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【掌編】アニのパンツはいいパンツ

 私は海外旅行が趣味だ。実家で暮らしてコツコツ節約しながら一生懸命OLやって、年に数回のお楽しみ。

 今度行くイタリア旅行の準備をしていると、同じく実家で生活する兄が私の部屋を訪ねてきた。

「イタリアだったらさあ、なんかカッコいいジャケットとかパンツ買ってきてよ」

 仕事もせずに毎日ゴロゴロと家で過ごしてるくせに、このバカ兄は……と思いつつも私は、「いいよ。じゃあさ、お兄ちゃんに似合う凄いカッコいいの買ってくるから、私にちゃんと感謝の気持ちを伝えると共にお母さんとお父さんの前でそれ着て見せてね」

「ああ、お前趣味良いからな」

 このバカ兄、最近ではお土産の要求がエスカレートしていき、私への感謝の気持ちも薄れている。

 旅行から帰って来た私は、両親と兄にお土産を渡した。「お兄ちゃんにお似合いのパンツ」とか言って渡したのは、フェミニンでとっても可愛い白のショーツだ。あとで私が履くんだ。バカ兄はキンダーのチョコでもかじりながら悔しがればいい。

 私は居間で両親にお土産話を聞かせながら、2階の部屋からバカ兄がどんな顔をして戻ってくるのかを待った。

 階段を駆け降りる音がする。

 リビングの扉が勢い良く開いた。

「ありがフォー!!」

 私が買ってきたショーツを頭から被り、パンツ一丁で両腕を頭の後ろに回し、腰をクイッと横にスライドさせてビシッと立っている兄。

 バカ兄は変態兄へとトランスフォー!!ムしてしまった……。

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