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海外で投票しよう!在外選挙権

海外に長期滞在するとき、選挙があったらどうしますか?「日本にいないから投票できない」「一時帰国しなきゃ」…実は、海外から投票できる制度、「在外選挙権」なるものがあります。在外選挙権を使って2度投票したことがある私が、体験したことをまとめました。

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在外選挙権とは?

「在外選挙権」は、海外から日本の選挙に投票できる制度です。モンゴルとインドネシアで在外選挙権を得て、モンゴルと日本で実際に選挙をした経験を書いてみたいと思います。

正式な名称や内容は総務省のサイトをご覧ください。あくまで体験談なので色々な名称が間違っているかもしれません。


誰が取れる?

在外選挙権は、海外に住所を移した人に権利があります。海外に住所を移すとは、住民票を抜くということ。役所に行って、「これから海外に住むんですけど…」というと、転出届の転出先に行き先国を書いて提出することになります。(モンゴル、とか、インドネシア、とか国名でOK。現地の住所はいりません)この手続きを踏むと、住民基本台帳から名前がなくなり、住民税や国民健康保険料も払う必要がなくなります(もちろん健康保険も使えなくなる)。在外届(海外に長期滞在しているという届け出。各地域の大使館や総領事館に提出する)を出せば在外選挙権があると思う人もいるようですが、投票所入場券(選挙に行くときに持っていく紙)は住民票がある地域に行うことになるので、住民票があるとその住所に券が行ってしまうんですね。うーん、ややこしい。

頻繁に日本に帰国する予定がある人は転出届を出さなかったり、日本に住民票があっても在外届を出しても問題ないなど、なかなか複雑ではあるようなのですが…

以前は在外公館(いわゆる現地の日本大使館など)に申し出て、そこから申請してもらい…とすごく手間がかかったのですが、2020年にインドネシアに転出した時は、自分が居住していた市町村役場で手続きができるようになっていました!感動!住民票を抜いた後、選挙管理委員会に行って書類を書きます。申請に従って、選挙管理委員会の会議にかけられ、海外に居住していることがわかったら(在外届の確認等)、在外選挙人証が発行されて在外公館に送られて受け取る仕組みです。選挙管理委員会の会議の時期(私のところでは月に1回開催のようでした)にもよるようですが、現物を日本から送るので、大体、2〜3ヶ月はかかります。

いつ・どこに投票できるの?

在外選挙権で投票できるのは、「国政選挙」だけです。衆議院と参議院ですね。都道府県知事選挙や市町村議員選挙はダメなんですね〜。衆議院と参議院って数年に一回ですが、たまに解散したりするので(私は参議院の時期は日本に一時帰国していることが多かったのですが、たまたま安倍さんが衆議院を解散してくれたので、在外投票ができました。解散の意義はともかくとして…)。こういう場合、解散のニュースが流れてから申請しても間に合わない可能性が高いので、取っておいて良かったと思いました。

投票できる選挙区は、自分が転出前に住民票があった選挙区です。例えば、東京都新宿区に住んでいて、そこから海外に転出した場合、新宿区の選挙管理事務所が管轄となり、投票はそこに加算されます。

海外で投票してみた!

海外で投票する場合、在外選挙人証と身分証明書を持って、所定の期間に選挙会場にGO!!と言いたいところですが、所定の期間は日本国内の期日前投票とは異なったりするので、確認が必要です。多分領事メールとかでも流れてくると思いますが、大使館等に電話して直接確認するのがベターだと思います。持ち物の確認もしておくといいですね。

大使館などに行くことができない場合(遠すぎるなど)、郵送でも可能な場合があるそうですが、郵便事情などもあり、世界中どこでも、とはいかないかもしれません。

私がモンゴルで投票した時の話をします。私は大使館から徒歩圏内に住んでいたので、トコトコ歩いて行きました。大使館入り口のセキュリティに投票に来た旨を伝えると、IDチェックをして中に通してくれます。応接室が選挙会場になっていて、ちゃんと担当者と見届け人(?)がいます。基本的にいつ行ってもいいので、くるかどうかもわからない人を待つのって大変なお仕事…

日本と同じ記入台と投票用紙、そして投票箱…懐かしい!しかし、記入台には「出馬した人の名前」が貼ってないんですね…そう。全国の人が投票にくるので、貼れないんです。その代わり、名簿の一覧があり、貸してもらって見ることができます。ただし、会場に私しかいないと結構気まずいです。そしてその可能性が高い…ので、自分の選挙区の投票する人(政党だけじゃなくて名前も)を調べておく必要があります。日本にいれば、選挙カーが来たり新聞や広告などで候補者や政党の政策に触れる機会もありますが、海外だとなかなかそうはいきません。支持政党が明確にない人は、調べていきましょう。あれ、焦るよ…

一時帰国中に選挙になったら?

一時帰国中、住民票がない場合でも国政選挙に投票できます。在外選挙人証を持っていけばOKです。念の為パスポートも。選挙当日に投票所に行ってもいいのですが、私は不安だったので期日前投票で役所に設置された投票所に行きました(前住んでいたところに戻ったので、自分の選挙区)。多分、在外選挙権自体そんなに出していない役所だと思ったので、あまり慣れていないはず、役所なら担当者も多いし安心だろうと。しかし、その不安は的中しました。

在外選挙人証を見せると、これは大変!とばかりに5人ぐらい出てきてマニュアルを確認し、

「じゃ、この紙に書いてください」(投票用紙を渡される)

「あ、まだ投票しないでください!」(投票箱の目の前でフリーズする私)

「大丈夫ですね。じゃ、入れてください」

と、職員さんが大騒ぎ。周りも「なにあの人?」って感じでした。そうですよね。選挙当日じゃなくてよかった…もちろん、選挙当日に投票所に行っても全く問題ないんですが、きっと当日は対応できる係員さんも少なそうだし、他にも色々なことが起きる(かもしれない)投票所だから、役所に行った方がいいと(個人的には)思った次第です。

取るメリットは?

在外選挙権を取るかどうかは、本当に人によって違うと思いますが、私の考えではとっておいて損はないと思います。海外に行くと、日本と状況が変わって世界の見方が変わり、日本の政治に興味を持つかもしれません。投票したいと思っても、すぐには申請がおりません。国によっては、海外に住んでいる国民に投票権がないということもあるようです。日本は海外に住んでいても投票できる制度があるので、とりあえずとっておく分には損はないのかなと思います。その権利を使うかどうかは、日本にいる時と変わりません。

また、滅多に入れない大使館などに入ることができるのも貴重な体験です。国によって異なりますが、大使館の方と接点ができるのも、もしかしたら後々役にたつかもしれません。私はモンゴルで在外選挙権を申請した時、選挙人証を大使館まで取りに行き、応接室で対応してもらいました。その時に最近の安全情報や気になっていることを聞いたりなどもできると思います(確か世間話はしました)。有事の時にも会ったことがある人がいれば安心できるかもしれません。(ちなみにインドネシアは郵送で送られてきたので大使館に入れなくて残念でした。)

私は、海外で投票する貴重な体験ができたという点だけでも、とってよかったです。人と違う経験バンザイなので。できれば、あの見届け人やりたいなぁ…(謝礼が出るんですよね、あれ。1日来ない人を待つのも面白い経験になりそう)

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