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パパの育休は「世界が広がるチャレンジ」【男性社員のリアル体験談】

2022年10月、男性の育児休業(以下育休)取得のさらなる推進を図り「出生時育児休業(産後パパ育休)」という制度が創設されました。男女ともに取得できる育休とは別に、男性が子どもが生まれて8週間以内に4週間まで取得でき、2回に分割することも可能です。

創業39年目の地域新聞社は、育休を取得した女性社員が多数います。一方、男性社員は、直近数年で育休を取得した方が一人、育児のために有給休暇(以下有休)を取得した方が一人。取得実績が多くないのが現状です。

夫婦で協⼒して育児を行うため、男性が育休を取得するという選択もあります。これから子どもが生まれる男性社員が選択肢の一つとして検討しやすいよう、当社で育休を取得した高橋 悟さんと、育児のため有休を取得した斉藤小次郎さんに体験談をうかがいました!

斉藤小次郎(情報システム部・人事総務部)
2006年、地域新聞社に新卒入社。2022年9月より情報システム部と人事総務部の部長を兼任。2013年に社内結婚。現在は三姉妹(13歳、7歳、2歳)の父。三女誕生時の2020年2月に1週間の有休を取得した。趣味は子供と戯れること、ドライブ、コストコでの物色、モータースポーツ観戦、読書。
MISSION目標:社外にLXを拡大し、地域の企業全体で環境の変化に対応する

高橋 悟(制作部)
グラフィックデザイナーを10年経験し、2018年12月に地域新聞社に中途入社。制作部所属。二人の男の子(4歳、2歳)の父。次男誕生時の2020年4月に1週間の育休を取得。趣味はイラスト、麻雀、アウトドア、竹いじり。
MISSION目標:自宅の庭の手入れや玄関の掃除をする

※「MISSION目標」とは、地域新聞社のMISSION「地域の人と人をつなぎ、あたたかい地域社会を創る」を実現するための個人目標です。

「周りは“行ってらっしゃい” という雰囲気。嫌な顔をする人はいなかった」

――お二人は、どんな経緯で育休・有休を取ることが決まったんですか?

斉藤さん:三人目が生まれるタイミングで有休を取得しました。そのときは上の子が小学生と保育園児で、さらにもう一人はさすがに大変だと夫婦で話をして。妻から「(休みを)取ってね」という打診があり、この状況で取らないのは無理だと自分でもわかっていたので取ることを決めました。

高橋さん:一人目の出産のときは別の会社にいました。当時は深夜まで業務を行う働き方で、一人目の育児に関われなかったんです。妻から「かなりつらかった」と話を聞いていたのもあり、子育てに関われるようその会社を辞めました。なので二人目のときは、育休が取れるなら取りたいと思っていました。

――どのくらいのタイミングで会社に伝えましたか?

斉藤さん:妊娠の安定期に入った段階で「(休みを)取ります」と宣言しました。あらかじめ伝えておくことが大事かなと思って。

高橋さん:私も安定期に入った頃に相談した気がしますね。「育休を取ってもいいんですか?」と聞いたら「取れる」ということで。「どのくらい取る?」と聞かれて、正直なんて答えていいかわからなかったんですが「とりあえず1週間くらい」と。それで実現させてもらった感じです。

――1週間という期間はどういう想いから?

高橋さん:当時は入社してそこまで時間が経っていないのもありましたし、そもそも休みを取る感覚がなかったので(笑)。「1週間でも十分」というのが、そのときの感覚ですね。振り返ってみれば短かったなと思うんですが。

――斉藤さんは休む期間をどのように決めたんですか?

斉藤さん:最初は2週間と伝えていました。妻の退院後、体力が回復できるくらいと考えると2週間は必要かなと思って。でも、その直前に同じ部署で一人退職することが確定して、さらに自分が2週間休む状況はさすがにしんどいだろう、と。なので休む期間は1週間にして、そのあとは保育園の送り迎えができるように、半休を2週間取ることにしました。

――斉藤さんは育休ではなく有休取得ですよね。その理由はなんでしょうか?

