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【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#245)。

 12月11日、NHKから国民を守る党が「名誉毀損」だとして、例のパンフレット問題を訴えてきた裁判の期日があった。立花孝志は動画で、この日のうちに結審すると自信満々だったが、結局、この日のうちに結審することはなかった。というのも、私の方から重要な証拠が提出されたからだ。
 これまでN国党の関係者たちは、私が証拠を持っているのかどうかを、ものすごく気にしていた。それもそのはず、例の司法書士は私を「刑事」で訴えてきたのだから、もし覆るような証拠が出てきた場合、最悪、虚偽告訴罪に問われる可能性がある。だから、立花孝志や大橋昌信はわざわざ家にまで押しかけ、「証拠を出してみろ」と迫ってきた。
 しかし、冷静に考えていただきたい。もし私が裁判で証拠を出せずに終われば、その時は私の「負け」である。一度でいいから裁判に勝ってマウントを取りたいN国党にとって、これは願ってもないチャンスだ。下手に動いて裁判官の心証を下げるより、何もしないで裁判に勝ち、信者たちと「勝った勝った」とお祭り騒ぎをすればいいだけの話である。なのに、私が仮処分申立の裁判を欠席したぐらいで最大50万円の懸賞金をかけ、わざわざ素人を送り込み、犯罪のリスクまで冒してまで私の顔を撮影してYouTubeにアップすることに何の意味があるのだろうか。そこに立花孝志の心理が見え隠れしている。


■ 裁判の進捗が知りたければ閲覧すればいい

 裁判になってしまった以上、これは公開情報である。もし裁判の行方が気になるというのなら、裁判所で閲覧をすればいい。閲覧者の住所や名前を書いて、それが立花孝志に見られるリスクはあるが、N国信者であれば、大好きな立花孝志先生に個人情報を把握されても、既に「NHK撃退シール」をもらった時に個人情報を教えているという話だろう。
 私に閲覧を禁止する権限はない。私から裁判の進捗を得るには、時に「ちんこ」と書かれるリスクを背負ってまで4450円を支払い、言える範囲の情報を聞くしかない。しかし、どんな証拠が提出されているのかを知りたければ、裁判所で閲覧すればいいのである。

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 なお、次回の裁判期日は2月12日の14時からで、この日で結審するという立花孝志の予想は、まんまと外れている。
 このパンフレット問題をめぐっては、N国党関係者の関わりを否定できないと発言した尾崎全紀氏がN国党から排除されるなど、非常にナーバスな動きになっており、N国内部ではタブーとなっているようだ。


■ 「NHKから国民を守るゴルフ党」になるかも

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 先週の記者会見で「ゴルフ党」を諦め、「民主党」にすると発言していた立花孝志であるが、総務省の判断で「民主党」にすることは認められなかった。主な理由は、立憲民主党や国民民主党と混同される恐れがあり、考慮されるべき事情があると判断されたからだ。
 そこで、NHKから国民を守る党は「NHKから国民を守るゴルフ党」に改名を計画中であり、来週の党総会で議員たちの賛同が得られれば、来年1月からこの名前になるという。そこまでして名称を変更する理由が何なのかという話であるが、立花孝志には「党名を変更しなければならない何かしらの事情」があると見ていいだろう。どうせ名前を変えたところで、借金がチャラになるわけでもないのだが。


■ 令和元年分の政治資金収支報告書・検証(#1)

 ついに11月27日、総務省が令和元年分の「政治資金収支報告書」を公表した。世間は「れいわ新選組」の個人寄付の多さに衝撃を受けているようだが、それよりインパクトがあるのは「NHKから国民を守る党」ではないだろうか。なにしろ、4億円以上のお金が「借入金」として記載され、誰がどれくらいお金を貸したのかが一目瞭然だ。もはや「アホリスト」と呼んでもいいのではないかと思うが、この人たちは無事、お金を返してもらうことができるのだろうか。

