょう。
 前半は、ダラダラ・もっさい・緩い・少しダサい・シュール系映画な作風でした。前述した『カメラを止めるな!』・『MONDAYS』・『セトウツミ』との類似点はありました。所謂、二人共「アホの子」なので、シリアスな物語を期待すると肩透かしです。

 また、前述より、監督のマニアックネタ・あるあるネタとしては、『ドルガバの香水』・『クレヨンしんちゃん』・『ジョジョ』・『ひぐらしのなく頃』になどがありましたが、視聴者を引きつけようとする工夫は感じられるものの、そこまでは面白くなかったです。ちょっと狙いすぎなのは否めなかったです。

 ただ、こうだからと言って、前半で切るのは勿体ないと思います。見どころは後半に、特に最後のアクションシーンは良かったです。ここは本当に本作の見所でした。
 後半はグッとスピード感が増しました。色んなアクション系アニメやB級映画をオマージュした感じはありました。例えば、『ルパン三世』・『シティー・ハンター』・『スパイファミリー』・『ガンスリンガーガール』・『リコリス・リコイル』・『ハーレー・クイン』・『女子高生チェーンソー』・『血まみれスケバン・チェーンソー』・『キルミーベイベー』など、色々と思い浮かぶ作品は多かったです。『キルミー〜』は(タイトルも似てるしね(笑)。ノリは宮藤官九郎監督の『中学生円山』っぽさもありそうです。

 ただアクション映画といっても、正直、『レオン』・『孤狼の血』・『ザ・ファブル』、『ヘルドッグス』クラスを期待するとそこまでではないです。やはり、そこは「B級」でした。

 まぁ、本作は「まひろの覚醒物語」でしたね。まひろの筋肉人形へのパンチ音から、それを予感させました。まひろ、「イケメン女子」なので、ジャニーズにいそうです。個人的にはSixTONESの田中樹さんに似てると思いました。
 それにしても、メイドと銃の組み合わせ、ハマる人はハマりそうですね(笑)。

 個人的には、何となくこのお二人に「ナートゥ」を踊って欲しいです(笑)。アクションだけでなく、ダンスもキレキレそうなので。

4. よく見ると「あの映画」と似ているかも(笑)。

  本作、よく見ると『ブレット・トレイン』と似ている気がします。(元をたどれば伊坂幸太郎氏の『マリアビートル』にも。)※映画公開としては、本作が先です。
 ヤクザ浜岡親子は『ブレット・トレイン』のホワイト・デス、サン、プリンスかな。
 ただこの浜岡親子(父と息子)、ちさとに一発ずつ撃たれてアッサリと死んだのは拍子抜けでした。「え、弱っ!」と思わず声を出してしまいました。まぁ、これがひまりの覚醒とラストバトルに繋がるのですが。この辺はパワーバランスがちょっと不自然でした。
 「女性活躍」とか言ってインテリヤクザを気取ったつもりが、メイド喫茶をジャックして女性達にいかがわしいことをしようと企んでいた、これはハッタリか本心か?どっちだったんでしょうか?いや、ターゲットはちさとだったから敢えてこの店を狙ったの?ここは謎でした。

5. 「漫画の実写化」だと思えば見れなくもない。

 本作、前述より、アクションシーンは素晴らしいのですが、一方で「地の演技」は微妙な点もありますね。ボソボソ喋ったと思ったら、いきなりワーワーキャーキャー叫んだり、その辺は正直邦画の演技でした。

 「女子高生アサシン設定」やこの辺の演技・演出は、「漫画の実写化」ですね。「日本に近いけど日本ではないパラレルワールドや何処かの星の話」だと思えば、まぁ見れます。

 後は、コンビのバックグラウンドやこの世界の「アサシン」の立ち位置がわかれば、もう少し世界観に入り込めたかもしれません。所謂、「純粋な悪役」なのか、『ジョジョ5部』のような「アンチヒーロー」や「ダークヒーロー」なのか、本作だけではわかりにくいのです。まぁ、一般人には手を出してないので、何となく後者の線が強いと思いますが。

 本作、B級映画の中では良く出来てる方なので、コアなファンが多いのも納得の一作でした。こういうテーマの作品は敢えて「低予算」、「チープ」なのが強みかもしれません。もっとお金をかければ、大きな映画館でも出来たかもしれないけれど、でもそれだと却って「粗い」点が目立ってしまうかもしれない、だから本作はこの絶妙なバランスを保っているんだなと思いました。

 4月に2も観たので、そちらの感想は後程アップします。

出典:

・映画「ベイビーわるきゅーれ」ベイビーわるきゅーれ公式サイト

・映画「ベイビーわるきゅーれ」Wikipediaページ



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