ペットが与えてくれるもの
これまでの人生で「ペットを飼う」という選択肢がなかった我が家に、猫という存在がやってきたのは、約2年前。
子育てだけで精一杯、これ以上何かの世話をするなんて……と思っていた私たち家族の元に、ご縁があってやってきてくれた猫たちについて、ご紹介したい。
よし、猫を飼おう
家族の中で、猫が飼ってみようか……という話が出たのは、今の家に引っ越してきてからのこと。
子ども達が転校して感じたことは、動物がおうちにいる家が多いという衝撃の事実だった。
引っ越し前の地域は、かなり人口密度が高く、中心地として発展した地域だったため、ほとんどのおうちがマンション暮らしをしており、ペットを飼うにはハードルの高い環境だった。
しかし、現在住んでいる地域は一山越えた上の方にあり、標高は400m。
2階建ての住宅しか建築できない地域に住んでおり、どこのおうちもこれまでには見たことがないくらい大きなおうちばかりが建っている。
……残念ながら、そんな中に我が家はこじんまりとしたサイズで建っているが、従前の住環境から比べれば随分大きい住まいを構えさせてもらっている。
さて、そんな環境なので、大多数の家庭で犬や猫のほか、うさぎやハムスターなどが名を連ねている状況で、少なくとも水槽はあるのではといったライフスタイルのご家庭が多い。
遊ぶ場所は公園……という選択肢がないわけでもないが、ほとんどがどこかのおうちにお邪魔して遊ぶことが多い。
例に漏れず、我が子達も同じようにおうちで遊ぶか、庭で集まるといった遊び方が主流になっており、あちこちにお邪魔させてもらう機会も以前より多い。
特に冬は家遊び1択しかなく、雪が積もることもある寒い地域なので外遊びを選べる日も少ない。
そして、どうやらこの地域では「ペット」が多いらしいと気がついたときには、正直驚いた。
生まれてこの方、どちらかと言えば繁華街の方が近い距離感で暮らしていた私にとって、どの家にもペットがいるというのは大変驚きなことだったのだ。
当然、友達の情報を早々に入手してきた子ども達は、ペットの存在に興味津々。
○○ちゃんのうちには猫がいるんだよ。
▲▲さんのおうちには大きな犬がいるんだよ。
なるほど。ペット中心の情報をどうもありがとう。
そう言いたくなるほど、ペット情報を掴んできてくれた。
じわじわと高まる「いいな、動物可愛いな」のオーラは日増しに強くなり、引っ越して3か月目には「うちでも飼いたい」コールが始まった。
自分たちが成長したことも相まって、これはいよいよ逃げられないか……と感じたときに、2つ条件を出した。
1つは、保護猫であること。
もう1つは、テストで100点を取ること。
保護猫であることは、私の希望だった。
まず、犬の散歩は高度過ぎると感じ、どちらかと言えば猫派だったこともあり、猫にしてほしかった。
加えて、自閉症の子に猫が良いと読んだことがあり、できれば猫を選びたかった背景もある。
また、飼うことになるのであれば、血統などに拘りがあるわけでもなく、単純に殺処分される猫を1匹でも減らしたくて保護猫が良いと考えていた。
テストの方は、単純に夫からの課題。
自分の欲しいもののために頑張るということを経験して欲しい、といって娘2人に課題を出した。
お陰で、100点を取りたいがためにテストが待ち遠しくなり、早くテストをやりたいとそのころ毎日騒いでいた(笑)
なんて単純な、と笑ったことは内緒である。
さて、そんな挑戦を続けた3か月後。
長女も次女も、無事に100点をgetして帰宅した。
満面の笑みで、誇らしそうな顔をして帰ってきた顔を見て、なかなか良い課題だったのかなと思ったものである。
そんなこんなの道のりを経て、我が家に1匹目の黒猫がやってきた。
2匹目……まで飼うことになろうとは
我が家の黒猫はこちら👇
海外では不吉と言われたり、SNSで映えないという理由で飼育放棄をされることがあると聞き、とてもショックを受けた。
しかし、我が家ではいまも変わらずアイドル顔のにゃんこである。
