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モネ=「寒色」?実は「暖色」も美しいんです

《 ゆるっと知る絵画 》
芸大生の筆者が、実際に観て感動した絵画をセレクト。
作品の魅力をゆるっと知ってもらえる情報をお届けします。

ゆるっと知る絵画 vol.1: クロード・モネ《国会議事堂、バラ色のシンフォニー》



クロード•モネ=寒色?

この名前を聞いてイメージされるのは、青や緑などの寒色ではないでしょうか。

《睡蓮》は言わずもがな、《印象・日の出》、《散歩、日傘をさす女》など、モネの作品には、透明感あふれるブルー•グリーン系の色合いが多く見られます。

しかし!実は「暖色」が印象的な作品も多く残されています。
その中でも今回は、《国会議事堂、バラ色のシンフォニー》について、ゆるっとお話していきます。


美しきローズの世界 《国会議事堂、バラ色のシンフォニー》


夕暮れ時のロンドン国会議事堂と、テムズ川を描いたこの作品。

ピンクや赤紫、くすんだオレンジの色合いが溶け合い、バラ色の霧となって画面を包み込みます。
建物も川面も淡くぼかされ、実体があるのかどうかすら曖昧。
それなのに、鳥の羽音と鐘の音が微かに聞こえてくるように錯覚するほど、不思議なリアリティがあります。

行ったことがないのに「知っている」感覚。
しっとりと心が落ち着くような懐かしい情景が広がります。

生涯の多くをフランスで過ごしたモネですが、ロンドンへは複数回滞在し、似たテーマの作品を複数残しました。彼がロンドンに魅せられていたことがよく分かります。

《睡蓮》で感じる清々しさとは違った、暖かいローズカラーの世界がとても美しい作品です。

「印象派」の画家、モネ。

モネは「印象派」の代表的な画家です。
それまで主にアトリエの中で描かれていた「絵画っぽいリアル」に異を唱え、屋外に飛び出し、見えたまま、そして感じたままの色•光の表現を重視しました(注)。

モネの作品を観ていると、世界はいろいろな色で溢れていることに気付きます。
海は青ではないし、葉も緑でなければ、夕焼けもオレンジではありません。

私たちが「見ているふり」をしている日常を、その卓越した観察眼で鮮やかに描き直しているのです。


大阪中之島美術館で展示中!

普段は箱根•ポーラ美術館に所蔵されている《国会議事堂、バラ色のシンフォニー》ですが、現在は大阪中之島美術館で開催中の 「モネ 連作の情景」に展示されています。

会期は5月6日まで!まだ間に合います。
モネの眼を借りて、バラ色に包まれてみませんか?


注 
美術検定実行委員会編 『改訂版 西洋・日本美術史の基本』、株式会社美術出版社、2014年。


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