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国際線に迫る夕暮れ
傾いたフレームの中にいた
ああとってもこんなに有名、なのに
一文字ずれただけ
全部無名になるのね

オフィスラブがお誂え向き
話し相手は個室の画面
要望多数で抽選へ
我思う故、間に合いますか?
歴史に残りたいので
どうかひとつ

合成樹脂の有り余る銀
小皺の増えた両の手で
そのまま冷たい病院へ
不穏な空気に苛まれ
どうしてそこまで我慢して、と
貴方も同じこと聞いた

滑走路の中央、深い緑が降り立って
いっそこちらからお出迎え
搭乗口の段差を気遣う
ねえ宗教みたいに美しかったよ
もう二度とは見れないよ
このまま帰る一人を待って
降り出しそうな雨を跨いで

臨海線を包み込む
髪に中指潜り込ませて
雲間に沈むクラクション
寄せては返す福音の
一度は翼だったもの
信じてたよ
信じてたよ
何度でも言うよ

  今も信じるよ

ビニール傘の弾く光に
瞬きもせず集めた夜の
終日カウンセリングの行列
それぞれ一度きりなんだから
あんなに見せたかったもの
鳴らす

  叫ぶみたいに
  鳴らす

  幾度も、な
  鳴らす

それだけじゃない
きっと何年経ったとしても
敗れた天使がすぐ側にいる


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お読みいただきありがとうございます。絶対に正解にたどり着けない書き方って出来ないかな?と思って書いたものです。何て言いますか、掴みどころが無いんだけど、幽霊のように立ち上がってくる感じ。現代詩に対するアンチテーゼと言いますか、抵抗する気持ちも少しあるかもしれません。全部後付けの理由ですが。

旅の雑誌「たびぽえ」2号目も詩を掲載させていただけることになりました。詩情を巡る旅の数々、興味がありましたらぜひ。↓

たびぽえ02


読んでいただき、ありがとうございます。 ほとんどの詩の舞台は私が住んでる町、安曇野です。 普段作ってるお菓子と同じく、小さな気持ちを大切にしながら、ちょっとだけ美味しい気持ちになれる、そんな詩が書けたらなと思っています。