この1匹目が来てから、子ども達が猫目線でいろいろと考えるようになった。
猫の本を読み、猫の生態を調べるようになった。
好きな食べ物や、毒になるもの、嫌いなことなど情報は多岐にわたる。
けれど、自分たちが望んだという気持ちも大きいのか、自分から学びの姿勢を持つようになったことは良いことだなと今も感じている。
そして、ペットを飼っているおうちのあるあるだと思うが、我が家も例に漏れず「黒猫グッズ」が浸透し始めた。
箸置きに始まり、シールなどの小物類、はたまた子どもの図工作品はほとんどが猫である。
猫様、様々だ。
体調不良が分かれば同じように心配し、他者を見守るという感覚が少しずつ備わった様に感じる。
これもまた子どもの成長の1つになり良かった思っている。
さてさてそんな中。
1匹目が1歳を過ぎ、落ち着いてきたとはっきり感じてきた頃、2匹目を飼うのなら今ではないかと家族会議になった。
多頭飼いをする場合、猫どうしの相性が重要になり、子猫ではなくなった猫との相性を考えると、早めに同年齢に近い猫を飼ってあげた方がいいのでは? と考えたのだ。
というのも、やはり1匹だと「猫らしい動き」が出ないような気がしていて、犬と違って自宅内だけで生活する猫は、出会いがそもそもないのでは? と気になってしまった。
気になりだした止まらず家族に提案してみると、なるほどとの反応。
1匹のみならず、2匹目なんて大丈夫だろうか……などと不安もあったが、まぁいけるだろうと思い直し、早々にまた保護施設へ足を運んでみた。
腹が決まれば話は早く、1匹目が来てから約1年後に2匹目がやってきた。
キジ白猫である。
とても人なつこく、顔中をベロベロとなめ回す。
猫じゃなくて、犬だったのかと勘ぐってしまうくらいの人なつこさに当初は驚いた。
誰かが帰宅すると嬉しくてジャンプして飛びつく有様。
帰宅する子ども達が思わず笑顔になる。
1匹目とは違うかわいらしさに魅了され、お試し飼育もあっさり5日で終わって引き取らせていただいた。
こうして今、我が家には2匹の猫がいる。
猫のいる暮らし
正直なところ、私は今もなお猫より人間が優先である。
冷たい言い方に聞こえるかもしれないが、子どもより猫を優先することはまずない。
猫の餌よりも、人のご飯を用意する方が私にとっては優先事項だ。
が、別に猫を蔑ろにしているわけではなく、誰もいない時間は猫を優先することもある。
そのくらいの距離感ではあるが、やはり長い時間を共にしているせいか、とても私に懐いてくれている。
ストーカーと化した2匹目は、最初の頃、誰彼なく振りまいていた愛想は捨てたらしく、今は家族以外の人間の気配を察知すると怯えきって人目につかないように隠れてしまう。
しかし、家族には甘えているところがあり、呼ぶとにゃあんと返事して歩く度に着いてくるのである。
本当に面白くて、可愛い。
そして何より感謝していることは、在宅仕事を選んだ私の生活がひとりきりではなくなったことにある。
別に寂しがりなわけでもないし、ひとりきりが苦手ではない。
ただ、いつも近くに生き物の存在があるというだけで随分と支えられていると感じる。
ふとした瞬間目があったり。
何気なく目をやったときに、丸くなって寝ている姿が目に入るとほっこりとする。
これが愛玩動物の癒やしか……と納得するしかない。
別にペットがいなくても過ごしてきたし、きっといなくても生活はできるのだろう。
でも、ひとりきりではないと感じさせる安心感が、この小さな身体からあふれ出ている。
平和そうに寝る姿を何度も見ることができるお陰で、今日も平和だな、幸せだなと感じさせてくれる。
これがきっとペットの一番の効果だと思う。
餌を用意し、トイレ掃除をし、水を替え、遊んでやり、何くれと当然手がかかる。
それでもやはり人がペットを所望したいと思う心は、この多幸感を味わわせてくれるからに違いない。
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