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【選挙ウォッチャー】 衆院補選2019・沖縄3区&大阪12区中間報告レポート。

4月7日に統一地方選の前半が終わったばかりなのですが、さっそく4月9日から沖縄3区と大阪12区で衆議院議員の補欠選挙が行われています。どちらも安倍政権と真っ向から対決するような候補が出ていて、補欠選挙なのに大盛り上がり。なんなら「大阪ダブル選挙」より盛り上がっているのではないかと思うほど、安倍政権のやりたい放題に危機感を持っている人たちが熱くなっているのです。どちらも早い段階で中間報告レポートを出した方がいいと思いましたので、沖縄3区、大阪12区ともに現地で取材した内容を皆様にお伝えしてまいります。


■ 沖縄3区の現地レポート

沖縄3区で補欠選挙が行われる理由は、昨年9月の沖縄県知事選に、沖縄3区選出の玉城デニーさんが立候補することになり、椅子が空いていたことによるものです。本当はもっと早く補欠選挙が行われる予定だったのですが、1票の格差を是正する裁判があったため、その判決を見守ってからの実施となり、今、このタイミングで補欠選挙が行われることになりました。立候補しているのは、辺野古基地建設をゴリゴリに進めていきたい自民党が島尻安伊子さんと、辺野古基地建設を止めたい「オール沖縄」がジャーナリストの屋良朝博さんの2人で、完全なる一騎打ちとなっています。

結論から言うと、この選挙は島尻安伊子さんが圧倒的に優勢です。沖縄3区はこれまで玉城デニーさんが勝利してきた選挙区で、その地盤を引き継いでいる上に、沖縄県知事選那覇市長選を勝ち、さらには沖縄県民投票でも辺野古基地反対の民意が示されているのだから、屋良朝博さんが負ける要素はないだろうと思うかもしれません。しかし、名護市長選では圧倒的に強かったはずの稲嶺進さんが負けるようなことが起こっているし、沖縄3区の市長選や村長選などを見れば、いずれも自民党系の候補が勝っているのです。最も人口の多い沖縄市などはゴリゴリの保守地盤であり、桑江朝千夫市長は島尻安伊子さんの選対本部長を務めるほどです。屋良朝博さんの陣営は「稲嶺進さんが負けたこともあるのだから、気を抜いたら負けるかもしれない」などと言っていますが、まったく間違えています。そもそもリードしていないどころか、けっこうな差をつけられていると見ています。僕のところに選挙情勢が入っているわけではありませんが、おそらくこの週末で選挙情勢が発表され、そこで島尻安伊子さんがリードしていることを知って初めて焦り出すことになるのでしょう。それくらいに自分たちの置かれている立場を分かっていない上に、屋良朝博さんの陣営は、どこかの選挙サークルが趣味でやっているのかと思うほどに選挙戦略が何一つ立てられていません。これまで何度も負けてきたのに、どうして反省が生かされないのでしょうか。どれほどチグハグなことになっているのかは選挙分析レポートの方でお伝えしますが、どうして激戦を制さなければならない立場でありながら、これほど何も考えていない選挙ができるのか、理解に苦しみます。こういうことを書くと「過激なことを書けばアクセスが増えると思っているのだろう」とか「引き締めを図るためにあえて書いているのだろう」とか言う人が出てくるかもしれませんが、そんな意図は毛頭ありません。ただシンプルに現実を伝えているだけです。島尻安伊子さんの陣営は、玉城デニーさんが立候補を表明した時点から動き出していたと思われ、おそらく選挙が始まる前から地上戦で徹底的に固めています。というのも、島尻安伊子さんは初日こそ街頭演説をしたものの、ここから先はほとんど街頭演説の予定がありません。つまり、組織固めに励むという戦略になっています。これは無党派層に頼らずとも組織票の段階で既に勝ちが見えており、あとは確実に選挙に行かせるだけということになっているということです。なので、島尻安伊子さんが勝つ確率は現段階で90%以上だと言っていいかもしれません。本当は屋良朝博さんの選対スタッフの方々に危機感を持っていただきたいのですが、おそらく危機感を持ったところで大幅な改善は見込めないと思います。なので、こうなってしまうと危機感を持っている一般の方々が頼りということになるのではないかと思います。まず、屋良朝博さんはその日のスケジュールさえネット上で明らかにされない事態に陥っているので、選挙事務所に連絡をして、代わりにツイートしてあげるような人が必要だと思います。本当は選対本部がやるべき仕事かもしれませんが、そもそも手が回っていない上に、ネット戦略を甘く見ています。これだけ地上戦でゴリゴリに攻められているのだから、せめて空中戦だけでも互角以上に戦わなければならないのに、現状は空中戦でも負けているような状態です。せめて有志の方々がカバーするぐらいのことをしないと改善できません。大阪12区があまりに熱いことになっているので、ネット選挙民たちが沖縄3区にまで手が回っていないという不運もあるのですが、気付いている人がやっていくしかないのです。選対の皆さんに何かアドバイスをしたところで改善できるほどの余裕もないのではないかと見ていますので、勝手に展開してあげるしかないのではないかと思います。それでも島尻安伊子さんをどこまで追えるかはわからないのですが、やらないよりはやった方がいいことは間違いありません。せめてネット上だけでもコツコツやっていくしかない戦いになっていると見ています。