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 相変わらず、NHKから国民を守る党の会計責任者は、立花孝志ということになっている。事務担当者に書かれているのは粟飯原美佳。そして、主たる事務所の所在地は、今も千葉県船橋市となっている。
 この日を待ちに待っていた人もいるかもしれない。「N国マガジン」では当然のことながら、この収支報告書を1枚ずつめくって、丁寧に一つずつ検証していく。これぞ4450円を払ってもいいから、皆さんが見守りたかったものではないだろうか。今からワクワクが止まらない。

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 さて、この政治資金収支報告書は「令和元年分」なので、NHKから国民を守る党が国政政党として認められてから、2019年12月31日までの収支報告となっている。つまり、まもなく2020年も終わろうとしているが、今年のデータは一切盛り込まれていない。本当は2020年が一番面白いのだが、これは来年の今頃のお楽しみである。そう、このお楽しみは1年に1回しかないのである。
 昨年(令和元年)の収支報告書によると、収入の総額は6億8166万9294円となっていて、支出の総額は2億7399万3326円となっている。なんと、わずか半年で2億7000万円以上のお金を使ってしまったということだ。どれだけ驚異的なペースで出費を重ねたのかがわかるだろう。
 なお、YouTubeで募集した借金とは別に、個人からの寄付という項目があって、寄付の合計額は4305万円となっているのだが、この寄付のほとんどは党員から集めたものであるため、れいわ新選組のように支持者から集めたものというわけではない。
 2枚目をめくったところで、こんなことを言うのは元も子もないのかもしれないが、最初から支援者に「お金をください」と言っていれば、今頃、借金の返済に苦しむことはなかっただろう。ただ、「お金をください」と言うことにはデメリットもある。借金であれば、どんなふうにお金を使おうが返済すれば問題ないが、寄付の場合、お金の使い道次第では文句を言われる可能性がある。たかだか数千円や数万円ごときの寄付で、いちいちガタガタ言われるのは立花孝志の行動が制限されかねない。好きなことをするためには寄付ではなく、「借金」でなければならなかったのだ。

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 3枚目からは、NHKから国民を守る党が誰からお金を借りたのかが並べられている。どうせ総務省のホームページをチェックすれば、すべての氏名が包み隠さず公表されているのだが、ここでは一般人の氏名にモザイクを入れさせていただく。
 チェックすべきは、昨年の参院選の比例区で立候補した人たちの供託金600万円がすべて「借入金」という形で処理されていることである。要するに、浜田聡、岡本介伸、熊丸英治の3人は、600万円の供託金を政党に貸しただけであって、けっして自腹を切っているわけではない。やがてこの3人には600万円の利子がついて返済されることになっているのだ。
 さて、この借入金には不自然な点がいくつかある。まず、立花孝志が党に貸したお金が4200万円から3600万円に修正されていること。立花孝志ひとり放送局株式会社が700万円から730万円に修正されていることである。会計上は「単純に間違えてしまっただけ」ということになっているが、4200万円と3600万円は全然違う。600万円も狂うということがあるのだろうか。これは何らかの数字の調整が行われていると言ってもいいのではないだろうか。

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 この政治資金収支報告書により、NHKから国民を守る党が5億円以上の借金をしていたことは確実になった。そして、お金を貸せるのは1人500万円までというルールがあったが、1000万円を課している人もいたことが明らかになった。
 さらに、現在は浜田聡の公設秘書になっている粟飯原美佳も100万円貸していることがわかった。

