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【選挙ウォッチャー】 東京五輪と新型コロナウイルス(#5)。

 東京は既に酷いことになっていて、熱が40度以上あって、血中酸素飽和度が90を下回っても、病院に入れない状態になっているそうです。東京五輪の真っ最中に、まさに「医療崩壊」が起こっています。しかも、毎日4000人レベルの新規感染者が見つかっているため、現時点で入院することができない「自宅療養」となっている人が4万人以上。この数字はこれからどんどん増えていくため、今後、死者数の増加につながってしまいます。
 SNSでは悲鳴にも似た医療従事者たちのコメントで溢れていますが、菅政権は一貫して「大したことない」という姿勢です。それもそのはずで、もし「大したことある」と認めてしまうと、どうして東京五輪を強行開催したんだと責任を追及されてしまうので、これだけ感染が爆発しても「大したことない」ということにしているのです。
 しかし、僕が毎日のように収益そっちのけで、皆さんに「気を付けて」と呼び掛けているのは、既にのっぴきならない状態になってしまっているからです。発表されている新規感染者は4000人という数字ですが、実際には1万人以上感染者がいると考えるのが普通だと思うからです。


■ 実際にはもっとたくさんの感染者がいる理由

 日本は「手を洗うヤブ医者のBaka」をはじめ、テレビに出演する専門家たちがこぞってPCR抑制論を語ってきたために、世にも珍しい「あえてPCR検査をしない国」になってしまいました。中国ではPCR検査をするための専用バスが走り、欧米では町のあちこちに無料のPCR検査センターが設置されていますが、日本はどうなっているのかと言うと、感染してもPCR検査をしてもらえない国になっているのです。
 具体的には、まず「感染の疑い」「濃厚接触者」の定義があまりに厳しすぎるので、風邪のような症状があっても、37.5度以上の熱がないとPCR検査をさせてもらえません。同じオフィスの隣の席の人がコロナに感染しても、マスクをつけて仕事をしていれば濃厚接触者にはならない。「デルタ株」にもなると、マスクをつけていても感染してしまうぐらいに感染力がありますが、そもそも「PCR検査」に辿り着くまでに、いくつもの難関を突破しなければならないというのが現状です。

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 さらに、8月1日の川崎市のデータを見ると、検査人数481人に対して419人の陽性者が見つかったという話になっています。陽性率87%。どうしてこんなことになっているのかと言うと、検査能力がまったく足りていないので、保健所で選別して、「この人はどう考えても新型コロナウイルスだろう」という人だけを優先的に検査をした結果、とんでもない陽性率になってしまったというわけです。
 8月1日は日曜日だったため、人口約154万人の川崎市の行政でできるPCR検査の限界が、1日約500件。この他に平日に限って受け付けてくれる病院などでの検査が1日1500件ぐらいあって、おそらく能力の限界が1日2000件ぐらいなのではないかと思います。
 そうすると、限られたキャパシティーの中で検査をしなければならないものですから、「絶対にコロナだと思う」という人は検査をしても、「もしかしたらコロナかも」という人は検査をしないことになり、その町にどれくらいの感染者がいるのかという正確なデータが把握できなくなります。
 つまり、川崎市のようにPCR検査の数に限界がある自治体では、実際にはたくさんの感染者がいても、感染者の数が増えないという現象が起こってしまい、見た目には「感染者が伸びなくなっているように見える」けど、実際には「とんでもなく感染者が爆発している」ということが起こります。既に川崎市は「データ不能」に陥っており、正確な感染者数を把握することができないので、とにかく蔓延していると思って対処するしかありません。


■ PCR検査を増やすべきだという議論

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 先日、都民ファーストの会の尾島紘平都議が、あまりに急速に拡大していく新型コロナウイルスの感染者の数に、何か一つでも手がないものかと頭を悩ませていたので、「とにかくPCR検査だ!」と訴えたところ、僕の発言に理解を示すツイートをしてくださいました。もちろん、こう答えてくれたからといって、今すぐPCR検査が増えるわけではありませんし、党内での議論もあるでしょうし、こんな意見は僕だけでなく、各方面からたくさん来ていることでしょう。
 しかし、確実に言えることは、尾島紘平さんは「PCR検査は必要だ」と考えている「ポンコツではない議員」だということです。世の中に尾島紘平さんみたいな議員がたくさんいれば、今頃、こんなにPCR検査が抑制されていることもないのですが、どいつもこいつもバカでポンコツなので、与党を中心に「PCR検査は必要だ」と考える議員が少なすぎるのです。このことは、僕がお届けしている東京都議選の選挙分析レポートを見てもらっても明らかです。
 ただ、今をときめく若手議員と「PCR検査」について、ポジティブな意見交換をしてしまったせいでしょうか。こういう話をすると、必ず現れるのが「PCR検査抑制ネトウヨ」です。実は、どうして「もっとPCR検査をしなければいけないのではないか」という議論がネット上に溢れないのかと言うと、こういう話をすると必ずネトウヨが湧いてきて、バカのくせにマウンティングを取ってくる、面倒臭くてしょうがないからです。

