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おうちで中華 - 糊南瓜(カボチャの米粉炒め)

今日の料理は、江西省婺源(ぶげん)から。水も緑も豊かな江南地方の農村の典型的な姿を今に残した村で、村内には石造りの古建築が建ち並び、春先には菜の花が村を埋める。「中国で最も美しい農村」と言われる所以だ。

文化・言語面では江西省よりもお隣・安徽省の徽州文化の影響が強く、今日紹介する「糊菜」もそのひとつだ。「糊 hù」とは、粥のようにどろどろの食べ物のこと。原型をとどめぬ形まで炒め煮にした食材に米の粉でとろみをつける料理を、「糊菜」という。

婺源には、「無蔬不可糊(糊菜にできない野菜はない」という言葉があるそうで、僕も滞在中に様々な糊菜を食べた。その中から今回は糊南瓜(カボチャの米粉炒め)をご紹介する。


糊南瓜
hù nánguā

糊南瓜(カボチャの米粉炒め)

見事にどろどろになったカボチャ。見栄えは決して良くないが、僕はその素朴な美味しさの虜になった。

カボチャの甘味が活かされ、その他の味付けは最低限に抑えてある。実に優しい味わい。だが、優しいだけではない。青葱やニンニクの風味と菜種油のコクが、全体の味わいを深いものにしているのだ。

「これは美味しいねえ!確かにこの味だった!」
「このカボチャ、おいしい!」

婺源の味を知っている連れにも、初めて食べる子供にも大好評。皆、レンゲを手放せなくなった。

ふちのある平皿に薄く盛り付けるのが現地スタイル。

因みに、「糊菜」に使う米の粉は、もち米ではなくうるち米の粉だ。入手しやすい上新粉で作っても美味しいが、本場と同じ味を目指すなら、インディカ米の粉がオススメだ。今は通販で簡単に買える。

婺源を旅したのは、もう15年も前のこと。糊南瓜のほかにも、美味しい糊菜がたくさんあったなあ。これからガンガン作っていこうっと。 

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