見出し画像

Gärtnerplatztheater 26.01.23 オペレッタの記録:ミュンヘン・ゲルトナープラッツテアター、オッフェンバック作曲《ジェロルスタン女太公殿下》プレミエ(1月26日)

1月26日、ミュンヘン・ゲルトナープラッツテアターでオッフェンバック作曲《ジェロルスタン女大公殿下》のプレミエを観ました。

このプロダクションはドレスデンのゼンパー・オーパー(ザクセン州立オペラ)と共同制作で、ドレスデンでのプレミエは2020年2月29日でした。

作品の内容はロシアのウクライナ侵攻も彷彿とさせるのですが、それ以前です。

こちらは上階の喫茶・軽食の場所です。賑わっています。

客席上部からステージとオーケストラ・ピットを見たところ。
オーケストラ・ピットの横と手前にも細いステージを作ったため、客席最前列がつぶされていします。

プログラム。
主役の女大公殿下はメゾ・ソプラノなのですが、この日はホアン・カルロス・ファルソン(テノール)が歌いました。
それにより風刺と面白味が増していました。

音楽が始まる前からすでに上演が始まっています。
これはジェロルスタン公国を訪れた団体客という設定です。

大公妃はステージ上部から額縁に乗って登場するのですが、最初は男性とはわからない程でした。低い声の女性はいるし、特に奇妙でもない。
同行者は休憩時に「え、あれ男性?」とびっくりしていました。

世界初演は1867年、パリ。
為政者のわがまま、移り気、軍人たち、好戦ムードを痛烈に皮肉っています。
フランスではその後『アンチ軍国主義的作品』として上演禁止になりました。
普仏戦争を目前に、アンチ・ウォーは政府の方針に逆行するもので危険だったからです。

オッフェンバックはドイツ・ケルン生まれのユダヤ人。パリで活躍しました。
ちなみにケルン・オペラの住所はオッフェンバッハ・プラッツと言います(ドイツ語読みではオッフェンバッハ)。

ステージに描かれた絵はジャック・ルイ・ダヴィッドの《テルモピュライのレオニダス》(1814年)。ルーブル美術館に行ったことのある人なら覚えているかもしれませんね。
彼の作品では他に超有名な《サン=ベルナール峠を越えるボナパルト(ナポレオン)》、《ナポレオン1世の戴冠式》があります。

好戦的な男性の筋骨隆々としたマッチョを二次元の巨大な絵で表わし、ステージでは軍服の上にチュチュをつけた若い兵士や上半身裸の兵士たちがバレエを踊るので、その皮肉ぶりも面白い。
のっけから引き込まれます。
最後は現代の男性の半裸の写真で締めくくります。これも美術の枠構造がしっかりしている。

以下の写真はプログラムから。

登場人物の位置は、同じダヴィッドの絵、《ナポレオン1世の戴冠式》の構図と同じですね。

音楽はモーツァルト、ヨハン・シュトラウス、ヴェルディ、オッフェンバック本人などの作品から、加えてワーグナーのテキストが借用、パロディー化されたものが頻出します。


FOTO:©️Kishi


以下は劇場のHPからの写真です。© Jean-Marc Turmes


左からプック男爵、エルジーネ・フォン・ネポムッカ、ブム将軍が陰謀を企んでいます。


ジェロルスタン女大公は若い兵士フリッツに一目惚れし、フリッツをブム将軍より上の地位、総司令官に任命します。フリッツは恋人ヴァンダがいるのですが。

ジェロルスタン女大公はフリッツとの夜を楽しみに・・・


フィナーレ。
左にある若い男たちの半裸の写真がダヴィッドの《テルモピュライのレオニダス》と好対照をなしています。

兵士役の一人(バレエ)はHikaru Osakabe さんが演じています。


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
カルチャー・コンサルティングについてのお尋ね、ご連絡は以下までどうぞ。

Kishi Culture & Media Consulting Companie UG
代表:来住 千保美(Chihomi Kishi)
info@kcmc-music.com

ご興味のある方は以下の投稿をご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?