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 最初のカラミの時点で、だいぶ面倒臭いですが、まず僕が言っていることは、「『PCR検査を増やすと余計に陽性者が見つかって現場が混乱してしまうので、PCR検査をしなくても良い』とは言えないよ」という話です。
 新型コロナウイルスに感染している人は、検査をしてもしなくても、既に感染しているのですから、自身に重症化や後遺症のリスクがある上に、他人に感染させる能力を持っているという事実は変わりません。なので、PCR検査をして陽性だと判明したところで、統計的には感染者が増えるかもしれませんが、より正確なデータが取れているだけで、「検査のせいで感染者が増えてしまった」ということにはならないという内容です。
 しかし、ネット上でオラついてくるマウンティングバカは、PCR検査というのは「検知出来る特異的な塩基配列が一定数検体に存在したから検査で陽性になります」という、「PCR検査における陽性の定義」を説明したかと思えば、「一応PCRを使って論文書いて海外のジャーナルに載った事があると前提しておきますが、討論しますか?」とホザいてきます。もうこの時点で会話が成り立っていないので、こっちは「これはアカン奴だ」と思っているわけですが、Twitterで討論を始めると3時間ぐらいかかってしまいそうなので、ツイキャスで20分ぐらいで済ませたいなと思ったら、こんな感じになりました。

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 例えば、コロラド先生や川上先生や押川先生の話だったら、ものすごく聞きたいと思うけど、「PCR検査はただ感染者が発見されるだけで、PCR検査のせいで感染が広がっているわけではないのだから、PCR検査は大切だよね」という話に、「PCR検査とは、検知出来る特異的な塩基配列が一定数検体に存在したから検査で陽性になります」と言ってくるアホの話を聞いて、何か勉強になることがあるのだろうかという話なので、本当は「オマエの話は時間の無駄やねん!」の一言で終わるところなのですが、こうやっていろんな人にカラんでは「オマエは科学よりお気持ちを大事にしているんだろう」と言って、PCR抑制論を広げることに貢献しているので、ここは一発、ウンコを投げておかないといけないということで、日曜の深夜にスーパーウンコ投げフェスティバルが開幕しました。

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 まず、「PCR検査抑制論者」の特徴は、「強制しなければPCR検査ができない」と考えているところにあります。みんなに「PCR検査をしてください」とお願いしても、なぜか「やってくれるはずがない」と考えているのです。しかし、PCR検査が無料で、皆さんの手元に検査キットが郵送で届き、選挙に行くのと同じぐらいの距離感で回収してくれるのであれば、たくさんの人が参加してくれることでしょう。また、市民全員に対して何度も行う必要はありません。例えば、市役所が定期的に下水PCRを実施し、陽性反応が見られる地域だけを限定的に集中検査する方法もあります。
 要するに、効率良くPCR検査を進める方法はいくらでもあるので、アホのネトウヨが言うような「国民全員に何度もPCR検査をする」という方法を取らなくても、検査によって感染者を見つけ出し、部分的にでも感染の連鎖を断ち切る方法はあるということです。
 ちなみに、台湾は「中国の一部」とみなされますが、中国共産党とは一線を画し、一党独裁ではない民主主義の確立を頑張っている地域。そして、ニュージーランドは、ごく普通の民主主義国家です。ネトウヨが想像するようなファシズムによって、PCR検査が充実しているわけではありません。つまり、強制なんかしなくても検査はできます。