斉藤さん:単純に金銭的な理由ですね。有休なら給料は変わらないけど、育休だと育児休業給付金の支給が賃金の6割くらい(67%)になるのでそれもどうだろうと思って。ちょうど2月で、一斉付与される4月が近かったこともあり、残っている有休を使おうと思ったんです。

――妥協して有休を選んだわけではないんですね。

斉藤さん:はい、会社として育休が取得できないわけじゃないです。有休が残っていて給料が変わらないのであれば、くらいの考えでしたね。

――お休みを取ることが決まり、どんなふうに業務調整をされましたか?

高橋さん:私は入社して1年くらいのときで、グラフィックデザインの業務に引継ぎはあまりなく、誰でもできる状態だったので業務調整はノータッチでした。上司の石塚さんに「休みを取らせてください」と話をしておいただけですね。

斉藤さん:私もそこまで苦労はしなかったですね。前もって宣言していたので、周りも「休むよね」という意識で、根回しなどはする必要がない状況でした。あとは出産時期に照準を合わせて業務調整するくらい。準備としては、生まれる1カ月前くらいにこれから予定している業務をまとめておいて、休むタイミングで「この期間のこの業務をお願いします」と引き継ぐ感じだったと記憶しています。

――周りの反応は応援するような雰囲気でしたか?

斉藤さん:そうですね。「行ってらっしゃい」くらいの雰囲気でしたよ。「えぇ~」って嫌な顔をする人はいなかったです(笑)。

「育休は家事育児の“入り口” に立てた重要な期間だった」

――お休み中は実際にどんなことをしていましたか?

高橋さん:今、家でやっていることと同じといえば同じ。基本的に子どもと同じ空間にいて、長男の相手をすることもあれば、下の子の面倒を見ることもあります。一人目のときに育児に参加できなかったので、当時はノウハウがなかったんです。なのでそれを叩き込まれつつ、なんとか役に立とうと奮起した1週間でした。そのおかげで今はかなりいろいろとできるようになりました。

――叩き込まれたノウハウはどんなことですか?

高橋さん:家事も育児も両方。気が回らないので「人間として」みたいなところも含め全部です(笑)。家事でいうと例えば洗濯物の干し方、畳み方、しまい方など。洗濯ものの洗濯機への入れ方も、「これは洗濯ネットに入れないといけない」とか。雑な人間からすると「良くない?」と思ってしまうんですが(笑)、そういうところから叩き込まれました。

――家事・育児の基礎を身につけた大切な期間だったんですね。

高橋さん:当時は「なんで?」「そこまで?」みたいな気持ちでしたけどね。不満もありながらもやっていくうちに「確かにこれは正しいのかな……」と納得できてきました。育休期間中にすべてを獲得できたかというとそうではなかったですが、入り口に立てた準備の1週間でしたね。非常に重要な期間でした。

それに実際やってみて「これは大変だ」と身に染みてわかったので、今後どうしていくかを夫婦間で話し合えるようになりました。

ご家庭での高橋さん

――斉藤さんは育休中は具体的に何をしていましたか?

斉藤さん:基本全部やりました。朝起きて上の子を小学校に送り出して、保育園の準備をして連れていく。帰ってきて朝食の片づけをして、洗濯をして買い物へ。夜ご飯の準備をして、子どもが帰ってきたらお風呂に入れて、夜ご飯を食べさせて片付ける……。という感じで、家事育児全般をやっていました。夜の9時半くらいに解放される、というそんな日々を5日間続けていました。(妻が)何もしなくていい状態を作りたかったので。体を休めてもらうためにだいたい全部のことをやった気がします。

――出産後のママが体をしっかり休めてパパが家事育児を全部やるのは、レアケースだったりしますか?

