サイバーパンク2077を堪能するために10万円を溶かした話
最高のPC環境でプレイする意味
どうも、職場の某コンビニで働くよりもナイトシティでの汚物消毒の時間の方が長い僕です。
2020年最高の期待作としてリリースされた『サイバーパンク2077』ですが、蓋をあけると旧世代CS機でのパフォーマンスがきわめて悪く、最近のAAA級作品では珍しいバグの頻発で(ベセスダの『Fallout 76』以来かな?)さまざまなミームやネタ画像がゲーマー界隈を賑わせました。
果ては、開発元の CD Projekt をアメリカの投資家らが悪質なマーケティングを理由に集団訴訟を検討するまでに。
僕自身はというと、これは歴史的に重要な素晴らしい作品だという感動とともにある違和感を覚えたため、最終的にグラフィックボードとモニターを10万円掛けて新調しました。
もとの環境でも(i7-8700 × GTX 1800)画質設定「高」なら50前後のフレームレートは出せたのですが、開発者の意図した映像表現に追い付いていない根本的な質の差を「ノイズ」として感じたのですね。
ちなみに鑑賞中の「ノイズ」とは僕の概念で、むかしの記事では音楽と安物デバイスを例にこう説明しています。
たとえば、知人友人となにがしかの音楽の評価が食い違ったとき、僕はまずそのひとの耳よりも鑑賞環境を疑う――というのも、経験上、1万円以下のイヤホンやヘッドフォンの類は音響機器としての質が低過ぎるものが多いため、良い音楽が良く聴こえづらいことが実に頻繁に起こるからだ、ミドルレンジ以下のスマホやラップトップの内臓スピーカーなど気休めのようなものだろう。
具体的にいえば、高音のキレイさが潰れやすく、低音の深みは薄れがちで、細かい音数が減り、結局は音響機器の音の聴こえ方も人間が調整しているので鑑賞の空間的構造が作られていない場合が多い。
ひとことでいえば、楽曲全体がたとえ良く出来ていたとしても平坦に聴こえやすい。
しかしそれも、劣悪な音響デバイスが作品と鑑賞者のあいだにノイズを生んでいるからで、注意して聴けば、作品に対して何か靄がかった感触を得られるはずだ。
via. 批評論・翻訳された詩や小説の批評はいかにして可能か?
まあ、突き詰めると、メディアが質的に良過ぎると大抵のものが分不相応に良く観えてしまう逆の問題もあるし、そもそも音楽をMP3で聴くのはどうなんだ、みたいな果てのない環境論争に陥るのですが、いずれにせよ、作品鑑賞はその条件を触知する反省的な眼の繊細さがないと自分自身の無意識的な期待に化かされます。
『サイバーパンク2077』に話を戻すと、要するに、RTXシリーズの専売特許であるレイトレーシングのない光の単純な表現に、144hzを安価で出すためにTNパネルの犠牲となったナイトシティの潰れた暗闇の表現に、作品本来の良さを十分に発揮できていない印象を僕は「ノイズ」として感じたわけですね。
これも以前書いたことですが、僕が何かの価値を見定める場合はできるだけ良い状態で、良いものと良いものを比較することを信条としています。
もちろん、これはこれでサンプルの選定自体に評者のセンスと批評がすでに介在する別の難しさ(あるいは主観からの逃れがたさ)がありますが、何の成果物にせよ、パフォーマンスと戦略性の問題から作品ないし表現の質がバラけるのはあって然るべきことなので、評者の未然の期待に答えるような恣意的な(あるいは仮説通り、期待通りの結果を導く)サンプル選択にならないように工夫を凝らすことが作者や表現者への公平性であり誠実さだと僕は考えます。
ある時期のカニエの1番良い曲とまた別の時期の1番良い曲を比べるように、僕がお店の良し悪しを観る場合にはできるだけいちばん良さそうな商品や、フォーマットとして一番良くなりやすい料理、あるいは見たことも聞いたこともないものを注文する。
クロワッサンの食べ比べをするひと、正確にはクロワッサン程度の比較でお店の良し悪しを語りたがるヤツが嫌いな理由がこれだ。
少しのお金しか落とさないくせに偉そうにお店を語るなよ、と。
via. 批評論・クロワッサンの食べ比べをするヤツが嫌いな理由
で、最終的に買ったのがこちら。
・ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge
正直、グラフィックボードは最新世代の3000番台でなくてもよかったのですが、コスパ最強と謳われたRTX2070が今品薄で3070と遜色ない値段まで高騰しているのですね。
もちろん、PCパーツに多少ともお詳しい方はお気付きのとおり、僕のCPUではRTX3070の性能を完全には引き出せませんが、『サイバーパンク2077』のレイトレーシングON時に要求される性能を一応はギリギリ満たし、今年リリース予定のAAA級タイトルがCPUの推奨要件をがっつり引き上げる感じもあまりないので、まあ、来年にはこっちも交換かな?というのを前提に現状ではオーバースペックなRTX3070にしました。
モニターに関しては、FPSのランク戦(『オーバーウォッチ』)を真面目にやっていた頃に「144hzのリフレッシュレートでより安価なもの」として BenQ の ZOWIE XL2411P を購入し、ゲーミングでは特に不満はなかったのですが、ネットフリックスのドラマをPCモニターで夜中に観たりと使用用途が多岐にわたるにつれ、やはり先述のTNパネルの表現力では暗所のグラデーションが潰れてしまうな、と。
それで、144hzはFPSプレイヤーの当然の嗜みとして、4k出力はなくてもIPSパネル登載でHDR対応のよりマルチに使えるモニターを探していたときに同じく BenQ が新ブランドとして発表したのがこのEXシリーズでした。
結果を先にいうと、大満足です。
以下の有料部分では、『サイバーパンク2077』のほぼ最高水準のPC環境でのプレイフィールを書いていきます。
もちろん僕の一般公開のブログでもきちんとした形の批評を書く予定ですが、今後のDLCやパッチから開発の今後の方針を見定めたいのと、参考作品を少し遠回りしてから書きたいのとで当面はまだ手を付けません。
また、他の識者やメディアなどの僕とは異なる視点を(まだ調べていないので)わりあい勘案しないで書くため、普段公開している批評よりも多分直接的でわかりやすいので、現時点での僕の分析や評価を知りたい方は設備費への支援も兼ねてご購入してくれると嬉しいです。
よろしくお願い致します。
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