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Opernfestspiele 2023 Bayerische Staarsoper 26.06.2023 オペラの記録:ミュンヘン・オペラ祭開幕公演 ブレット・ディーン作曲《ハムレット》ドイツ初演(バイエルン州立オペラ、ナツィオナールテアター)


いよいよ今年のミュンヘン・オペラ祭が開幕しました。
ミュンヘン・オペラ祭はバイエルン州立オペラがシーズン終わりの約1か月間に、そのシーズンに上演した作品を一堂に、加えて「オペラ祭新制作」を上演するものです。
世界中からオペラ・ファンが集まり、一段と華やぎます。

今年は6月26日、ディーン作曲《ハムレット》新制作で開幕しました。

開幕プレミエには政治・経済界の要人をはじめ有名人が集まります。
ナツィオナールテアター正面入り口の階段にはレッド・カーペットが敷かれています。

有名人を待つカメラマンたち。

お客のファッションも通常のプレミエとはちょっと違う雰囲気です。

今年はピンク系のドレスを身につけている人を多く見かけました。
プレミエはシックな黒に華やかなアクセサリーという人が多いのですが、夏でもあるし、コロナ、ウクライナ侵攻と暗いことが続く中で、鮮やかな色で気持ちを引き立てたいというのもわかります。

また、フランスやスイス製でしょうか、高級レースのドレスも。
街中にファスト・ファッションがあふれている中、やはり手の込んだ感のあるドレスは素敵です。

プログラム売り場の花。後ろはモーツァルト。

売店に飾られた花もかわいい。

プログラム。
オペラ《ハムレット》の世界初演は2017年6月11日、グラインドボーン・フェスティヴァルでした。ミュンヘンはこの制作を受けたものです。
知り合いの批評家は「ミュンヘンがオペラ祭開幕にグラインドボーンの制作をもってくるとは何事か!自分たちのオリジナル新制作で開幕公演をしないなんて、けしからん」と怒っていました。それも一理あると思います。

オーケストラ・ピット。

カーテンコール。
観客もスタンディング・オーヴェーションで賞賛を贈ります。


さて、シェークスピア原作の《ハムレット》、誰もが知る世界の名作です。
ただハムレットとはそもそもどんな人物なのか?となると、ほとんどの人が「デンマークの王子。父王が急死して、父の弟クローディアスが母と結婚して王になる。陰鬱に沈むハムレット・・・」という説明で始めます。

昨晩、公演後のプレミエ・パーティーで同じテーブルにいたドイツ人の批評家もそうでした。彼はそれに「ハムレットは元々政治的な人間ではないよね」と付け加えました。

私が関心があるのは、『事件以前』のハムレットです。
以前、《ハムレット》をレクラム(ドイツの文庫本)で読んだときに、「ハムレットはドイツのヴィッテンベルクにフルートを学ぶために留学していた。父王の訃報が届き、急ぎ故郷に帰る」と設定されていたと記憶しています。

ヴィッテンベルクは今日「ルターシュタット・ヴィッテンベルク」という名です。1517年、ヴィッテンベルク大学の教授マルティン・ルターが『95ヶ条の論題』をヴィッテンベルク大学内の聖堂の扉に貼り出したことが宗教改革の始まりでした。

シェークスピアが《ハムレット》を書いたのは1601年頃とされています。

ハムレットがなぜヴィッテンベルクに行ったのかはわかりませんが、宗教改革のメッカで神学を学ぶのはなく、フルートです。音楽の勉強です。

上記の批評家が「ハムレットは元々政治的な人間ではない」と言ったのは、ドラマ全体のコンテクストからですが、彼の意見は正しいと言えます。
私が彼に、「ハムレットはヴィッテンベルクでフルートを学んでいた」というと、それは知らず、「へぇー、それは興味深い。少なくとも芸術家の方向なんだ」と言っていました。

ただ、私はシェークスピアの専門家でもなく、レクラムも今、手元にないため、確認ができません。詳しい方がいたら、ぜひ教えてください!!

公演後のパーティー。いつもは劇場内なのですが、中庭です。
さすが、ビールの街ミュンヘン、日本でも有名なホーフブロイの傘です。

私が会場を後にしたのは24時を回っていました。街中は月曜日でもあり、さすがに人影もまばらでしたが、パーティーはまだまだ続いていました。

これまでのFOTO:©️Kishi

以下は劇場からの写真です。©Wilfried Hösl


以下はカーテンコール。©Wilfried Hösl



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