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映画「さかなのこ」感想

 一言で、さかなクンさん・のんさん・お魚さんの魅力がたっぷり詰まったコメディです。のんさんが本当に嵌り役過ぎて、終始笑いました。「好き」を貫くことは大変だけど、真っ直ぐに生きていく姿にホロッときました。 

評価「A」

※以降はネタバレを含みますので、未視聴の方は閲覧注意です。

・主なあらすじ

  お魚への大きな愛と溢れる知識、優しくユーモラスなキャラクターで人気を誇る「さかなクン」さん。 本作は、彼の自伝的エッセイ「さかなクンの一魚一会(いちぎょいちえ)〜まいにち夢中な人生!〜」を原作にしています。「お魚が大好きだけど、『普通』のことが苦手」な主人公「ミー坊」が、社会の荒波に揉まれながらも、自分の「好き」を貫いていくコメディ・ライフストーリーです。

 絵が得意な小学2年生男子、「ミー坊」。特に好きなのは、タコをはじめとする「お魚」で、学校ではお魚の生態を描く「ミー坊新聞」を連載しています。毎週水族館に通い、母のミチコからは、「魚貝の図鑑」をプレゼントされ、毎日家族で「お魚料理」を食べていました。
 夏休みのタコさんとの「思い出」や、「ギョギョおじさん」との邂逅により、高校生になってもお魚への情熱は途切れることはなく、「日本初カブトガニ人工孵化に成功」し、「おさかな博士」になる夢を宣言するまでに至ります。
 しかし、所謂「お勉強」が苦手な故に、高校卒業後の進路に迷い、魚に関わりたいと思って水族館や寿司屋で働くも、中々うまくいきません。そのため、ミー坊は迷走し、悶々とした日々を送っていましたが…(一部を公式サイトとパンフレットより引用。)

 本作のメガホンを取ったのは、沖田修一監督です。代表作に「横道世之介」・「南極料理人」・「おらおらでひもどりいくも」・「子供はわかってあげない」など、独特の世界観と人物描写が特徴的な作品を発表されています。脚本は沖田修一氏と前田司郎氏の共同脚本で、「横道世之介」以来のタッグとなりました。

・主な登場人物

・ミー坊(演: のん / 幼少期: 西村瑞季)
 本作の主人公。お絵描きとお魚が好きで、好奇心と探究心が凄く、好きな物に対する情熱は誰にも負けません。夢は「おさかな博士になること」ですが、所謂「お勉強」が苦手な故に、高校卒業後の仕事に苦労してしまいます。しかし、「ある人との再会」や「ある出来事」がきっかけとなり、彼の人生は大きく動き出していきます。
 尚、「ミー坊」は、さかなクンさんの幼少期の愛称から取っています。
 また演じたのは、上記より何方も「女優」さんですが、本作では沖田監督が「男か女かはどっちでもいい」というスタンスを取ったため、お二人とも、敢えて「男性役」に挑戦しています。

・ミチコ(演: 井川遥)
 ミー坊の母。「勉強ができなくても、この子はこのままでいい」と息子を信じ、その個性全てを肯定する深い懐の持ち主です。高校卒業後、進路に迷う息子の背中を押し、自立を応援します。

・ジロウ(演: 三宅弘城)
 ミー坊の父。昭和のお父さんタイプで、家族のことを考えつつも、厳しい性格です。家族に対する愛はありつつも、家庭方針を巡って、妻ミチコとは徐々にすれ違っていきます。

・スミオ(演: 幼少期: 田野井健、※成人期は不明。)
 ミー坊の兄。弟の「変わり者」ぶりを知りつつも、母のように肯定はできず、やや「引いて」見ています。

・ヒヨ(演: 柳楽優弥 / 幼少期: 中須翔真)
 ミー坊の幼馴染。お魚に夢中で、他のことにはトロいミー坊をからかいつつも、ほっとけないと思っています。
 高校生時代はヤンキーになり、「狂犬」と恐れられつつも、ひょんなことからミー坊と再会します。大学進学後に上京してからも、ミー坊とは交流が続きます。

・モモコ(演: 夏帆 / 幼少期: 増田光桜)
 ミー坊の幼馴染。クールな性格で、ミー坊のことは「不思議ちゃん」と思いつつも、仲良くしていました。
 ミー坊とは社会人になって、ひょんなことから再会しますが…