■ リアルと情勢調査の結果が違った件

僕の現場で見ていたものと情勢分析との間に大きなギャップがあったことについて、これをなかったことにするわけにはいかないと思いますから、あえてそのまま消さずに残します。共同通信が4月12日と13日に実施した電話による情勢調査の結果によると、屋良朝博さんが優勢、島尻安伊子さんが苦戦であることが報じられました。これはまったく予想もしない衝撃の結果でした。というのも、島尻安伊子さんの陣営は勝っていなければ取らないであろう選挙戦略を取っていたからです。自民党が事前に選挙情勢を分析していないはずがなく、事前の情勢分析で負けているにもかかわらず、このような選挙戦略を取っていたのだとすると、こんな戦略を立てている軍師は今すぐに叩き出した方がいいレベルです。那覇市長選の時に「パイズリしたい」でお馴染みの国場幸之助さんを追い出し、名護市長選勝利の立役者だった日本維新の会まで取り込んで、今度という今度は万全の状態で挑んでいたはずです。事前の情勢分析が間違えていたのか、それとも情勢分析は正しかったのに軍師がバカだったのか、どちらなのでしょうか。おかげで僕がものすごく赤っ恥をかきました。軍師がバカなら今すぐに更迭した方がいいし、もし自民党の選挙情勢の段階では勝っていたとするのだとすると、国のデータのみならず、選挙の情勢分析まで改竄されてしまっているために、沖縄県知事選の時に負ける瞬間まで本気で勝つと思い込んでいた失敗を二度も繰り返しているという究極の無能だということになります。どちらなのかは、いずれ人伝いに判明することでしょうけど、このレポートが出た瞬間、即座に反応したのが屋良朝博陣営ではなく、島尻安伊子陣営だったことには衝撃を受けました。当初はあまり街頭演説をやらない予定だったはずなのに、急遽、夕方に沖縄市内だけでも街頭演説をすることになったのは、そうでなければ勝てないことに気付いたからなのでしょうか。ここから大幅な選挙戦略の修正があるのでしょうか。いずれにしても、僕も情勢調査の結果にビックリしましたが、一番ビックリしたのは島尻安伊子陣営だったかもしれません。


■ 大阪12区の現地レポート

会社経営者という肩書きの北川晋平さんが、「人狼ゲーム」を主催する「人狼の庭」の経営者で、当時は「ポール」と名乗っていたことが判明し、北川晋平というのが選挙のために用意された通称であることもバレて、何が本当で何が嘘なのかが分からない「リアル人狼ゲーム」になってしまった大阪12区。ここに立候補している宮本岳志さんは、国会中継を見ている人なら誰でも知っているほどの有名人であり、民主主義を守るためにも国会に必要不可欠な存在であることは間違いありません。宮本岳志さんはこの選挙で本物の野党共闘を目指すため、わざわざ共産党を離党し、無所属で選挙に挑んできたわけなのですが、せっかく共産党を辞めたのに、選挙戦略があまりに共産党すぎて、かなり厳しい戦いになっていることはお伝えしておかなければなりません。

