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足を、踏み入れました

夜、お風呂に入るときに、着ていたものを洗濯機に放り込む。お風呂あがりにからだを拭いたタオルと足拭きマットを入れたら、洗濯乾燥のスイッチオン。朝起きるときには、ジャブジャブきれいになってホカホカに乾いた洗濯物たちがドラムの中で待ってくれています。持ち手が片一方ちぎれるほど毎日フル稼動のスタックストーのバケツに取り出したら、リビングに運んで、今日着るものたちを床暖房の上へポイポイっと。朝ごはんを終えて着がえる頃でも、冷めてな〜い。身につけるものがひんやりしてないって、それだけでちょっと幸せを感じます。

たたむ手間を極力惜しむ、ずぼらな我が家の洗濯事情。毎日保育園へ持って行って持って帰ってくるひよこの体操服(ジャージ上下)も、この冬も1セットで乗り切りました。ひよこの身長が伸びたからか、週5で乾燥機でぐるんぐるんして縮んだのか、パッツパツなんですけど。この秋には買い替えなくては。年長組の秋に買い替えるの、惜しいけど、しょうがない。

でも、縮んだは縮んだかもしれないけど、保育園ジャージ、めっちゃ丈夫。ぜんぜん生地が傷みません。それに引き換え、口が伸びてずり落ちてくるわ、かかとや指に穴があくわで、わりとすぐにダメになるのが、わたしの靴下です。特定の2足くらいを毎日毎日繰り返し履くのがそもそもよくないのだろうけれど、安モノだからすぐに傷むのか、すぐ傷むから安モノしか買う気が起こらないのか。値段の張る靴下を日々乾燥機にかける勇気もなければ、別枠で洗濯する気力もなく。

靴下に心乱されながらの、冬終盤の2月末。さーて保育園に行きましょか、と靴下に足を入れて立ってみれば、やけに右足の親指の付け根あたりにフローリングを感じて。「マジか」と覗いてみたら、穴あく5秒前の、かろうじて網目を保っている状態。いや、保ててないし。体裁繕えてないし。このまま保育園で靴を脱いだら、百発百中で「あらあら、ひよこちゃんのおかーさん、靴下に穴あいてるわ」ってバレるし。ピュアなこどもたちが、100%親切心で「破けてんで!」って教えてくれちゃうし。無理むり、ぜったいムリ。

慌てて替えを探すも、こういうときに限ってちょうどいいのが見つからない。ジーンズだからハイソックスは履きにくいし、真冬にスニーカーソックスは足首冷えてお腹こわしそう。コートまで着終わっているひよこには「ちんたらさん、はよしてくーだーさーいー!」と、いつもの逆襲をされる。ひよこの学級委員口調を真似するわたしのモノマネ、一周まわってうまいやないか。くそぅ。

そのとき、目についたのが、乾燥機から出てきたてホヤホヤの、夫の靴下でした。鹿の子編みのグレーの、ユニクロの25〜27cm。わたしの足は24cm。ちょっと大きめだけど、今日いちにち拝借しちゃおうか。他人の靴下。これがもし、父親のだとしたら、弟のだとしたら、たぶん、履いちゃおうなんて発想にならなかったと思います。でも、夫だから。「あっ」と閃いた瞬間に、手に取って足を入れていました。

大学生の頃、女ともだちが、夏場に彼氏と部屋で過ごすときにショートパンツ代わりに彼氏のトランクスを履くというのを「わたしも」「わたしもー!」とキャッキャ言っていたのを、「ないわー」と尻目にかけていました。意気揚々と、他人のパンツを履くなんて。ないわー。当時、すでに現・夫と付き合っていたけれど、まったくぜんぜん1ミリも、その感性に共鳴できなかった。

十余年を経て、進化したのか、退化したのか。いずれにせよ、靴下の一線を越えたあのとき、感性のアラートはびくともせず。それほどに、夫との間柄が熟したということでしょうか。あるいは、わたしの頭がつまらなかっただけかもしれません。

足を踏み入れてから、はや3週間。ええ、ええ、日常的に履いております、夫の靴下。拝借、もとい、借りパク。ユ◯クロのメンズの靴下、オススメです。レディースのより、いいかも。さほどブカブカというわけでもなく(乾燥機かけすぎで縮んだ?)、ずりもせず、足裏が薄くもならず。分厚めの生地で、足首もあったかく。

心地よさに、今日も履いています。

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