・総長(演: 磯村勇斗)
 ミー坊の高校のヤンキーグループのトップ。実は実家が漁師で魚に詳しく、ミー坊と一緒に「カブトガニ」を飼育しました。ちなみに、籾山軍団はライバルです。

・籾山(演: 岡山天音)
 ヤンキーグループ「籾山軍団」のトップ。個性的すぎるミー坊に振り回されつつも、「アオリイカ」の味に目覚め、ある夢を持つようになります。

・ギョギョおじさん(演: さかなクン)
 ミー坊が小学生時代、よく通学路で目撃された「ハコフグ」を頭に被っている謎の男性。ひょんなことからミー坊と親しくなるも…

1. 本作は、「好きなことを突き詰める物語」である!

 沖田修一監督曰く、本作は「さかなクンの物語」で「ミー坊の物語」ではあるけれど、実は「それだけじゃない」と仰っています。「彼ら」の物語のみならず、「好きなことを突き詰める物語」であり、ある意味「全ての人に当てはまる」のではないかとも。だから、「好きなことに夢中になると、人生が楽しくなる」というのは、普遍的なメッセージかもしれないと思いました。

 まず本作は、コメディなので、至るところに「笑いのツボ」を仕掛けています。これらが思わぬところにあるので、不意打ちで何度も笑いました。
 また、紆余曲折を経ながらも、自分の道を邁進するミー坊と、そんな彼を受け入れ、彼自身も周囲に影響を与えていく、そんな人々の関係性には、とても心温まりました。作品としては、かなり「凸凹」な点が多いですが、そこが面白かったです!
 そして、本作の上映時間は「約130分」と、映画の平均的な上映時間では少し長い方ですが、本作は全くその長さを感じなかったです。寧ろ、これくらいの時間がないと描けなかったのではないかとも思います。私が観た回では、小学生くらいのお子さんも何人かいましたが、誰も途中退出していませんでした。

2. これまでの沖田修一監督作品と過去のヒット作品達の「オマージュ」が見られる。

 本作は、これまでの沖田修一監督作品と既存の作品達を「オマージュ」しつつも、新たな視点を授けていました。
 前者なら、「横道世之介」と「南極料理人」、後者なら「フォレスト・ガンプ/一期一会」、「銀の匙 Silver Spoon」、「High & Low」、「LOVEまさお君が行く!」っぽさがありました。

 まず、ミー坊の、お人好しでどこか憎めない性格や、様々な出会いと笑いを引き寄せていく、所謂「引き寄せ体質」や「巻き込まれ体質」となる点は、「横道世之介」と似ています。
 「個性的な人物のサクセスストーリー」というと、「フォレスト・ガンプ」を思い出します。しかし、本作は、それよりも「地に足がついている」と思います。決してサクセスやファンタジーだけではない、寧ろ「泥臭い」点もある話でした。
 また、お魚という奥が深いネタは、「南極料理人」でいう「南極」や「銀の匙 Silver Spoon」でいう「酪農」などに似ていて、「マニアック」な世界に引き込まれました。
 そして、作中では、高校生時代にヤンキーグループが対立し、海岸にて喧嘩を繰り広げるシーンがあります。彼らのイキリぶりは、「High & Low」をはじめとする、ヤンキー作品を思い出しました。ただ、本作のヤンキー軍団はそこまで乱暴ではなく、寧ろボケツッコミまくっており、どこか「ダサさ」を感じさせる、憎めない集団でした。
 さらに、動物を絡めた「珍道中物語」という意味では、「銀の匙 Silver Spoon」、「LOVEまさお君が行く!」と重なる点もありました。
 このように、これらの作品ネタを「オマージュ」しつつも、「好きなことに夢中になる」ミー坊を余すことなく描いた点は良かったです。

