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ミュージカル:《ルートヴィヒ2》、03.08.24 Festspielhaus Neuschwanstein

ドイツ観光の白眉ノイシュヴァンシュタイン城の近くにミュージカル劇場『フェストシュピールハウス・ノイシュヴァンシュタイン』があります。
ここは2000年4月7日、ミュージカル《ルートヴィヒII》で開場しました。

この《ルートヴィヒII》は1506回上演され、約150万人の観客を集めたのですが、それでも75%の座席占有率で、経済的に難しく一旦プログラムから外されました。

しかし2005年3月11日《ルートヴィヒ2》(2は二乗、つまり小さい2)として新制作を出したのですが、これもうまくいきませんでした。

そして、このミュージカル劇場、紆余曲折を経て2016年には倒産してしまいます。

2017年、名前も変え再出発をしたのですが、コロナで閉鎖。

その後、ワーグナー・ファンも眼中に入れ、21年《トリスタンとイゾルデ》を上演しています。
下の投稿をご覧いただけるとわかるのですが、この時のオーケストラは『キエフ・シンフォニー・オーケストラ』。
キエフの優秀な音楽家は外国に出てしまい、まだ勉強中の若い人たちしかいない。
加えて、ウクライナではワーグナー上演の伝統がなく、どう演奏して良いかわからない。

実は、指揮にはウクライナ出身のオクサーナ・リュニフが予定されていました。
彼女は直前のバイロイト・ワーグナー・フェスティヴァルで初の女性指揮者として《さまよえるオランダ人》指揮でデビュー。これに集中したいこともあったのでしょう。それにしても、《トリスタンとイゾルデ》指揮はとても難しく、振れないとして、フュッセンを降板してしまいました。
そこで白羽の矢が立ったのが、ローター・ツァグロゼクでした。
ツァグロゼクは夫人の病気看病のため、指揮活動を制限していたのですが、《トリスタン》指揮ができ、かつ、経験のない若いオーケストラを指導できる、それに力を尽くす気持ちのある指揮者はそういないのです(指導は大変ですから)。
彼は、急遽、キエフに飛んでオーケストラ指導をしたそうですが、若者たちの情熱には感心したそうです。
この《トリスタンとイゾルデ》の本公演でも、オーケストラは最初はビクビクでしたが、演奏と共に大きく成長していくその姿には感動しました。

その、キエフの若者たち、今頃どうしているのでしょう・・・→

この時のイゾルデ役はキャサリン・フォスター。今年はバイロイトでブリュンヒルデを歌っています。

この折、主催者招待でツァグロゼクやフォスターなど歌手たちと一緒にホーエンシュヴァンガウ城の見学をしました。
後で知ったのですが、写真撮影禁止だったそうです。この時は特別なグループだったので何も言われなかったのかもしれません。ですから滅多にみられない写真が以下の投稿に満載です。→

さて、今回の《ルートヴィヒ2》。
まず劇場等の写真です。前回の投稿に多くの写真を掲載しているので、ここでは少しにします。

劇場前の庭から。湖の向こうにノイシュヴァンシュタイン城がみえます


キャスティング表
王様のロージェの後部
客席内部
カーテンコール

以下はパンフレット。


作品は、かなり細かく、しっかり作られています。
オーストリア皇后シシとの悲恋、あるいはシシへの憧憬を核にしていることについては異論もあると思います。
しかし、ルートヴィヒ2世を単なるメルヘン王、狂王、夢想家としてではなく、激動の国際情勢の中で苦悩する文化・教養人としての描き方には好感を持ちました。

ステージもダイナミックだし、衣裳も絢爛豪華。

なにより音楽!歌だけではありません。
ルートヴィヒ2世の庇護なくしては、欧州を逃げ回り、存在すら危なかったワーグナー。彼のオペラ作品の使い方が上手い。当初、何回出てくるか指を折って数えていたのですが、途中で諦めてしまいました!

そして今年生誕200年のブルックナー作品も出てきます。

有名観光地で、有名人を題材にして観光客を集めようとするミュージカルと思う方もいるでしょう。しかし、それにしては、よくできています。おすすめです。

サイト。トレイラーもあります。 →


FOTO:(c)Kishi

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