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いやしのげつようび

月曜日は、大好きな子どもたちに会える日。
小児科クリニックのバイトの日。

子どもの未来に関わることに貢献したい夢があるわたしは、小児科クリニックで勤務することが以前からの希望だった。

念願叶って、自宅から2駅先の小児科に月曜日だけ勤務している。

わたしが小児科クリニックで働くうえで特に大切だと感じている仕事は、定期ワクチン接種の仕事だ。

ワクチン接種って、小児科では毎日のように当たり前にある業務のひとつで、ルーチンワークになってしまいがちだけど、実はその意義はとても大きい。

ワクチンを公費として国が負担するには大きな意味がある。

ワクチンを打っていれば、死に至る可能性のある病も重症化、または発症しない。
死に値する可能性のある病がほぼ無効化する。
これは、ものすごいこと。

健康であれば自立して歩く力になる。健康であればどんな困難も立ち向かっていける。健康であれば夢を成すことの力になる。

子どもたちがんばれ!

しかし、注射はほとんどの場合、子どもも大人も嫌だし、やりたくない。だから注射とわかるとわんわん泣く。たまには強い子もいてけろっとしてる子もいるけど。ほんとにそんな子はまれだ。

だから、診察室では、看護師はいかに注射を安全に打てるかを第一に考える。

嫌だから逃げる暴れる。手を引っ込める。かわいそうだからと抑える手を緩めたら、放り出された子どもの手が思わぬ場所にあたって注射部位の他の場所にささる危険だってある。

そのあたり場所が悪かったらと考えたらゾッとする。

だから診察室では、どんなに泣かれようが、子どもの身体をしっかりホールドして、先生が打つ注射がきちんと注射部位にささるように介助する。

もちろん保護者さんにも手伝ってもらう。しっかり抱きしめてもらい、わたしは肩と肘をしっかりホールドする。

短時間で安全にきちんと終わらせる。これがプロの仕事だ。

そして子どもたちはワクチンを順当に接種していくことでこの星で暮らす強い身体を手に入れる。


わたしがこうして小児科に来て、子どもの看護に当たるようになって感慨を覚えることがある。

自分がこうしておばさんになるまで、健康に成長させてもらうまで、記憶のない頃から、さまざまな人たちの手によって守られてきたんだろうな、ということ。

子どもを産んで育ててみて、親のありがたみを知り、子ども支援センターに行き、地域の子育て支援のありがたみを知り、保育園に預け、保育士さんの偉大さを知り、小児科で働いて社会が子どもを守っていることを知った。もっともっと知りたい。子どもを取り巻いている社会について。子どもを取り巻く社会問題について。

でも、子どもの未来を助けることは、わたしの存在意義にも繋がっているから、たいそうなことではない。わたしのためでもある。


そんな秘めた気持ちを隠しながら、月曜日は小児科で働く。赤ちゃんに癒され、わが子と同じくらいの子がわが子と同じような口ぶりで話すのにほっこりしながら。

癒しの月曜日、最高。
たくさん勉強して、頼れる小児科看護師になって、癒してもらった分のお返しするからね。




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