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【はたらき方ライブラリーvol.1前編】安心安全な暮らしと地域での役割

子どもを育てながら、地域で自分らしい仕事をつくる。そんなはたらき方をしているゲストをお招きして、今の活動の始まりから現在抱えている葛藤までをお伺いした新企画「はたらき方ライブラリー」。初回を3月8日(金)に開催しました。

ゲストは、多文化交流クラブDANRO主宰の西田真美さんと、英語を通じた親子交流の場「べニーズイングリッシュクラブ」主宰の橋本奈央子さん。お二人とも主に町田市内で活動をされています。

開催場所は玉川学園駅近くのカフェ「Space Lana~みんなのおうち~」。30代~60代まで幅広い世代の方、5人が参加してくださいました。


孤独になりがちな外国籍のお母さん

さて、改めてゲストをご紹介します。1人目の西田真美さんは、多文化交流クラブDANROを主宰。国籍関係なく互いに助け合えるコミュニティづくりをしています。

最近はここ町田でも、バングラデシュや中国など、外国籍の方の転入が増えているそう。しかし家族で来日しても、父親は仕事に出かけ、子どもは学校に行き、母親だけが家に取り残されてしまうケースが多いのだとか。言葉もわからず、知り合いのいない土地で生きる難しさは想像にかたくありません。

そんなお母さんたちの助けになればと、DANROではやさしい日本語でのおしゃべりを楽しむ「日本語くらぶ」や、日本や世界の季節の行事を楽しむ「親子くらぶ」を開催。進級・進学シーズンには、入園・入学の準備や手続きについて、一緒に書類を読んだり、暮らしや子育ての身近な困りごとを一緒に考えてくれる存在です。

イベントでは、真美さんの活動の原点についてお伺いしました。

多文化交流クラブDANROを主宰する西田真美さん。イヤリングはアフリカの素材を使ったもの。

折り鶴から始まった地域との繋がり

真美さんの活動の原点になったのは、真美さん自身が3年間、NYで子育てを経験したこと。そのときの暮らしは、夫は会社、息子たちは保育園や小学校へ出かけ、平日日中は真美さん1人が家にいるというもの。まさに今DANROに来ている外国籍のお母さんたちと同じ状況だったのです。

近所に日本人コミュニティがあれば、生活に困ることはないでしょう。英語をほとんど話さずに、生活することもできる。だけど、それが安心安全な暮らしかと言えば、どうでしょうか。家族で、あるいは一人で、スーパーや公園や図書館など地域の施設を利用するとき、そこを自分の居場所だと感じられるでしょうか。

「地域との繋がりがほしい。自分にできることは何か。」と考えた真美さん。一人で折り紙で鶴を折ってしおりを作り、図書館に「置いてほしい」と持ち込みました。ところが、「ただ置いてもらえたらよかった」はずが、図書館のスタッフの提案で、折り紙のワークショップを開くことに。

老人ホームでの折り紙ワークショップの様子

それをきっかけに、老人ホームや学校、幼稚園など様々な場所で折り紙ワークショップを開催。最初は1人で折り鶴を折っていたのに、いつの間にか一緒に参加する日本人の輪も大きくなっていきました。

このNYでの経験が原点となり、帰国後、様々なご縁が繋がってDANROを立ち上げることになったそうです。

最後は街のイベントでお神輿を紹介。

役割をもつ大切さ

真美さんがアメリカでの経験を通じて感じたのは、役割をもつ大切さ。DANROが「外国籍の方の支援」ではなく、「多文化交流」を掲げているのはそこに理由があります。

「外国籍のお母さんたちをただ助けられるだけの存在にしない」というのは、真美さんがもっとも大切にしていることです。だから、その国ごとの季節行事を伝え合ったりすることで、外国籍のお母さんたちの出番をつくっているのですね。

最近取り組んでいるマルシェへの出店もその一つ。昨年12月に開催された町田市市民協働フェスティバル「まちカフェ!」では、お母さんたちお手製のアフリカ布を使った雑貨やチャイを売るお店を出しました。

アフリカにあるレソト王国の布を使った小物。レソト王国は四方を南アフリカに囲まれた国。国土全土が山脈の中にあり、最も低い場所でも約1400mの場所にある。

はたらくことと稼ぐこと

自国の文化を紹介することが自分自身の力になることも、真美さん自身が経験してきたこと。これまではマルシェへの出店もそれほど積極的に行ってきたわけではなく、知人から声が掛かって、ということがほとんどでした。

でも、お母さんたちが作品づくりや販売を楽しんでいる様子を見て、「手作り品の販売を外国籍のお母さんたちの仕事にできるのではないか?」という思いも湧いてきました。

それに真美さん自身の心境の変化も。「DANROの活動は自分にとってなくてはならないもの。だけど、働いて稼ぐこともやった方がいいのだろうか?」。末っ子が小学校に入り、誰に言われたわけではないけれど、そんな思いも出てきたと言います。

「稼ぎ」と「やりたいこと」、そして「母」であること。自分が心地よく感じられるはたらき方、暮らし方を最近特に考えるようになったそうです。

DANROの活動が始まってからもうすぐ5年。DANROの活動も、真美さん自身のはたらき方も、変化のタイミングなのかもしれません。

さて、続く後編では、もう一人のゲスト、親子のふれあい英語教室「べニーズイングリッシュクラブ」主宰の橋本奈央子さんのお話についてレポートします。

後編はこちらからどうぞ。


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