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ブルー・アイズ 国家陰謀とテロ事件

Blå ögon/Blue Eyes(スウェーデン/2014)
監督 Henrik Georgsson

"多くのスウェーデン人は自国で安心してくつろげない"

あの議員がモデルでは、あの事案がベースになっているのでは、とスウェーデンで大変な物議を醸したドラマ。

産業省補佐官が忽然と姿を消し、けれどその事実は隠蔽されたまま、エリンは後任に推薦される。果たしてあの夜、何が起こったのか――。

またしても邦題で損をしてしまった作品。
確かに同時多発テロやテロリストの描写はあるものの、ドラマの軸は陰謀とテロというより、政策の裏にある人間模様、それに左右され脅かされていく市民の生活、という実に骨太のドラマ。

仲の良かった姉弟が世の中の流れに翻弄され、どんどん闇に落ちていく様子がつぶさに描かれる。

ゆりかごから墓場まで、という理想郷はもはや消え去った。
敵も味方も流動し、ただ混沌があるばかり。
国が傾けば人種差別、貧しさ、犯罪が加速していく。
それはまるで舵を失って遭難しかけている船――。

テロの蔓延を望み、破壊を終わらせないためにあえて逮捕されるグスタフ、高みから見下ろすよりも、汚濁にまみれた内部に身を置き、何かを正せる機会を待ち、理想を捨てない、というエリンが対象的に描かれる後半は見事。

不遇な日々に耐えながら、献身的に子供たちの面倒をみるシモン、切ないくらいに良い子。😭
シモンの未来に幸あれ――。

古い作品なのに現在見ても新鮮!!
「まさかの時代」に見ておきたい一本。

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