見出し画像

星の砂巻き上げて海沿いの駅走り過ぎる
2つに折ったトレイルバー、大きい方を黙って差し出す
肩先にまだ残る燐光、振り払いもしないで
機関士はまだ寝てるみたい
窓を開け風を誘い込む
飛ばされないよう帽子を押さえ
足下で綿毛がくるくるとまるで子供のように
  もう行ってもいいかな?
  もう行ってもいいかな?

お喋り夢中になり過ぎて話は何処も行き止まり
呆れて見てる君のチャイム鳴らし続けて
大人の振りが楽しかった時代
壊れたように泣いたことも
背凭れに身体預けて思い出した頬杖という名の魔法
  もう行ってもいいかな?
  もう行ってもいいかな?

こうして向い合わせで過ごす最初で最後の旅
気まずくていいからもて余す時間が欲しかった
枕木が優しく見えるのは誰もが等間隔だと信じているから
自分たちでさえも ほらね
懐中時計が止まってそろそろ星祭りが始まる

カムパネルラによろしく伝えて
もう振り返ったりしないから
生命の正体ってね99%は夢
膨らむのを止められなくなった夢そのものなんだと
君が教えてくれたんだよ
  もう行ってもいいかな?
  もう行ってもいいかな?

ーーーーーーーーーーーーーー

読んでいただきありがとうございます。宮沢賢治に関して特に思い入れがあるというわけではありませんが、近所にタンポポがいっぱい咲いている空き地があって、綿毛が風に乗って建物の軒下でくるくると回っているのを見て、最初それが小さな虫に見えて、何だろう?と思って見てたのですが、綿毛でした。それでこんな詩を。

読んでいただき、ありがとうございます。 ほとんどの詩の舞台は私が住んでる町、安曇野です。 普段作ってるお菓子と同じく、小さな気持ちを大切にしながら、ちょっとだけ美味しい気持ちになれる、そんな詩が書けたらなと思っています。