沖縄3区とともに大阪12区の選挙情勢も知ってしまったのですが、一旦、沖縄3区と同様に、まずは選挙情勢を無視して自分の見てきた話を書きたいと思います。この選挙は、北川晋平さんが圧倒的に優勢であり、日本維新の会の藤田文武さんは大きく出遅れているというのが現場での空気感です。樽床伸二さんはこれまでに培ってきた票田を武器に戦うのだと思いますが、あんまり人が集まっている様子を見ることができず、好かれている雰囲気もありません。宮本岳志さんはせっかく無所属になったのに拭い去れない共産党臭が漂い、かなり厳しい戦いをしているというのが現場での空気感です。北川晋平さんの応援に小泉進次郎さんが来たということもあるのですが、それぞれの景色を見比べてもらえば、僕の言っていることもわかると思います。

上から順番に、自民党の北川晋平さん、日本維新の会の藤田文武さん、共産党から無所属になった宮本岳志さん、集まった人数は北川晋平さんが約1800人、藤田文武さんが約100人、宮本岳志さんが約200人といったところです。北川晋平さんも、藤田文武さんも具体的な話は一切しておらず、話も下手です。それに比べて、宮本岳志さんは国会中継を見ても分かるように弁が立ち、話もわかりやすいし、とってもポジティブな内容を話しています。藤田文武さんの応援に駆けつけた松井一郎さんや吉村洋文さんは、これで自民党に勝ったとはいえ、基本的に他党の批判ばかり。例のごとく「おっかしいですよ!」と言いながら他党を批判しているのですが、自分たちができていないことは棚に上げています。四條畷市や大東市、寝屋川市の人たちの気質に日本維新の会のヤンキーっぽさがピンポイントで刺さってしまうのかもしれませんが、セオリーから言えば、これだけ他党の悪口しか言わないとなると、通常は票が減るものです。4月14日から市議選などが始まりますので、日本維新の会にとっては大阪府知事選などと同様に相乗効果が得られると思うので、追い風になる可能性が高いです。一方、宮本岳志さんは共産色がさらに強まってしまう可能性があるので、ここから伸び悩む可能性もあります。宮本岳志さんが勝つためのポイントは、いかに共産党以外の人が応援に入るのか。あんまり活動っぽく見せずに、どれだけ宮本岳志さんを押し出せるかがカギを握ると考えます。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

沖縄3区・大阪12区ともに自民党が苦戦しているのは意外です。沖縄3区は島尻安伊子さんの選挙戦略が組織固めに集中するというゴリゴリに勝っている時にしかやらないであろう選挙戦略だったため、負けているのにこんなことをしている奴はアホだという理由で、勝っているに違いないと思いました。一般の無党派層に呼び掛けなければ勝てないのに組織を固めるというのは、サッカーで言うなら、負けているのにディフェンスを増やすようなものです。まさかそんな奴はいないだろうと思ったら、ここにいました。こうなってくると屋良朝博さんがやるべきは、このまま一歩ずつ着実に票を広げていくだけ。気を緩めることなく最後の最後まで突っ走れば良いだけです。大阪12区は、そもそもポールを出している場合ではなかった可能性があります。こんな大人の事情で出てくるような候補者を地元の人たちはどれだけ推してくれるでしょうか。それよりヤンキー気質にピッタリの日本維新の会の方が合います。現場ではほとんどの人はスルーしていましたが、それでも投票するのでしょう。宮本岳志さんが勝てるのかどうかは極めて微妙です。少なくとも日本維新の会よりは勝っていないことが明らかで、まだまだ背中が遠いところを走っています。日本維新の会の候補者たちは宮本岳志さんのことは眼中にありませんでした。ライバル候補はあくまで自民党だと思っており、自民党の批判ばかりを繰り返していて、宮本岳志さんにはほとんど触れていません。ネトウヨにウケるだけの理由で辻元清美さんのことばかりディスっていましたが、辻元清美さんは立憲民主党なので路線が違います。ノーマークからの勝利はあるのか。どんどん仲間を増やしていく戦略をとっている宮本岳志さんが、どこまで票を積めるのかに注目度です。[了]

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