3. のんさんが本当に「さかなクンさん」そのものだった。

 本作、のんさんの演技が良すぎて、大ハマリしました。本当に、「さかなクン」が物語に実在しているみたいなリアリティーがありました。
 前述より、本作ではのんさんが「男性」でしたが、全然違和感はなく、ボーイッシュな私服や学ランがとても馴染んでいました。元々、のんさん自身が「中性的な」容姿なのもあると思いますが。
 また、さかなクンさんも本職俳優ではないものの、演技がナチュラルで、作品にすっかり馴染んていたのは良かったです。
 そして、本作はさかなクンさん御本人の監修が入っているため、エンドロールにて「さかなクンさん」のお名前が幾つもありました。あまりにも沢山お名前が出てくるため、それらを探すのに必死になりました(笑)

 ちなみに、ドランクドラゴンの鈴木拓さんもミー坊の高校の先生役で出演していました。実は、彼とさかなクンさんは中学・高校生時代の同級生で、何度かテレビ番組にて共演してます。

4. ミー坊(さかなクンさん)の「お魚さんへの愛情」が強く伝わってくる。

 本作は、ミー坊(さかなクンさん)の「お魚さんへの愛情」が至る所で強く伝わってきました。

 例えば、冒頭ミー坊が早起きして水槽のイシガキフグ達に「歯磨き」をしたり、魚介類を「さん」づけで呼んだり、「ミー坊新聞」でお魚の魅力を皆に伝えたり、たとえそれらの行動を皆に笑われても、魚を愛し、好きなことを貫く姿勢にはグッときました。
 個人的にツボったシーンは沢山あります。まずは海水浴での「タコさん飼いたい」の下りですね。まるで、「犬猫飼いたい」と同じノリなのには笑いました。お母さんの「自分でちゃんと世話するのよ」までセットなのも(笑)それにしても、ミー坊(さかなクン)は本当に浴槽で飼おうとしたんでしょうかね?しかし、その後のお父さんの蛸の「締め」は幼い子供からすればトラウマモンですね(笑)何気に、お母さんがミー坊の目を隠したのはナイスでした。でも、友達も皆つられて泣いてたのわかります(笑)
 また、ミー坊がウマヅラハギのポスターにキスするシーンでは、まるで芸能人やアスリートに夢中な人と同じ目をしていました。
 一方で、ミー坊、魚を食べたいときには食べる人でした。ヤンキーの一人の「青鬼」にドヤサれたときも、怖じ気づくことなく、彼の私物のバタフライナイフで本当に魚を捌き、皆に生の鯵を食べさせました。※その時の青鬼のドン引き→(●´ω`●)となった表情もツボです(笑)。
 また、籾山が着ていた「網シャツ」を本物の「網」にして、アオリイカを捕獲し、皆で漁師飯にして食べたのにも笑いました。やはり、「食は平和になるし、世界を救う」のは本当ですね。※ここでも、籾山のドン引き→(●´ω`●)とした顔に釘付けになりました(笑)。 
 ちなみに、籾山が「アニサキスがいそうだから食べない!」と言ったとき、すかさずミー坊は「アオリイカにはアニサキスがいないんだよ!」と力説します。確かに、よく見るイカの刺し身にアオリイカが多いのはこれですね。※勿論、「全個体」にあてはまる訳ではないこと、また生食を推奨するものではないことは、十分承知しております。

 このように、ミー坊は魚に夢中なだけでなく、スクールカーストがある学校でも、そこに線を引かず、真っ直ぐに人に向き合える人だったからこそ、前述通り「引き寄せ体質」や「巻き込まれ体質」になったのかなと思います。

 それにしても、一流ホテルにキビナゴセーター(母の手作り)を着てしまう、TPOのなさには良くも悪くも驚きました。そして、ここまで作るお母さんスゲーなと思いました。

5. 「小ネタ」を探すのが楽しい。

 本作は、魚やさかなクンさんに関する「小ネタ」が至る所に散りばめられています。
 まず、ミー坊の服装や部屋・職場にある小道具が全て「魚柄」なのは、本当に徹底していますね。私にとっては、このグッズ欲しいな~と思うものばかりで、鑑賞後に映画館でハコフグのぬいぐるみを購入したほどでした。
 また、水槽の魚も可愛く、特にフグ類(イシガキフグ・コンゴウフグ・ハコフグなど)はとても印象に残っています。
 そして、高校にてバスクラリネットの音が微かに聴こえる演出がありましたが、これは実際にさかなクンさんが演奏したらしいです。
 さらに、私は、大学の専攻より、魚類学を少し齧っていたので(本専攻ではありませんが)、ゲラゲラ笑うネタが多かったですね(笑)
 例えば、「とある理由」により、ミー坊がやけ酒を煽り、居酒屋の店員に「これはシシャモじゃない、カラフトシシャモ(キャペリン)!シシャモを出せ〜」と絡んだときは、「そうそう!」と心の中で終始ツッコミまくっていました(笑)。