古田さん(取材に同席した編集部の3児ママ):あまりないと思いますよ。素晴らしいなと思いながら聞いていました。

斉藤さん:子どもが二人いる時点で母親だけが家事も育児もやるのはパンクしちゃうと思うし、もともと私は一人暮らしで家事をやっていた経験があったんです。うちは誰が何をやるという分担をきっちり決めていなくて、そのときにやれる人がやるスタンスでした。だから一通りできる状態だったんです。洗剤の詰め替えはどこにあるとか、何がどこにあるのか、そういうのも含めて一通り知っていたのでできたんだと思います。

ご自宅で家事を行う斉藤さん

「子育てをしながら働いているお母さんは、みんなすごい!」

――パートナーの反応はどんな感じでしたか?

斉藤さん:2年半くらい前なのではっきりは覚えていないですけど……もちろん感謝はあったと思います。ゆっくりしてもらえた姿が見られたので、自分としては良かったなと思っています。

高橋さん:うちは育休に関して「やっぱり期間が短かったよね」という話はしました。

斉藤さん:それは思いました。1週間、すごくあっという間に終わりましたよね?(笑)

高橋さん:「何もしてないんじゃないか?」と思うくらい(笑)、本当にあっという間でした。

斉藤さん:子育てをしながら働いているお母さんたちは、みんなすごいなって思います。日中仕事をして、帰ってから洗濯・掃除・ご飯・子どもの世話も含めて、あの量の家事育児をしている。それを仕事しながら毎日やるのは本当にすごいと思うし、大変さが身に染みました。もともとある程度はやっていたとはいえ、あらためてすごいなと実感しました。

――高橋さんも激しくうなずいていますね。

高橋さん:本当にそうで。うちの場合は子どもが0歳児と2歳児。両方ともおむつで、まだ自分で何もできない子二人がずっと家にいる状態だったので、かなりカオスだったんです。自分も段取りが悪かったし、とにかく大変でしたね。それをやりながら仕事をやっているのは「スーパーマン」としか言いようがなくて。

自分も子どもが少し大きくなってからワンオペをやるようになりましたけど、やっぱり1日でそれなりに疲れるんですよね。それを毎日やるとなったら……「そんな人いるの!?」と疑いたくなるくらいです。

斉藤さん:「そんな人いるの?」と思うけど、実際みなさんやってらっしゃるんですよね。だからすごいと思うし。うまく手を抜くポイントがあったり、慣れている部分もあったりするかもしれないですけど、それでもやっぱりすごいなって思いは変わらないですね。

――古田さんは、ママの立場で今のお話を聞いてどう思いますか?

古田さん:ご主人がわかってくれているだけで救われるんじゃないかなと思いました。1週間体験してみて大変さを感じて、仕事に戻っていくと思うんですけど、そのあと一人で育児していくなかで、その気持ちを感じてもらっているだけで頑張れることもあると思うんです。それだけでも意味のあるお休みだったんじゃないかなと個人的には思いました。

産後1週間のご主人の協力の有無って一生残ると思っていて。産後は体も全然動けないですし、上のお子さんの相手をしてもらえるだけで体力的にもメンタル的にも違うと思うので。「大変さをわかってくれた」「助けてもらえた」というのは、素敵な期間だったんじゃないかな?と思います。

「やってみないとわからない」家事育児もやってみて初めてわかる

――1週間のお休みは「短かった」「あっという間だった」という言葉もありました。業務調整や収入面などの気がかりを全部取っ払えるとしたら、どのくらいの期間休めるのが理想だと思いますか?

