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生姜入り紅茶に、はちみつを注いだら。

はちみつを買った。身体が冷えないように、紅茶に生姜を入れて飲んでいるのだけれど、ちょっと渋いというか苦いというか、私にはだいぶ強気な味で困っていた。

そうだ、はちみつを入れてみよう、と思い立って近くのスーパーに向かう。今日から急に気温が下がり、外はすっかり冬の顔をしている。マフラーをしてきてよかったと思いながら、コートのポッケに手を突っ込む。


スーパーに入ると、急にぼんやりとした空気になった。食料品を扱う関係で、暖房を効かせられないのだろう。冬でも頭がスッキリする温度で、意外と好きかもしれない。

スーパーの天井にぶら下がっているプレートから「はちみつ」の文字を探す。米菓、チョコレート、キャンディ、と一文字ずつ文字を追う。あった。ジャム・ハチミツ、と書いてある。

私としては、蜂蜜でもなければハチミツでもなく「はちみつ」であってほしいと思う。だってそっちの方が、ずっと身体にやさしそうだから。

はちみつコーナーなのに、メープルシロップの品揃えの方が多い。はちみつの選択肢はあまりなかった。どれにしようか悩んだけれど、いちばん値段の安いものにした。今日はお試しなのだ。


家に帰ってきて、早速はちみつのラベルを切る。フランスのルンドミエルという商品らしい。フランスの国旗が書いてあり、ころんとしたパッケージが愛らしい。

電子ケトルでお湯を沸かしている間に、紅茶のティーバッグと生姜と、はちみつをマグカップに入れる。はちみつがとろりと流れていく様を、少しばかり見つめた。なんて、きれいなんだろう。

ぱちっと音がして、電気ケトルの勢いが静かに収まっていく。熱々に沸いたお湯をマグカップにゆっくり注ぎ込む。今日はピーチのフレーバーティー。柔らかいピーチの香りがキッチンに充満する。

火傷しないように気をつけて、ゆっくりと紅茶を口に含む。ほんわりと漂うピーチの香りの奥に、ふわっと一瞬、はちみつが香る。


はちみつを入れた紅茶は、身体が溶けてしまいそうなほど甘美な味がした。それでいて、生姜のパンチが効いている。

あまく、うつくしく、やわらかく。それなのにピリッとする。そういう人間になりたいな、なんてね。

冬はこれからどんどん加速する。師走に向けて、どんどん走り出す。忙しい日々の中で、生姜入りのはちみつ紅茶を飲む時間だけは、ゆっくりと過ごしたいな。

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