 ちなみに、鑑賞後に公式パンフレットを読んだら、さかなクンさんが登場人物達を「魚」に喩えていて、本作への「愛」を感じました。

6. さかなクンさんの出演作品へのリスペクトも感じられた。

 本作は、過去にさかなクンさんが出演されたテレビ番組をリスペクトしたシーンが幾つかありました。ある意味、ファンサービスだとも思います。

 特に印象に残ったのは、「あまちゃん」と「どうぶつ奇想天外!」へのリスペクトです。
 まず、ミー坊が早朝にウエットスーツを着て海に飛び込むシーン、海へ走り出すシーン、ウエットスーツで冬の海に飛び込み鯛を取ってくるシーン、水槽や海中を「泳ぐ」シーンは、「あまちゃん」でした。
 また、ミー坊が有名人になって、動物番組にゲスト出演したシーンは、「どうぶつ奇想天外!」を思い出しました。ちなみに、この動物番組の名前は、「木戸まさしのあやしい動物園」でした。
 敢えて言うなら、「TVチャンピオン」の出演回を再現してほしかったです。彼は、あの番組に高校生で出場し、「初登場2位、以降5連覇して殿堂入り」という無双ぶりを発揮したので。※勿論、これがないから映画の「瑕疵」という訳ではないです。

7. 「普通」という言葉の残酷さと、「好きなことを突き詰める」・「そのままでいい」という言葉の二面性が描かれている。

 一方で、作中には、ミー坊に対してポジティブな見方だけでなく、ネガティブな見方もあります。
 まず、ミー坊は高校卒業後に「魚に関する仕事がしたい」と思って、水族館や寿司屋に就職しますが、中々うまくいかず、職を転々としてしまいます。漸くペットショップで、うまく仕事が出来るも、ここでは薄給に悩みます。
 また、お父さんからはこっそりと「この子は『普通』じゃない」、再会したモモコからは「私達の関係って『普通』じゃないよね」、水族館の先輩からは、「君、向いていないよ」などと、キツい言葉を投げかけられます。歯医者に水槽のデザインを依頼されたときも、顧客のニーズを理解できず、「本物の海」を再現してしまったこともありました。※歯医者の件については、ペットショップ店長の「魚を飾りと思っている客もいる」とミー坊を擁護する意見もありましたが。
 以上から思うのは、「普通ってなんだろう?」ということです。一般的には、「多数派と同じことが普通」だと捉えてしまいがちですが、でもそれは「全ての人」に、また「どんな状況下でも」あてはまる訳ではないんですよね。
 だからこそ、お母さんの「この子はこのままで良いんです、だって皆が皆一緒ならつまらないですよね」という、息子への自己肯定感・有用感を高める言葉の暖かさが響いてくるのです。ここからは、自分の考えで人を「枠」に当てはめるのではなく、また社会の「枠」に囚われずに、相手を見ることが大切なんだと思いました。実際、その「枠」は、極めて「流動的」なものだからです。※ここ、言葉では簡単なようですが、凄く難しいことですけどね。
 それにしても、お母さんはどうして「この考えに至った」のでしょう?今後、そこを知ることが出来たら良いなと思いました。

 一方で、「好きなことを突き詰める」・「そのままでいい」ことへの悪い点も描かれているのが良かったです。
 さかなクンが演じた「ギョギョおじさん」は「お魚好きなおじさん」でしたが、社会に馴染めず、周囲からは「変質者扱い」されていました。※本人も、「お魚博士を目指したけどなれなかった」と言っていたので。
 彼は、ひょんなことからミー坊と「仲良く」なるも、「児童誘拐」を疑われ、警察に任意同行されてしまいました。ミー坊にとっては非常に悲しい出来事でしたが、ここは、「好きなことを突き詰める」・「そのままでいい」を貫きすぎた大人の末路の暗喩なのかなと思います。確かに「好きなことを突き詰める」のは良いことですが、それができるのは「周りの理解や支えがあってこそ」なのです。そして、それだけでは不十分で、ある程度の「社会への適応」も必要なんですよね。
 それにしても、お母さん、流石にミー坊を一人でギョギョおじさんのもとへ行かせたことは良くないです。息子を信じることは大切ですが、いくらなんでも、ここは親子同伴で行かないと。ここは、お父さんが怒って当然でした。

