見出し画像

今朝の霧を思い出す
柔らかだった触り心地と
預かった手紙は空色の便箋に
吹き付けるような雲の走り書き
そして微かな土の匂い
こうして旅立つ事であの日々に礼を言えたなら
私の心なんて貨物列車のガタゴト揺れる響きの
そのひとつでいい

誰もが最初は荒野に生まれながらも
皆故郷を忘れてしまった
会いたい気持ちさえ置いていかなけれは
見えない明日でも希望で満たされる
それは果てしなく遠いかもしれないと
耳元で言い聞かせた
あとはどんな争いも比較も意味をなくすだろう
生きていく喜びの前では

届かなくてもいい
あなたがこの世界に背を向け恨まぬよう
祈ってるから
歩き疲れたらそこが私の眠る場所
誰かの悲しみの途上でありませんようにと
願いながら
手紙の続きはさっき私が付け足した
そのさらなる続きはいつかこの道を通る誰かが
受け継いでくれると信じて

国境のある町で麦わら帽子抱えて頷いた
たった1人でいい
何ひとつ欠ける事無く全て伝えたいのは
たった1人でいいから
だから会いに行くよ


ーーーーーーーーーーーーーー

読んでいただきありがとうございます。

今回の新型コロナウイルス感染にまつわる世界の動向に関して、何か伝えられる事があるだろうかと考えた時に、考え方や対策などはほぼ出尽くしていて、ちゃんとした人がちゃんとした内容を既に発信していますので、私なりに感じた事を綴れないかと思ったのがきっかけです。本当にそれでいいのか?というような、何か心の奥に引っかかったような感じがしてたので、いっそ吐き出しちゃおうと思いまして。

草稿を書いた段階で何か血が騒ぐような感覚を覚えました。とにかくこの気持ちを今、形にしたかった。しかもメッセージという形ではなくて、世界に伝えたかった。この詩の中で展開されている出来事は、今起きている事に照らし合わせてみたら、もしかしたら逆行、さらには非常識な内容かもしれません。でもどうしてだろう? いけない事かも知れないとわかっていても、敢えてそれを選んだ人の答えに罪を着せてはいけないような気がします。どんな場面でもそうです。最近特に世論が正論一辺倒に傾いているような気がして、気になってました。この詩は決して今苦しんでる人に勇気を与えたり慰めたり傷を癒したりするような内容ではありません。でも私がどうしても伝えたかったのは、ここに書かれてる事なんです。もしかしたら世界がこの先、忘れていってしまう事になるかもしれない、それを書き留めたかったんです。

こういうの、もっと人気があって才能のある人が書くとかっこいいんだけどね。。。私みたいなのじゃお話にならないかもしれませんが(笑)。

「パンデミック」というタイトルは、まずはこの言葉からこの詩が始まったという意味であり、いくつもの複合的な意味を含んでいます。これからの世界はよりグローバルな方向に広がっていくのではなく、逆に個に帰っていくような気がしてます。だとしたら最後に残された選択は、やっぱり個人的なもの・・・で十分ではないでしょうか?

読んでいただき、ありがとうございます。 ほとんどの詩の舞台は私が住んでる町、安曇野です。 普段作ってるお菓子と同じく、小さな気持ちを大切にしながら、ちょっとだけ美味しい気持ちになれる、そんな詩が書けたらなと思っています。