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 この政治資金収支報告書によると、1は立花孝志、2は立花孝志ひとり放送局、3は浜田聡、4は岡本介伸、5は熊丸英治となっており、195が粟飯原美佳、211は欠番となっているので、身内以外だと206人に債権があると考えられる。
 借金の総額は5億5530万円となっているが、立花孝志や立花孝志ひとり放送局が貸し付けた分や、N国党員などの関係者を除けば、身内以外から借りている金額の合計は4億9300万円となる。初年度の金利は10%という話になっているはずなので、身内には頭を下げて支払いを待ってもらったとしても、最低でも4930万円を用意しないと契約不履行になってしまう。
 もし契約不履行が起こった場合、206人の債権者はNHKから国民を守る党に対して破産申請を出すことができるようになる。NHKから国民を守る党に借金を返す能力がないので、いっそのこと破産をして、持っている財産からお金を返すように申し立てるのである。
 立花孝志は政党助成金をマネーロンダリングして返済に充てるようなことを言っているが、政党助成金から借金の返済はできない。つまり、この申請はかなり高い確率で通ることになり、そうなった時には「NHKから国民を守る党」は解党に追い込まれ、政党助成金も入らなくなる。「ゴルフ党」にして、税金でゴルフがやり放題という夢も一瞬にして消える。一気に206人がNHKから国民を守る党を破壊する核爆弾のスイッチを手に入れるようなものだ。
 立花孝志にとって、この年末は本当の意味で正念場である。もし、ここで借金の利子を支払った場合、新たに何らかの手を打たない限り、衆院選の挑戦は不可能だ。少しでも政党助成金を増やしたい立花孝志にとって、1票あたり80円が入ってくる衆院選に候補者を出さないという選択肢はないはずだ。すべてはお金を調達できるかどうかだ。

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 さて、NHKから国民を守る党の収入は、借入金を除くと、政党交付金と返還された供託金だけである。供託金は収入とは呼べないので、収入としてカウントできそうなものは10月と12月に振り込まれた政党交付金だけだということになる。つまり、純然たる収入は総額で6983万1000円に過ぎなかったということになる。
 この6983万1000円という数字は、一般人にとっては大きな金額のように見えるかもしれないが、これではまったく足りない。大前提として5年のうちに4億9300万円の元本を返済しなければならない。それに加えて、初年度に4930万円、2年目以降は2465万円ずつの金利もつけなければならない。立花孝志が用意しなければならない金額は、元本と金利を合わせて総額6億4090万円となる。
 立花孝志の頭の中では、次の衆院選と次の参院選で政党交付金が増えるので、総額で10億円ぐらいにはなるので、仮に6億円や7億円を返済したところで3億円ぐらいは残ると考えているのかもしれないが、3億円を5年で割ったとしても年間で自由に使えるお金は6000万円になり、月に換算すると500万円程度ということになる。既に森友学園に8400万円の寄付をするなど、アグレッシブな金の動きを見せているわけで、分析すれば分析するほどお金が足りない。
 ましてや、今のNHKから国民を守る党の支持率は0.0%である。これから「NHKから国民を守るゴルフ党」に変わると思われ、こんなわけのわからない名前の政党に入れる人はますます少なくなるため、次の衆院選で稼げる得票率は0.3~0.4%と見る。今度の衆院選では少なくとも6600万円の供託金が必要となり、浜田聡を除いてN国党員たちの交通費は自腹となるため、ポスターを作ったり、ホームページを直したりで、なんだかんだ1億円弱のお金はかかるだろう。
 あくまで概算であるが、わかりやすく計算するために、衆院選に1億円をかけたとして、1票あたり80円の政党交付金が入ることになると言われているので、元を取るために必要なのは125万票。これがどれくらいの数字なのかを見てみると、そこそこハードルが高い。

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 おそらく今の「NHKから国民を守る党」は、幸福実現党の少し下ぐらいの位置にあると思われるため、最も良い想定で30万票ぐらいしか獲得できないと見られる。30万票に80円を足しても2400万円にしかならないので、大赤字になると見られる。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 NHKから国民を守る党の支持者は、国民民主党、日本維新の会、れいわ新選組と同じ帯域にあり、それぞれの政党が広告にお金をかけてくることが予想されるため、次回の衆院選はかなり厳しい戦いになることが予想されている。立花孝志にとっては、とても受け入れがたい現実が広がることになりそうだ。さらにディープな分析をしていく。

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