8. 「暗い部分」を感じさせるシーンはあるけれど、それが全面に出てないのは良い。

 本作、基本は明るい作風なのですが、冷静に見ていくと、「暗い部分」もあるのです。
 ミー坊の小学生時代では、両親と兄のいる4人家族で戸建住まいでしたが、高校生時代はアパート住まいとなり、しかもお母さんしか登場しません。(後に、お父さんとお兄さんも、意外な形で登場しますが。)
 ここは、作中でははっきりと言及されていませんが、ミー坊の家庭は親が離婚or別居したのでしょう。(兄は父についていった。)ある意味、「特性」のあるお子さんの家庭の「父親の影の薄さ」や、「母子家庭の多さ」を表していたのかなと思います。今は「男女参画社会」とは言いつつも、やはり育児は母親への皺寄せが大きくなっているんですよね。※ここは、「聲の形」でもそうでしたが。勿論、決して、彼の「特性」を特別視するものではないこと、また当事者の方を傷つける意図はございません。
 しかし、この辺りの描写は、本作では「話の肝ではない」ので、このような「暗い部分」は全面に出てないのは良かったです。
 勿論、お父さんも「悪者」ではないです。育児に悩むのは妻と同じだったと思います。それでも、「子供を信じる」こと、「育てていくこと」って、本当に難しいなぁと思いました。

9. 結構「グレー」な描写は多いけど、そこまで深刻には捉えずに、何故か笑ってしまう。

 本作は、基本コメディーなので明るい部分・笑える部分は多いのですが、一方で結構「グレー」な描写は多く、ツッコミどころ満載の「凸凹」な作品となっています。
 前述より、ミー坊が「知らないおじさん」の家に子供一人で行ってしまってたり、港で勝手にヤンキーの抗争が始まったり、ミー坊が酔っ払ってシャッターにシシャモの落書きをしたり、お母さんが「実は両親と兄はお魚が苦手だった」の爆弾発言があったり、本当は「いけない」ことも沢山ありました。それらは、場合によっては「肯定」できないこともあります。
 しかし、何だかんだで「皆が救われる」話だったのは良かったなぁと思います。ちなみに、さかなクンも救われました。任意同行からの漁師になっていたのは、思わず笑いました。
 ある意味、ミー坊って「種を撒く人」だと思います。出会った人、場所に「何かを残していく」ことで、植物が育ち、花が咲いて結実するところが。ここからは、「人間関係には相互作用が働く」ことを伝えてくれます。皆、生きていると何かしら影響を与えるものですよね。

10. リフレイン的な演出が多い。

 本作、振り返ってみると、「リフレイン的な演出」が多かったことに気づきました。

・幼少期のミー坊と大人のミー坊が海中を泳いでいたら、マグロに会いました。

・ギョギョおじさんとミー坊博士が子ども達と出会う様子が、ある意味「対比」になっていました。

・水族館の水槽を覗くミー坊、モモコの娘のミツコも同じことしてました。

・ミー坊とミチコ、ミツコとモモコの会話、図鑑を渡す所も同じです。
 これは、「さかなクン2世」の誕生でしょうか?子供の頃に体験したこと、会った人って、人生に大きな影響を与えますよね。

 余談ですが、さかなクンさん、実は母校の「先輩」です。大学構内では、何度かお会いしています。今は、「売れっ子」故に、かなりご多忙のようですが、これからもお体をお大事に、お仕事に邁進していただきたいです。

 最後に、さかなクンさん、先週のベイスターズの試合で始球式されたようで…是非生でお目にかかりたかったです。

出典: 
・映画「さかなのこ」公式サイトhttps://sakananoko.jp/

※ヘッダー画像は、公式サイトより引用。

・映画「さかなのこ」公式パンフレット

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