デザイナーがより活躍するためにデザインレビューのプロセスを見直しました
こんにちは。BASEのDesign Section マネージャーの小山です。
BASEのデザイン組織では、2022年上期にデザインレビュープロセスを大きく見直しました。
その中でもProduct Designのレビュープロセスを大きくアップデートし、新しいプロセスもだいぶ安定運用されてきたので、今回はマネージャー視点でデザインレビューのプロセスを「なぜ変えたのか」「どう変わったのか」についてまとめていこうと思います。
【前提】 今までのデザインレビュープロセス
BASEのデザイン組織はもともと1 Groupだったこともあり、ネットショップ作成サービス「BASE」のデザインでも、購入者向けショッピングサービス「Pay ID」のデザインでも、同じデザインプロセスとレビューを一貫して行なっていました。
当時のレビューのプロセスとしては本実装に入る前に、「サービスとして世に出して良いデザインになっているか」の判断として「デザインプロダクションレビュー」をVPoPとDesignマネージャーでチェックをする体制をとっていました。その前段階で担当デザイナーが意図しているデザインがちゃんと伝わるか、サービスとして一貫したデザインになっているかなどをチームのデザイナー感でフィードバックしあうデザイン相談会などがあります。
このフィードバックをえる場と本実装に入る前のレビューをあえて区別するために承認の場として位置付けていました。
それぞれの領域に適切な責任者を
ここ2〜3年でBASEのデザインチームは人数が増えるだけでなく、より専門性の高いデザイナーが増えました。
それによって活躍の場も増え、2年前と比べるとデザイナーが関わる案件も多くなり、プロダクトの機能開発だけでなく、各種資料やSNS、広告などクリエイティブ制作や、制作会社のディレクションなど多岐に渡っています。
さらに、デザインチームが関わるサービスはネットショップ作成サービス「BASE」と購入者向けショッピングサービス「Pay ID」の2つがあり、担当する組織やメンバーもわかれています。
今まではすべてVPoPとDesign Managerが一律のレビューフローを通してデザインをチェックしていましたが、意思決定のスピードを上げるために、それぞれの領域の適切な責任者を明確にし、案件や組織に合わせて最適なプロセスを作れるように責任範囲を分割しました。
デザインプロセスを整理してレビューを最適化
今回は分割した領域の中でもBASEプロダクトのデザインレビュープロセスの構築をするにあたり、どういう整理をしたのかについてまとめていきます。
まずはデザインの5段階モデルをウォーターフォール型に落とし込み、デザインのプロセスからレビューのタイミングを見直しました。(BASEの開発プロジェクトがすべてウォーターフォールなわけではありません。)
戦略〜構造段階をはやめに責任者と合意する
以前のレビュープロセスでは、リリースする前のデザインに対して責任者がサービスとして世に出していいかの判断をするために表層までデザインができたものをレビューしていました。しかし、プロジェクトによってはデザインを作り込んだ段階で根本的な要件やターゲットの指摘をすることになってしまい、デザインを大きく作り直すなどの手戻りが多くなってしまうことも時々発生していました。
手戻りが大きいことは時間的なロスを生むだけでなく、担当デザイナーやプロジェクトメンバーに対して大きな負担やストレスになることもあります。
これらを解消するためにも、プロダクトや組織の責任者と早い段階でプロジェクトやデザインのアプローチ方法について合意をする必要があります。
新しいレビュープロセスの「デザイン要件レビュー」では、戦略〜構造までの内容をプロダクトや組織の責任者とプロジェクトチームの間で合意することを目的として新しく定義しました。
図の中でデザイン要件レビューが骨格の真ん中に置かれているのは、戦略〜構造の内容をどうアウトプットするのかをお互いが目線を合わせて話し合いやすいように、骨格の一部であるワイヤーフレームを含めてレビューを行うのでこの位置としています。
余談:
レビューの整理をする上でどういう言葉を使えばメンバーと認識や期待が揃うだろうとずっと悩んでいて、その中でも「承認」という言葉がやっぱり今のチームに合わないなと感じていたんですが、最近「合意」というのがしっくりくるなと思いました。
