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いっちょまえに 笑

リビングのとなりに、ふすまでしきられた続き部屋、その扉をコンコンとたたいてから開けた。

娘がなぜか目をつむって静止している。

わたしは思わず笑ってしまう。

寝たふり?消えたふり? 
それで済むか? 

でも、6歳の、ひとりにしといてくれ、いまこれに夢中なんじゃ、ほっといてくれ感がまんさいの娘に笑ってしまったから、わたしの負けと扉をそのまま閉めた。

6畳ほどの部屋の中央に置かれた木製の夫が作った四角いちゃぶ台の前に座って、そうやって母からの接触を、とっさに拒否った娘。

あー、育ってんなー。こういう時に感じる。

娘が今テレビを見ていて、母の気配に、寝たふり、という芸当をかましていた部屋は、とくに娘の部屋というわけではなかったが、娘が小さな頃から、プレイルーム的扱いにしていたし、娘のほとんどのおもちゃなどがここにあったから、娘はこの部屋が好きで、うちのなかではほぼ、ここにいる。

リビングの隣だし、親も目が届くので、この場所が娘の居場所に自然となった。

お風呂に入るときはすっぱだかになって
一緒に入るのに、服を脱がしてほしいとあまえるくせに、パンツを脱がせる時は下の方は見ないでとか言う。そのあとさ恥もなく裸で走りまわるくせに。

そういう、大人のかけらと子どものままみたいなアンバランスな感じがちょこちょこ見えてきて、ただただ、いつも、いっちょ前になったな、と笑うだけ。

明日はどんないっちょ前で笑わせてくれるやら。


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