BrainDead ブレイン・デッド
BrainDead(アメリカ/2016~)
政治をからめた軽いブラックコメディ、と聞いて何となくシェトランドとブルー・アイズの後から観よう、と後回しにしていた作品。
けれども、軽いコメディにしては、ずいぶん力の入った制作メンバー(リドリー・スコットまで!)であることにふと気づき、なおかつ、マイケル・ムーアまで参加、と聞いてただならぬ気配を感じ、高まる期待感とともに視聴したところ、これが、完全に予想のナナメ上を行っていました。
コメディとして面白い、というよりも、コメディを隠れ蓑に、様々な企みが編み込まれ、なおかつその隠された部分こそが、本当に伝えたいことなのだという雰囲気が、面白かったのです。
こういうドラマの使い方もあるのだなぁ、と素朴に感心しながら視聴しました。
コメディ部分は本当に軽いです。
このコメディ部分で、政治や世界情勢、時事ネタに全く興味の無い、ソープオペラや軽いお笑い系ドラマを求める層をからめとり、実はまったく別のものを見せよう、と狙って作られた感じがざくざく刺さります。
いえ、そこまでの意図はもしかすると無かったかもしれません。
当時、物議を醸した大統領選挙や、きなくさい市民団体、トランプ陣営の言動、そしてメディアの姿勢を風刺しただけなのかもしれません。
けれども、世界を席巻したコロナ禍やミャンマー動乱、ウクライナ侵攻を目の当たりにした2022年の今、このドラマを観ると、どうしても「制作者の隠された意図」を感じ取ってしまいます。
その不穏な空気が、このドラマを印象深いものにしています。
テレビチャンネルを変えると先程の番組とは真逆の話を流している。
自分の意志で行動しているつもりが、本当は別のものに意志や判断を侵略されているのではないか。
人間にとって、誰のメリットにもならない法案や戦争がなぜ、肯定されていくのか。
公共放送が堂々とプロパガンダを流している。
立ち位置、国籍によって、世界が反転する、奇妙な状況。
などなど。
ドラマでは、この原因を「バグ」と設定していますが、制作メンバーがこの「バグ」にどんな意味をこめたのだろう、と考えると、とても、とても興味深いです。
放送当時はあまり話題にならなかったようですが、「今」、視聴すると、非常に印象的な、とても不思議な仕上がりのドラマです。
少数民族のメロディに、座り込み議員達の歌声が重なる場面には、心ゆさぶるものがありました。
罪悪感、すなわち、「良心」がバグを追い払う場面に、制作側のメッセージを感じました。
番組冒頭と、最終回のシメを担った彼の歌声、お気に入りです。
このドラマで彼を知りました。
ドラマや映画にはこうした楽しい発見があるから、やめられませんね😊
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