斉藤さん:1カ月検診で外出許可が出るまでは身動きが取れないので、散歩できるようになる1カ月~1カ月半くらいですかね。最低そのくらいあるといいのかなと思います。外に散歩して気晴らしができるので。

高橋さん:私の場合はざっくり1年くらい取れると理想ですね。子どもが歩くか歩かないかくらいまで取れるといいのかなと個人的には思います。ただ、このくらいの期間を取ればいいというのは、人にもよりますね。育休を取って、家庭のことに真剣になれるかどうかが大事で、長ければいいというものでもないかと。休もうと思えば休めちゃうじゃないですか。やろうと思わなければ、ただダラダラした男の人が横にいるだけになるので(笑)。

高橋さんと二人のお子さん

――では最後に、今後子どもが生まれる男性社員に向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。

斉藤さん:「やってみないとわからないですよ」というのはありますね。やってみてはじめてわかることも多いので。何事もそうですけど、家事育児もそうだと思います。自分の経験として、育休は世界が広がると思いますよ。視野が広がり、話せる話題の幅も広がるだろうし。それが体験できるのはありがたいことかなとも思うので、取れる状況があるんだったらチャレンジしてみてほしいなと思います。

――「チャレンジ」という言葉、すごくいいですね。育休を取得すると仕事からはいったん離れますが、家庭でさまざまな経験ができ、仕事では得られない成長機会になりそうで。

斉藤さん:育休期間中は新しいことが多いので、そういった意味でチャレンジだなと思います。ただ育休を取ること自体はチャレンジではなく、取るだけなら簡単にできると思います。地域新聞社であれば「取ります」という言葉は気軽に言える環境なので。今後、男性でも「育休を取ります」と言える人が増えるといいなとも思います。

高橋さん:そうですね。本当にやってみないとわからないと思います。家庭の話になってくるので、それぞれ環境が全然違いますが、育休を取るか悩むくらいだったら取ったほうがいいんじゃないかなと思いますね。取ったほうが自分にプラスになるし、家庭にもプラスになると思うので。

何より取得しやすい雰囲気の会社なので、せっかくそういう会社に入ったのであれば、どんどん制度は使ったほうがいいかなと思いますね。もちろん、状況によっては取らないという選択をしてもいいと思いますし。

――育休の取得や期間について家族でよく話し合うことが大切かもしれませんね。

斉藤さん:期間の話でいうと、1~2週間はそこまでハードルは高くないと思います。インフルエンザなどで休むのと同じくらいの長さなので。

高橋さん:そうですね。1週間でも取るのと取らないのとでは全然違うし、1週間でも充実できると思います。それに、経験したあとにどう活かすかも重要。その後に活かせるという意味でも育休取得はいい経験になるんじゃないかなと思います。

――貴重なお話、ありがとうございました!

お子さんと一緒に遊ぶ斉藤さん

▼人事総務部・中園 梢さんにもお話をうかがいました!

「育休取らないの?」とあたりまえに言える関係が肝

中園さん:10月から「産後パパ育休」制度がスタートしたことで、よりフレキシブルに育休が取得できるようになりました。分割して取得できますので、男性も取得しやすくなったと思います。

「産後パパ育休」の規定は、休業の2週間前までの申し出がルールですが、妊娠安定期に入りご本人のタイミングでご相談いただけたら、こちらも余裕をもってご案内できるかと思います。制度について理解していなくてもいいので、気軽にご相談いただけたら詳しく説明します。

また、男性の育休取得に関しては部門長の存在もキーになると思います。部下から「妻が妊娠しました」と報告を受けたときに「育休取らないの?」とあたりまえに言える関係が肝になります。これから子どもが生まれる方もそれ以外の方も、男性の育休取得が選択肢の一つとして認知していただき、より理解が深まっていけばと思います。

編集後記

「社内の男性と、家事育児について話すのは初めてで楽しかったです!」そんなお二人の言葉も印象的でした。

男性が家事育児について普通に話す、「育休取るの?」と気軽に聞ける。そういったことが「あたりまえ」になってもいいなと感じました。斉藤さんと高橋さんは、社内のパパ同士で話したい方は「気軽に話しかけてください」とのことでしたよ◎

この記事を読んでどんなことを感じましたか? このnoteをきっかけに家族や社内メンバーと育児や家事について話をしてみてもいいかもしれませんね。

このnoteを書いた人:編集部 岡本( Twitter / Web記事

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