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Mozartfest Augsburg 06.05.23 アウクスブルク・モーツァルトフェスト、コンサートの記録:ユロフスキ指揮ベルリン放送響(5月6日、アウクスブルク、コングレス・アム・パーク)

アウクスブルク・モーツァルトフェストが始まりました(5月5日〜5月21日)。

アウクスブルクはドイツ・バイエルン州の町、ロマンティック街道の中心地として有名です。見どころがたくさんあります。

その歴史は紀元15年に遡り、その名前もローマ皇帝アウグストゥスに因んでいます。
歴史的に軍事的・経済的に重要な町でした。
例えばイタリアのメディチ家と並ぶ中世の大富豪フッガー家の本拠でした。
フッガー家はヨーロッパの北と南を結ぶアウクスブルクで金融の担い手でした。1540年には証券取引所が作られています。
フッガー家は戦費調達はもちろん、ローマ法王にも大きな影響を及ぼしました。
一方で、1519年、貧民のための世界初の福祉施設住宅も建設し、現在も使われています(Fuggerei フッゲライ)。

さて、アウクスブルク出身として有名な文化人にはベルトルト・ブレヒトとモーツァルトの父レオポルト・モーツァルトがいます。

ヴォルフガング・モーツァルトはオーストリアのザルツブルクに生まれ、ウィーンで亡くなりました。しかし、本人は「僕はドイツ人」と書いています。そのヴォルフガングのルーツでもあるアウクスブルクではモーツァルトの名前を冠した音楽祭『モーツァルトフェスト・アウクスブルク』を毎年開催しています。

2日目の5月6日にはベルリン放送響が首席指揮者ウラディミール・ユロフスキの指揮で登場しました。
ベルリン放送響は今年創立100年を迎えます。
またユロフスキはバイエルン州立オペラの音楽総監督も務めます。
ミュンヘンのバイエルン州立オペラは現在他に並ぶもののない『最優秀オペラハウス』で、今年創立500年になります。

コンサート会場のコングレス・アム・パーク。

フォワイエ。


モーツァルトフェスト全体のプログラム。

この夜のプログラム。

まずモーツァルトのオペラ《ドン・ジョヴァンニ》序曲ですが、この選曲には当然、モーツァルトの父レオポルトが背景にあると思いました。

ヴォルフガングは終生、父との関係に苦しみました。《ドン・ジョヴァンニ》にはそれが色濃く反映しているという解釈があります。
ミロシュ・フォアマンの映画《アマデウス》でもフォアマンはその解釈に立脚しています。この映画の中で、モーツァルトに《レクイエム》作曲を依頼する謎の人物(仮面とマントの人物)が現れる時には《ドン・ジョヴァンニ》序曲の冒頭のニ短調トニカが鳴り響きます。

モーツァルトでは調性が大きな意味を持ちます。まず短調が非常に少ない。もっともこれはこの時代の傾向でもありました。
しかしモーツァルトにおいては短調の使い方が際立っているのです。
特にニ短調、これは人間界を超えたデモーニッシュな出来事や存在の象徴となっています。
《ドン・ジョヴァンニ》序曲はニ短調トニカの後に、騎士長(=レオポルト)の死が描かれます。

しかし一方でモーツァルトは『私小説的作曲家』ではありません。

そんなことを考えながら、デモーニッシュな音楽に耳を傾けました。

FOTO:©️Kishi

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