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【選挙ウォッチャー】 大阪市議選2019・東成区レポート。

東成区をウォッチングしたのは、ただ1泊1400円の宿が鶴橋駅前にあったからなのですが、この東成区はあまりに僅差だったために、ちょっとした騒動に発展した選挙区であり、偶然にも選挙ボードを撮っていたのは、とてもラッキーでした。大阪市議選の東成区の定数は3で、ここに4人が立候補していたので、誰か1人が落選するという激戦でした。なんと、当落の差を決めたのはたったの4票。しかも、かねてから話題だった美人候補の海老沢由紀さんが立候補している場所であり、海老原由紀さんこそが騒動の当事者だったので、かなり面白いです。

川嶋 広稔  52 現 自民党
則清 ナヲミ 58 現 公明党
岡崎 太   51 現 大阪維新の会
海老沢 由紀 45 新 大阪維新の会

通常であれば、自民党1人、公明党1人、大阪維新の会1人、共産党1人みたいな感じで、この中で落ちるのは共産党みたいな「あるある」になるところだったのですが、大阪維新の会は自民党と公明党にケンカを売っていますので、ここに大阪維新の会が2人も擁立してきたのです。もし勢いに乗っている大阪維新の会の候補が2人とも勝つようなことになると、自民党か公明党のどちらかが落選する形になってしまうのです。大阪府議選では自民党の現職が大阪維新の会の新人を見事に下していたのですが、大阪市議選では大阪維新の会が旋風を巻き起こし、2人とも当選する快挙を成し遂げました。これにより、公明党の則清ナヲミさんが落選することになってしまったのですが、その差がたったの4票ということで、則清ナヲミさんは異議申し立てを行い、票の数え直しが行われることになったのです。その顛末がなかなか面白いことになっているので、ここにまとめておきたいと思います。


■ 川嶋広稔候補の主張

川嶋広稔さんは、パナソニックに就職後に、実家の印刷屋などを経て、現在まで大阪市議として3期を務めてきました。大阪市議団の副幹事長をしている人物で、大阪維新の会の政策にはかなり批判的です。「対立よりも対話や協調」だと主張していて、市民不在の敵を作る、密室・密約・党利党略の政治からは脱却しようと呼び掛けています。また、大阪都構想をやっている場合ではないと言い、それよりも南海トラフ地震に備えることが喫緊の課題であると言っています。また、「G20」「大阪万博」の成功に向けても仕事が山積しており、都市の強靱化、小中学校の体育館の空調設備の設置、地域防災計画の見直し、万博で市民負担を増やさない仕組み作りなども訴えています。さらに、リニア中央新幹線で東京と大阪がつながるのだから、リニア中央新幹線、北陸新幹線、なにわ筋線の早期実現と整備が必要だとしています。このあたりは大学や大学院で都市政策を専攻してきた経験が生かされていると言えるでしょうか。幼児教育の無償化、待機児童ゼロ、子ども医療費の助成拡大、病児・病後児保育の充実、給食無償化、女性や若者の就労支援、妊婦・出産支援の拡充、高齢者や障害者の施策充実、総合区の導入、パフォーマンス政策でガタガタになった教育・福祉・地域などの大阪の現場、行き過ぎた民間活用で危機管理対応ができていない「公共」の再構築が必要だと訴えています。どれもこれも、おっしゃる通りではあるのですが、大阪の自民党員の中でこのビジョンが共有されていないのではないでしょうか。自民党員がポンコツではなく、しっかりとこのビジョンを共有するようになると、大阪維新の会にここまで議席を持って行かれないだろうと思うのですが、いかがでしょうか。


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