都市部の若者が田舎に移住するアレです


エピローグ的な一発目。

女、20代半ば。全国転勤のある大組織の末端で働いていたOLは、ある日偶然見つけた某田舎町の求人に目が留まる。

大変な職場ではあったものの、休みはしっかり取れるし、運良く同僚や上司に恵まれ、これからここでスキルアップして仕事を続けて行くのだろうな、と思っていた。

その某田舎町は、学生時代に傷心の一人旅をして心底癒された場所。
「いつかこんなところに住んでみたい」、と思った場所。

転職するなんて気はさらさらなかったものの、「いつか」はいつ来るのか、こんなチャンスが来ることはあるのか・・・。
でも、やっと仕事を覚えてこれから戦力になっていけるかもしれない職場や、毎週のように飲みに行く仲の良い同僚たち・・・。

そんな葛藤がしばらく続き、締切ギリギリで応募したのが、現在住んでいる小さな田舎町の地域おこし協●隊だった。

当時の私は、この制度をイマイチ知らなかったのだが、

*特に資格やスキルが必要ない
*住居・車付き
*年収はグッと下がるが、家賃なしなら暮らしていけそうな月給
*任期は最大3年間(任期が設定されているので辞められる)

は、この町に住んでみたいという自分には魅力的に思えた。

独身で、今なら動ける。
最大3年なら、まだ戻ってきても20代。なんとかなるか。
落ちても今の職場に居ればいいし、ノーリスク!そんな気持ちだった。

その後、書類→面接と進み、縁あって採用されることとなった。


私が住んだ町は、都市から1時間!なんていうお手軽な田舎ではなく、コンビニもスーパーもないような玄人向けの田舎。人口も頑張れば皆と知り合えるくらいの小さな町。何をするにも遠い。
それでもAmazonはちゃんと翌日に届くし、生協の個配もきてくれるし、暮らしてはいける。

採用が決まり、引っ越すことになった家は、一人には広すぎる2階建ての一戸建て。長年空き家だったが、見学に行ったときは、「いや、人住んでるやろ!」というレベルの生活感のある荷物の量。
引越しまでにある程度整理はしてもらえたが、それでもいろいろ家財は残ったまま。
「捨ててくれてもいいし、使えるもんは使って。」と大家さん。

私のいちばん計算違いだったのはトイレ。所謂ボットンというやつである。平成生まれの私、恥ずかしながら日本にまだこの手のお手洗いが存在することを知らなかった。
日本はとっくに端から端まで上下水道が整備されている近代国家だと信じていた。(笑)

私が住むことになった地区は下水が整備されたのは割と最近で、もっと山手にいくとまだ整備されていない集落も多くあるという。いや、ほんとびっくりである。(今はそれが普通と思っているが)

幸い住むところは下水が整備済みの地区だったが、当然ずっと空き家だったため接続工事はされておらず。お風呂もお湯は出るものの、浴槽は使えるレベルではなかったため、水周りは移住支援の補助金を使って改修することとなった。

というか、移住者のための補助金ということもほとんど説明を受けないまま、「○○○円出るから改修しましょう」という町の方からの説明。
ボットンは想定外だったけど、改修できるならここに住もう!と決定。

ここで肝なのが、移住時期は夏。改修に1~2ヶ月かかるから最初のそれくらいは我慢してもらうことになる、との話だったこと。
夏だしシャワーでもなんでも乗り切れるし、トイレも余裕があれば徒歩2~3分の公共トイレにいけば大丈夫か、と軽く考えていたことである。
このあと、その目論見は大きく外れる形で移住生活がスタートすることとなる。

つづく。



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