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【選挙ウォッチャー】 大山崎町長選2022・分析レポート。

 10月11日告示、10月16日投票で、京都府の大山崎町長選が行われました。現職と元職による一騎打ちですが、この大山崎町長選は、全国的にも大変珍しく、共産党が単独で支持している町長が当選を果たし、2期目を目指しています。
 京都府は昔から共産党が強いエリアとして知られますが、それでも共産党の単独支持の候補が首長選を制することは、滅多にありません。例えば、先日の沖縄県知事選では共産党が推薦する玉城デニーさんが勝ちましたが、これは「オール沖縄」という形で、共産党以外にも立憲民主党や社民党、れいわ新選組などが共闘しています。しかし、この大山崎町長選は、共産党が推薦する候補が、自民・公明・立憲・国民の4党と西脇隆俊知事が推薦する候補に勝っています。これを聞いただけでも、なかなか面白いことになっていると言えるのではないでしょうか。

前川 光  62 現 共産支持
山本 圭一 45 元 自民・公明・立憲・国民推薦

 4年前の両者の差は、わずか137票。今年は、前川光町政の4年間の実績を、町民たちがどのように判断するのかが問われる選挙です。山本圭一さんも元職で町長としての経験がありますので、両方にやらせてみた結果、前川光町政の方が良いのか、それとも、山本圭一町政の方が良いのか。
 ガチで「実績」が問われる選挙となっていて、かなり地味なエリアの選挙なのに、その中身はかなり面白そうです。同時に大山崎町議選も行われますので、町議選の候補者との連携にも注目です。


■ 大山崎町で共産党が強い背景

昭和45年頃から団地ができ、人口が一気に増えて「町」になった

 大山崎町は、衆院選だと「京都3区」に位置するため、選出されているのは立憲民主党の代表となっている泉健太さんです。ここは、全国的にも珍しい「共産党が非常に強い地域」として知られていますが、どうして共産党が強くなったのかと言うと、昭和40年代に円明寺ヶ丘団地ができ、それまで3000人くらいだった人口が一気に1万人以上に増えて、この団地に住む人たちに共産党を支持する人が多かったからだと言われています。実際、この地域には共産党のポスターが多く貼られていたので、支持している人が多いことは確かだと思います。
 しかし、昭和40年代に働き盛りだった人たちも、今ではすっかり高齢になっているため、今となってはアチラの世界で新入りの仲本工事さんを出迎える側になっている方も少なくなく、それでも共産党が現在進行形で票を伸ばしているということは、新たに流入した若い世代も共産党を支持しているということになります。

宅地開発されている場所の手前をトラクターが走る(けっして合成写真ではない)

 大山崎町では宅地開発が進んでいます。
 その背景には、それまでここに畑を持っていた人たちが、高齢を理由に畑をやらなくなり、それが住宅地に転換されているからだといいますが、せっかく開発をされても買う人がいなければ意味がないので、物件が売れているのはどうしてなのかを紐解く必要があります。
 働く子育て世代が、どういう町に住みたいか。それは子育て環境が充実しているところに違いなく、これで成功しているのが明石市や流山市といった自治体になりますが、この大山崎町もあまり有名ではありませんが、似たようなことが起こっていると思います。それを選挙を通じて見て行きましょうというのが、今回のレポートです。ちなみに、町長選と町議選がありますので、ぜひ2つとも読んでみてください。

 実は今回、ひょんなことから大山崎町についてのツイートが鬼バズってしまったので、今日から初めて選挙レポートを読む人も多いと思います。なので、軽く自己紹介させてもらいます。
 僕は北は北海道、南は沖縄まで、全国のさまざまな選挙を現地で見て、どんな選挙だったのかをレポートする仕事をしています。支持政党はありません。モットーは「政党ではなく、人で選ぶべき」で、共産党だったら全員が良い人だとは思っていません。ポンコツもいます。サブカルの町で生まれて修羅の町で育ってしまったので、口が悪く、反社会的カルト集団とはゴリゴリに戦うタイプです。専門は「NHK党」を中心としたカルト政治団体の研究です。まだ売れていませんが、有名無名問わずたくさんの方にご贔屓いただいております。どうぞよろしくお願いします。


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