■ 「PCR検査の拡充」には2段階ある

 少しでも日本経済にダメージを与えず、新型コロナウイルスの感染の波を抑えるためには、まず「PCR検査の拡充」が不可欠である。僕は1年以上前からずっと、そう訴え続けています。実際、PCR検査を拡充できている国では感染を抑えることができていて、そうではない国で地獄が広がっています。
 ただ、冒頭から申し上げている通り、日本では「PCR抑制論者」たちが大きな声を上げてしまったばっかりに、「PCR検査=悪」という風潮が広がってしまいましたので、まったくPCR検査が進まないまま、1年半の年月が過ぎてしまいました。今もほとんど検査ができていません。

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 新型コロナウイルスの感染を抑止するために、本来、僕たちが求めているPCR検査の拡充というのは、台湾のように、何度もPCR検査をぶん回しまくることですが、そもそもPCR検査をするための機械がなければ検査ができないので、今から急いで製造したり、輸入したりしても、十分な量を確保できません。なので、これは我々の「理想」であって、現実はもっと手前にあります。
 まず、やらなければならないことは「正確なデータの把握」です。具体的には、川崎市のように「本当はもっと感染者がいるんだけど、検査の数に限りがあるので、見た目の陽性者数が増えない」という現象を避けること。感染者が1000人いるなら1000人、1万人いるなら1万人と、正しい数字を発表できる体制を整えなければなりません。
 今はどうなっているのかと言うと、車で高速道路を走ろうと思っているのだけど、スピードメーターが時速30kmまでしか計測できないという状態です。スピードを出すと、時速が100kmなのか、150kmなのかがわからないので、下手をすると150kmぐらい出ていて事故る。高速道路を走るなら、最低でも180kmぐらいまでは測れるスピードメーターをつけて、正確な時速を把握して走るというのが、当たり前の設計です。
 つまり、感染者が急増している時期に、「ちょっと体調悪いかも」ぐらいの人であっても、すぐにPCR検査を受けられるぐらいに体制を整えなければ、その人がコロナかコロナじゃないのかも分からず、「これくらいだったらコロナじゃないにワンチャンかける」で仕事をしたり、お出かけしたりして感染が広がってしまうので、まずは検査を受けたい人が余裕で検査を受けられるぐらいにPCR検査を充実させなければならない。これがPCR検査の拡充の第一歩です。
 そして、僕たちが求める「PCR検査の拡充によって感染を抑える」という理想に辿り着くのは、さらにその先のレベルの高い話であり、今の無能な政治家ばかりの日本では、残念ながら辿り着かない領域なのではないかとさえ思っています。なので、まずは初歩の初歩から始めていきたいというのが正直なところです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 PCR抑制論者たちのせいで、いまだに多くの日本人が「PCR検査」は一定の「偽陽性が出る」と考えている人が多いのですが、これは「デマ」です。偽陰性に関しては仕方がない部分もありますが、「偽陽性」というのは人的なミスを除いて、ほぼ出ないというのが「PCR検査」の特徴です。しかし、PCR検査について議論をすると、「ただでもこんなに感染者が多いのに、偽陽性を増やして医療を逼迫させるつもりか!」とカラんでくる人たちがいます。

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 偽陽性がほとんど出ないから、オリンピックで陽性が確認された人は「感染している」とみなされ、選手が出場できなくなってしまうのですが、上から目線で「ソースあるなら出してもらっても?」なんて言われ、ソースを出したら出したで、こんなことを言われます。

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 新型コロナウイルスにおいては、検体を取る人の技術がいらない「唾液PCR」が主流になっていて、より正確な「鼻咽頭スワブPCR」をするにしても、技術による「偽陰性」の心配はあっても「偽陽性」の心配はほぼないものと考えます。あるとしたら、それは診察室に入るだけで感染してしまうような恐ろしい空間です。
 結局、ソースを示したところで、いろいろな理由をつけて「それでも偽陽性は出る」の一点張りをかましてくる人たちにカラまれるだけなので、基本的に「偽陽性」を語ってくる奴は、脳味噌をアハつかせているアホの集団ということで、基本的に無視してもいいのかなと思っています。
 そんなわけで、今日の今日まで「PCR検査が必要だ」と言ってきた人たちを、こういう人たちが封じ込めてきたせいで、日本ではPCR検査の体制が十分に整わず、正確な感染者が把握できなくなってしまいましたので、実際には発表されている数字よりも多くの感染者がいるという、地獄のような世界が広がっています。なので、発表される感染者数は参考程度に知っておくとして、それ以上に感染者がいるものとして、より注意して行動する必要があるということを皆様に訴えたいと思います。ともに生き延びましょう!

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