マネージャーとプロジェクトチームがそれぞれ「合意」するために話し合いができる場として活用していきたいです。
骨格〜表層段階はメンバーがレビューを行う
今までプロダクションレビューを行っていた表層段階の最終的なデザインのレビューはメンバーに任せることにしました。
短期的にはマネージャーからサービス・ユーザー理解やデザインスキルとして任せることができるメンバーを数名指名し、「最終デザインチェック」を実施してもらっています。最終デザインチェックの実施方法はメンバーで検討し、最適な手段を模索してもらいました。
最終デザインチェックでは、サービス内で一貫性のあるUIになっているか、コンポーネントの使い方はあっているかなど、骨格〜表層段階のレビューを中心に見てもらいます。
もちろん最終デザインチェックの段階で要件に対して懸念があれば指摘をしてもらい、あまりに要件に対しての指摘が多い場合はデザイン要件レビューを実施しているマネージャー陣への指摘をしてもらい、手戻りが大きくならないように連携を行います。
逆にUIデザインの一貫性がなくなったり、コンポーネントの定義が曖昧になってきた場合には最終デザインチェックをしているメンバーへ指摘をし、改善策を検討・実施してもらうことで、組織全体のレビュープロセスの品質を改善していく予定です。
最終デザインチェックをお願いしているメンバーには、レビューを通してプロジェクトや機能を横断的に見る機会が増えることで、サービス全体の一貫性やユーザビリティを向上するためにはどうしたらいいかなどの視点を持ち、オーナーシップを持つことでさらにスキルを伸ばしていってもらうことを期待しています。
最終的なデザインの決定は担当デザイナー
プロジェクトのデザインの最終決定はそのPJを担当しているデザイナーです。これは今までと変わりません。プロジェクトのデザイナーが、マネージャーや他のデザイナーからの修正の指示にただ従って修正をするのではなく、プロジェクトのデザインに責任を持ち、自己決定感を持ってデザインできることは重要です。
相談会やレビューでもらったフィードバックを反映するかどうかの判断は、最終的にそのプロジェクトのことを一番に考えている担当デザイナーが行います。
とはいえ、デザイナーによってスキルの個人差もあれば、入社時期によるプロダクト理解や知見の量も違います。BASEのプロダクトだけを見てもページ数や機能数はとても多く、仕様や条件も複雑です。
それらを常に1人のデザイナーで判断していくのは難しいので、デザインの品質を担保する仕組みとして相談会やレビューを実施し、チームでデザインを行っています。
最終デザインチェックでフィードバックをしてくれるのは同じチームのメンバーです。上下関係はもちろんありません。
BASEでの知見が多く、より横断的な視野でデザインを見てくれるデザイナーがサポートをしてくれる仕組みです。
最終デザインチェックを担当するメンバーは、プロジェクトの担当デザイナーがフィードバックの重要度について正しく判断できるようなコミュニケーションを行うことも求められます。
より上流のUXデザインにオーナーシップを持つ
今回のプロダクションレビューのプロセスを整理していく中で、UIデザイン / UXデザインの分野を見える化し、デザイナーがオーナーシップを持つ領域を整理しました。
今まではPM企画段階で要件までがすでに検討されており、構造段階でアサインされたデザイナーがあまりUXデザインの領域にオーナーシップを持って取り組みにくいプロジェクトもありました。体験設計において戦略〜要件段階も非常に重要です。
プロセスを可視化し、オーナーシップを持つべき領域を明確に定義したことで、PMチームとのコミュニケーションが今まで以上にしやすくなりました。(あくまでオーナーシップの目安として定義したものなので戦略段階にデザイナーが全く関わらないというものではありません。)
最後に
デザインレビュープロセスは不定期的に見直しを行っています。今回のアップデートが全てではありません。BASEではアジャイル開発を取り入れるプロジェクトもあり、まだまだデザインのプロセスも最適化が必要です。
デザイン組織としてデザイナーがより専門性を高めて活躍することができ、サービスのデザイン品質を高めていく仕組みとしてアップデートをし続けていきます。
最後に、BASEでは一緒に働くデザイナーを募集しているので、ご興味持っていただける方がいましたらよろしくお願いします。