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【器の修繕、金継ぎ】図師千穂
2024年1月27日 21:59
金継ぎはもともと、大名が拝領するような、高価な器を修繕するためのものでした。たとえば江戸時代、長屋住まいの庶民は、金継ぎでなく、釉薬で割れ目を埋めて、再度低温で焼く、「焼継ぎ」という修繕方法が主だったようです。 なので、金継ぎは、漆芸の技術を持った、特に蒔絵師が副業で行っていたもので、「蒔絵」の技術を施して、陶磁器を修繕します。 漆芸自体は、奈良時代頃、中国大陸から伝わった痕跡が残って
2023年12月22日 08:13
修繕をしていて、形も年代も傷も、まったく同じ、というものは、これまでありません。 また、その直し手が、器や傷にどんな印象を持ち、どんな風に直すか、どんな線を描き、どんなボリュームで塗り、仕上げの微細な調整はどうするのか。直し手の違いによっても、まったく同じ修繕の器というのは、世界中にひとつも存在しません。 たとえばすぐに買い直せる規格品のマグカップが、傷を得て、それに修繕が加えられたこ
2023年12月8日 21:24
漆を使って器を修繕すると、とても手間(=労力)+ひま(=時間)がかかります。「最先端の技術で、魔法みたいに、一瞬で器をなおすことができたらいいのに」と、早ければ早いほど、より価値がある、とされるのが、現代社会の常識です。 でも、そんな世界に生きていながらも、人間は、ずっと昔から、人間です。手間やひまをかける、ということは、合理性とは別の、何かに対して、「大切にする」という行為そのものだと感